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今月の野菜 野菜情報 2022年10月号

かんしょの需給動向

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調査情報部
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 かんしょの原産地は中央アメリカといわれ、紀元前から栽培されていることがわかっている。日本へは17世紀に伝わったとされる。土壌を選ばずやせた土地でも育つため、江戸時代の飢饉の際には多くの人々の飢えを救った。18世紀頃には武蔵野台地にも導入され、その中心が、現在の埼玉県川越市周辺といわれている。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和3年の作付面積は、3万2400ヘクタール(前年比97.9%)と、前年よりわずかに減少した。
 上位5県では、
●鹿児島県 1万300ヘクタール(同 94.5%)
●茨城県7220ヘクタール(同 103.1%)
●千葉県3800ヘクタール(同 96.4%)
●宮崎県3020ヘクタール(同 101.0%)
●徳島県1090ヘクタール(同 100.0%)
となっている。

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 令和3年の出荷量は、67万1900トン(前年比97.7%)と、前年よりわずかに減少した。
 上位5県では、
●鹿児島県19万600トン(同 88.8%)
●茨城県18万9200トン(同 104.0%)
●千葉県8万7400トン(同 96.9%)
●宮崎県7万1000トン(同 102.7%)
●徳島県2万7100トン(同 100.0%)
となっている。

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 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、茨城県の2.62トンが最も多く、次いで徳島県の2.49トン、千葉県の2.35トンと続いている。その他の県で多いのは、熊本県の2.30トンであり、全国平均は2.07トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

 青果用品種としては、紅あずまが関東を中心に、また高系14号(紅さつま、なると金時含む)が関西および南九州地域を中心に作付けされているが、近年、紅はるかなどのねっとり系の品種の作付けが拡大している。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和3年)を見ると、9月から入荷量が増え、12月がピークとなる。その後、4月までは多く、5月から8月は少なくなる。千葉県、茨城県が2大供給産地で、量は少ないが徳島県からもほぼ通年の入荷がみられる。主産地の入荷が少なくなる5月から8月は、香川県や高知県からの入荷もみられる。
 かんしょは、青果用として市場へ出荷されるもののほか、でん粉原料や焼酎原料などの加工用に使用されているものも多くある。

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 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和3年)を見ると、9月~翌4月までは入荷量が多く、ピークは1月となっている。徳島県、茨城県、千葉県、宮崎県と幅広い産地から通年の入荷があるほか、11月から翌4月にかけては大分県、1月から5月は熊本県、5月から11月は鹿児島県からの入荷がみられる。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場におけるかんしょの価格(令和3年)は、1キログラム当たり258~401円(年平均300円)の幅で推移している。入荷量が減少する5月から6月にかけて価格が上がる傾向がある。

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輸入量の動向

 かんしょ(生鮮・乾燥)の輸入量は、減少から横ばい傾向で、平成30年まではほぼ全量中国からであったが、令和元年以降はベトナムからの輸入もみられる。冷凍かんしょの輸入量は波があるが、主な輸入先は、ベトナム、インドネシア、中国で、近年インドネシアのシェアが増えている。

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輸出量の動向

 かんしょ(生鮮・冷凍・乾燥)の輸出量は、年々増加しており、特に香港、タイ向けの伸びが大きく、次いで台湾、シンガポールと東南アジア向けが中心となっている。日本産は現地のものよりも食感が良く甘味が強いことから人気が高まっている。

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かんしょの消費動向

 令和3年の1人当たり年間購入量は869グ ラムで、近年、約870~970グラム前後で 推移しており、平成26年からは減少傾向で ある。
 かんしょは、品種によって、ほくほく系(紅 あずま、高系など)、しっとり系(シルクス イート、紅まさりなど)、ねっとり系(紅は るか、安納こがねなど)と分かれるが、ど の品種でも収穫後、適度な温度と湿度を保 ちながら貯蔵することによりでん粉がショ 糖などに変化し、甘味が増していく。また、 果肉が紫色のパープルスイートロードや、 カロテンを多く含むオレンジ色の人参芋な ど、カラフルな品種も一般消費者から注目 されつつある。

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