野菜 野菜分野の各種業務の情報、情報誌「野菜情報」の記事、統計資料など

ホーム > 野菜 > 野菜の情報 > なすの需給動向

今月の野菜

なすの需給動向

印刷ページ
調査情報部
 
なすの写真
主要産地の地図
 

 なすの原産地はインド東部といわれ、日本には中国を経て8世紀ごろに伝わったとされている。東大寺正倉院に、なすを献上したという記録があり、奈良時代にはすでに栽培されていたようである。

 日本では古くから栽培されてどんな料理とも相性がよく、現在でも「一富士二鷹三茄子」とおめでたい初夢の決まり文句にも登場するなど、なすと日本人との関わりは深いようである。

 関東の卵形なす、東海・関西の(ちょう)(らん)(けい)なす、東北と関西以西の長なす、九州の大長(おおなが)なすを主とし、その他に北陸・京都の丸なす、山形の小なすなど、果実の大きさと形によって分けられ、地方独特の品種も多く見られる。

 なすの生育適温は20~30度と高く、かつては夏の代表的な野菜であったが、現在では施設栽培の普及などにより周年供給体制が構築されている。出荷時期により、冬春なす(12~翌6月)と夏秋なす(7~11月)とに区分され、冬春なすは高知県や熊本県などの温暖な地域で施設栽培によって生産されている。また、夏秋なすは群馬県や茨城県、栃木県などで主に露地栽培により生産されている。

作付面積・出荷量・単収の推移

令和2年の作付面積は、8420ヘクタール(前年比97.3%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5県では、
・群馬県  525ヘクタール(同 99.1%)
・新潟県  512ヘクタール(同 95.7%)
・茨城県  426ヘクタール(同 98.2%)
・熊本県  418ヘクタール(同 98.4%)
・山形県  392ヘクタール(同 96.1%)
となっている。
 
作付面積の推移
 
 令和2年の出荷量は、23万6400トン(前年比98.7%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5県では、
・高知県  3万7200トン(同 96.1%)
・熊本県  3万1600トン(同 96.6%)
・群馬県  2万3700トン(同102.6%)
・茨城県  1万5800トン(同112.9%)
・福岡県  1万5500トン(同 91.7%)
となっている。
 
出荷量の推移
 
 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の12.40トンが最も多く、次いで熊本県の8.18トン、福岡県の7.26トンと続いている。その他の府県で多いのは、徳島県の7.68トン、大阪府の6.80トンであり、全国平均は3.53トンとなっている。
 
令和2年産の主産地の単収

作付けされている主な品種等

 比較的多くの産地で作付けされている千両2号は長卵形なすであり、筑陽は長なすである。
 近年、農研機構が育成した「あのみのり2号」などの単為結果性品種が注目されている。単為結果性品種とは、受精しなくても果実が着果・肥大する性質を持つため、昆虫による授精や植物ホルモンによる着果促進処理が不要な品種であり、なす栽培の省力化が可能となる。
 
主な品種

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、入荷量は3月から徐々に増える傾向にあり、夏にピークとなる。冬春なすは高知産が入荷量のトップで多くの割合を占め、夏秋なすは群馬産や栃木産、茨城産など東京近郊からの入荷が多い。
 
令和2年 なす(なす+長なす)の月別入荷実績(東京都中央卸売市場計)
 
 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、入荷量は3月から増え始め6月がピークとなる。冬春なすは高知産がトップであるものの、その占める割合は東京よりも少ない。夏秋なすは山梨産や徳島産、大阪産、京都産など、各地から入荷している。
 
令和2年 なすの月別入荷実績(大阪中央卸売市場計)

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における令和2年の価格の推移を見ると、なすは1キログラム当たり335~497(年平均434円)、ながなすは243~478円(年平均380円)となっている。入荷量の多い夏場に価格が下がる傾向にあるが、年間の変動幅は狭い。
 
なすの卸売価格の月別推移
 
ながなすの卸売価格の月別推移
 
卸売価格の月別推移
 
こなすの卸売価格の月別推移(国内産)
 
べいなすの卸売価格の月別推移(国内産)

輸入量の推移

 なすの輸入は塩蔵等が多く、なす(塩蔵等)とこなす(塩蔵等)とで総輸入量の98%以上を占めている。令和2年の輸入量を見ると、なす(塩蔵等)は1533トン(前年比86.7%)、こなす(塩蔵等)は904トン(同102.4%)、なす(生鮮)は46トン(同62.4%)、なす(冷凍)は14トン(同79.9%)となっている。
 令和2年の国別輸入量を見ると、なす(塩蔵等)では中国がほぼ100%を占め、こなす(塩蔵等)でも91.2%を占めている。なす(生鮮)は韓国が100%を占め、なす(冷凍)ではタイ(59.0%)に次いで中国とイタリアとなっている。
 
輸入量の推移(塩蔵等)
 
なすの輸入量の推移(生鮮+冷凍)
 
国別輸入量の推移(冷凍)

輸出量の推移

 
輸出量の推移(生鮮)

消費の動向

 なすの1人当たり年間購入量は、総じて減少傾向にあるものの、令和2年は前年比104%と増加に転じ、1400グラム台へと回復した。
 小売価格(東京都区部)の動向を見ると、平成25年の1キログラム当たり634円から令和2年の同789円へと上昇傾向にある。
 なすは水分が多い淡色野菜であるが、ビタミンKやカリウム、葉酸をバランスよく含んでおり、食物繊維も豊富である。低温に弱いため、直射日光を避け、涼しい場所で常温保存し、2~3日のうちに使い切りたい。それ以上長く保存する場合は、水分が蒸発しないよう新聞紙などでくるみ、保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保管すると良い。
 
1人当たり年間購入量の推移
 
小売価格(東京都区部)の動向