ねぎの原産地は中国といわれ、3000年も前から栽培されていたといわれている。身体を温め、疲労を回復する薬用植物として珍重されていた。暑さ、寒さに強いため、アジア全域で作られ、日本では奈良時代にはすでに栽培されていた。
昔から東日本では主に、根元に土寄せして白い部分(葉鞘)を長く育てる根深ねぎが栽培され、西日本では耕土が浅い土地が多かったことから、土寄せせずに作る、緑の葉の先端まで食べられる柔らかい葉ねぎが栽培されていた。「関東は白、関西は緑」を食べる食文化がすでにできあがっていたといえる。
出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、北海道の3.43トンが最も多く、次いで千葉県の2.67トン、茨城県の2.50トンと続いている。その他の府県で多いのは、京都府の2.59トン、青森県の2.51トンであり、全国平均は2.01トンとなっている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、年間を通して茨城県から入荷があるほか、入荷が多い10月から翌4月にかけては千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県など近在の産地が増え、8月以降は青森県、秋田県、北海道、山形県など東北などの産地へと移行する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、9月以降、年明けまで徐々に入荷が増え、春先から夏場にかけては入荷が減少する。鳥取県からは通年で入荷が見られるほか、ピークとなる12月を含む冬場から翌6月まで大分県、徳島県、香川県などの近在産地および埼玉県、静岡県、群馬県などの東日本からの入荷が増え、8月から10月は北海道産の割合が高まる。
東京都中央卸売市場における国産ねぎの価格(令和2年)は、1キログラム当たり210~544円(年平均347円)、の幅で推移している。国産の価格は、入荷が減少する5月~7月にかけて高くなり、冬場はやや下がる傾向が見られる。
輸入量は、生鮮ねぎが5万2000~6万7000トン、冷凍ねぎが8000~1万4000トンの間で安定的に推移しており、最大の輸入先国は中国となっている。
生鮮ねぎの輸出は、平成29年をピークに近年は14万トン前後で推移しており、令和2年の輸出先国は、台湾が最も多く、次いでタイ、英国、フランス、ドイツとなっている。
ねぎの1人当たりの年間購入量は1.6キログラム前後で推移している。比較的栽培期間が長い作物であることから、長雨、気温上昇、干ばつなど、最近の天候不順により生育不良や収穫作業の遅れなどの影響を受けやすく、不安定な入荷となる時期が多いと小売価格は上昇傾向となる。
ねぎは、夏は薬味に冬は鍋物商材として、年間を通してさまざまな料理に欠かせない野菜である。肉や魚料理に使うと味を引き立てるだけでなく、殺菌・消臭効果もあるため、すき焼きや焼き鳥、貝のぬたなどにねぎを合わせるのは理にかなった使い方といえる。