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今月の野菜 野菜情報 2021年12月号

みつばの需給動向

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調査情報部
主要産地


 

 みつばは、にんじんやパセリなどと同じセリ科の植物で、数少ない日本原産の野菜である。1本の茎に3枚ずつ葉がつくことから、この名前がある。古来から、全国各地の湿地などに自生していたものを摘み取り、野草として利用されてきた。野菜として栽培され始めたのは江戸時代といわれている。

 現在市場に出回るものは、葉柄が全体に青い「糸みつば(青みつば)」、軟化栽培して根を切り取った「切りみつば(白みつば)」、根に土寄せして根付きのまま出荷する「根みつば」の3種類に大別される。

 現在出回っているみつばの主流は、水耕栽培の糸みつば(青みつば)で、年7~8回収穫できるため周年出回っている。切りみつば(白みつば)は、遮光した軟化床で育て、葉が開く頃に光を入れて緑色にし、株元で切り取る。根みつばは、春頃に種をまき、冬に葉が枯れると根元に土寄せし、翌春葉が地上に出たころ根つきのまま収穫、出荷する。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和2年の作付面積は、874ヘクタール(前年比98.1%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5県では、
・茨城県  166ヘクタール(同100.0%)
・千葉県  150ヘクタール(同 98.7%)
・愛知県  92ヘクタール(同 97.9%)
・静岡県  79ヘクタール(同 98.8%)
・大分県  63ヘクタール(同100.0%)
となっている。

作

 令和2年の出荷量は、1万2400トン(前年比93.9%)と、前年よりかなりの程度減少した。
上位5県では、
・千葉県  2,500トン(同 96.2%)
・茨城県  1,560トン(同 98.7%)
・愛知県  1,550トン(同 86.1%)
・埼玉県  1,210トン(同 92.4%)
・静岡県  1,210トン(同 91.7%)
となっている。

出
 
 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、埼玉県の2.58トンが最も多く、次いで愛知県の1.79トン、千葉県の1.74トンと続いている。その他の府県で多いのは、大阪府の2.20トン、大分県の1.47トンであり、全国平均は1.53トンとなっている。

単収

作付けされている主な品種等

 出荷量の多い産地の中で、千葉県、静岡県、茨城県などは水耕栽培の糸みつばもあるが、千葉県と茨城県は切りみつばと根みつばの産地でもある。

品種

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、12月が最も多く、次に1月から4月が比較的多い。5月から9月の夏場は少なく、10月以降に増加傾向となる。各月とも千葉産が全体の約40%以上を占めており、茨城産や埼玉産、静岡産など関東近在産地からの入荷が多い。

東京

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、東京と同様に12月の入荷が最も多く、次に1月から4月が比較的多い。5月から9月の夏場は少なく、10月以降に増加傾向となる。各月とも大分産、三重産、愛知産および大阪産の入荷が多く、この4府県の占める割合が90%以上となっている。

大阪

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における糸みつばの価格(令和2年)は、1キログラム当たり278~1034円(年平均478円)の幅で推移している。年による違いはあるものの、1月から6月ごろまでは下げ基調で推移し、7月から9月ごろにかけて上げ基調に転ずる。その後、需要期である12月に最高値となる傾向にある。

糸
 

切
 

根

消費の動向

 みつばの爽やかな香りには、クリプトテーネンやミツバエンという成分が含まれており、食欲増進と消化を促す効果がある。さらに神経を安定させ、イライラを解消する効果もあり、日本のハーブと言える。みつばはカリウムを豊富に含んでおり、カリウムはナトリウム(塩分)を排泄する役割があり、高血圧に効果がある。
 茶わん蒸しや吸い物、また丼のものトッピングなど、香りを生かした薬味として使われる。天然物や根みつばは歯ごたえもあり、香りも強いため、揚げ物や肉など香りが強い物と合わせると良い。糸みつばと根みつばでは風味の強さや硬さなどが異なるため、用途によって使い分けたい。

参考

 
3みつば