なすの原産地はインド東部といわれ、日本には中国を経て8世紀ごろに伝わったとされている。東大寺正倉院に、なすを献上したという記録があり、奈良時代にはすでに栽培されていたようである。
日本では古くから栽培されてどんな料理とも相性がよく、現在でも「一富士二鷹三茄子」とおめでたい初夢の決まり文句にも登場するなど、なすと日本人との関わりは深いようである。
関東の卵形なす、東海・関西の長卵形なす、東北と関西以西の長なす、九州の大長なすを主とし、その他に北陸・京都の丸なす、山形の小なすなど、果実の大きさと形によって分けられ、地方独特の品種も多く見られる。
なすの生育適温は20~30度と高く、かつては夏の代表的な野菜であったが、現在では施設栽培の普及などにより周年供給体制が構築されている。出荷時期により、冬春なす(12~翌6月)と夏秋なす(7~11月)とに区分され、冬春なすは高知県や熊本県などの温暖な地域で施設栽培によって生産されている。また、夏秋なすは群馬県や茨城県、栃木県などで主に露地栽培により生産されている。