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今月の野菜 野菜情報 2022年2月号

ねぎの需給動向

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調査情報部
ねぎの国内主要産地を示した地図

写真 佐賀と埼玉産のねぎ
 

 ねぎの原産地は中国といわれ、3000年も前から栽培されていたといわれている。身体を温め、疲労を回復する薬用植物として珍重されていた。暑さ、寒さに強いため、アジア全域で作られ、日本では奈良時代にはすでに栽培されていた。
 昔から東日本では主に、根元に土寄せして白い部分(葉鞘ようしょう)を長く育てる根深ねぎが栽培され、西日本では耕土が浅い土地が多かったことから、土寄せせずに作る、緑の葉の先端まで食べられる柔らかい葉ねぎが栽培されていた。「関東は白、関西は緑」を食べる食文化がすでにできあがっていたといえる。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和2年の作付面積は、2万2000ヘクタール(前年比98.2%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5県では、
・埼玉県  2230ヘクタール(同 93.3%)
・千葉県  2130ヘクタール(同 99.1%)
・茨城県  1960ヘクタール(同 98.0%)
・群馬県  1020ヘクタール(同 99.0%)
・大分県  973ヘクタール(同101.0%)
となっている。

作付面積の推移

 令和2年の出荷量は、36万4100トン(前年比95.2%)と、前年よりやや減少した。
上位5道県では、
・千葉県  5万1500トン(同 88.5%)
・茨城県  4万3000トン(同 94.3%)
・埼玉県  4万2400トン(同 90.2%)
・北海道  2万  500トン(同106.8%)
・大分県  1万5900トン(同108.9%)
となっている。

出荷量の推移
 

 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、北海道の3.43トンが最も多く、次いで千葉県の2.67トン、茨城県の2.50トンと続いている。その他の府県で多いのは、京都府の2.59トン、青森県の2.51トンであり、全国平均は2.01トンとなっている。
 

令和2年産の主産地の単収

作付けされている主な品種等

 昔から関東では白ねぎの消費が多く、関西では青ねぎの消費が多いとされているが、現在では全国で両方のねぎが食べられるようになり、料理に合わせて使い分けるようにもなった。品種も以前の白ねぎ用や青ねぎ用だけでなく、栽培方法によっては両方に使える中間品種などもある。

各都道府県で作付けされている主な品種

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、年間を通して茨城県から入荷があるほか、入荷が多い10月から翌4月にかけては千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県など近在の産地が増え、8月以降は青森県、秋田県、北海道、山形県など東北などの産地へと移行する。

令和2年 ねぎ(ねぎ+こねぎ)の月別入荷実績 (東京都中央卸売市場計)
 

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、9月以降、年明けまで徐々に入荷が増え、春先から夏場にかけては入荷が減少する。鳥取県からは通年で入荷が見られるほか、ピークとなる12月を含む冬場から翌6月まで大分県、徳島県、香川県などの近在産地および埼玉県、静岡県、群馬県などの東日本からの入荷が増え、8月から10月は北海道産の割合が高まる。

令和2年 ねぎ(青ねぎ+白ねぎ+細ねぎ)の月別入荷実績 (大阪中央卸売市場計)

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における国産ねぎの価格(令和2年)は、1キログラム当たり210~544円(年平均347円)、の幅で推移している。国産の価格は、入荷が減少する5月~7月にかけて高くなり、冬場はやや下がる傾向が見られる。

卸売価格の月別推移(国内産)

卸売価格の月別推移(外国産)

卸売価格の月別推移(国内+外国産)

卸売価格の月別推移(国内産:細ねぎ)

輸入量の動向

 輸入量は、生鮮ねぎが5万2000~6万7000トン、冷凍ねぎが8000~1万4000トンの間で安定的に推移しており、最大の輸入先国は中国となっている。

国別輸入量の推移(生鮮)

国別輸入量の推移(冷凍)

輸出量の動向

 生鮮ねぎの輸出は、平成29年をピークに近年は14万トン前後で推移しており、令和2年の輸出先国は、台湾が最も多く、次いでタイ、英国、フランス、ドイツとなっている。


国別輸出量の推移(生鮮)

ねぎの消費動向

 ねぎの1人当たりの年間購入量は1.6キログラム前後で推移している。比較的栽培期間が長い作物であることから、長雨、気温上昇、干ばつなど、最近の天候不順により生育不良や収穫作業の遅れなどの影響を受けやすく、不安定な入荷となる時期が多いと小売価格は上昇傾向となる。
 ねぎは、夏は薬味に冬は鍋物商材として、年間を通してさまざまな料理に欠かせない野菜である。肉や魚料理に使うと味を引き立てるだけでなく、殺菌・消臭効果もあるため、すき焼きや焼き鳥、貝のぬたなどにねぎを合わせるのは理にかなった使い方といえる。

1人当たり年間購入量の推移


小売価格(東京都区部)の動向

ねぎの写真