しゅんぎくは、葉の大きさや切れ込み方により、大葉種、中葉種、小葉種に大別される。さらに中葉種は株の形状により、株立ち型と株張り型に分かれる。大葉種は葉が大きく、切れ込みの浅い丸い形が特徴で、四国・九州地方を中心に出回っている。中葉種の株立ち型は、茎が立ち上がって分枝するため、伸張した茎を摘み取って出荷するもので、関東を中心に出回っている。中葉種の株張り型は、茎が立ち上がらず株が根元から横に張って生育するため、根付きのまま、または根元から切って出荷するもので、主に関西地方で出回っている。
主産地で多く作付けされている品種のうち、「さとゆたか」は中葉種の株立ち型であり、「冬の精」は中葉種の株張り型である。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、周年で出回っているものの、需要が多くなる11月から翌3月が主な入荷時期となっている。千葉産や栃木産を主体に、群馬産や茨城産など関東近県からの入荷が多いが、夏場は岩手産や青森産などの東北産も入荷している。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和2年)を見ると、東京都中央卸売市場と同様に、冬場を中心とした入荷となっている。1年を通して関西の主産地である大阪産の入荷が多く、和歌山産や福岡産のほか、岐阜産、京都産なども入荷している。
栄養価の高い緑黄色野菜のひとつであるしゅんぎくは、体内でビタミンAに変わるカロテンが、ほうれんそうやこまつなよりも多く含まれ、皮膚や粘膜、目の健康を保つほか、風邪の予防に効果があるといわれている。また、造血作用があるといわれている葉酸や高血圧の予防に効果的なカリウム、ビタミンE、骨や歯を丈夫にするカルシウム、貧血を予防する鉄など、ビタミンやミネラルを豊富に含んでいる。
しゅんぎくは葉茎菜類の中でも傷みが早い野菜であり、収穫直後から鮮度も栄養価も落ちやすくなる。葉の緑色が濃くツヤがあり、香りの強いものが新鮮である。また、切り口の断面が乾燥しておらずみずみずしいものを選ぶと良い。鮮度をよく確認し、新鮮なものを購入して購入後は1~2日で使い切りたい。
保存の際は、ぬらした新聞紙で包みビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存する。横置きにすると葉が黄色く退色し、しおれたり茎が曲がってしまう。冷凍保存する際は、硬めにゆでて粗熱をとり、ラップに包んで2~3週間程度で使い切りたい。
「野菜情報」の掲載内容に誤りがありましたので、以下の通り訂正させていただきます。
○2021年9月号「今月の野菜 えだまめの需給動向」(35ページ)左段1段落目
【正】えだまめの小売価格(東京都区部)の動向をみると、平成27年以降は100グラム当たり130円台から140円台前半で推移しており、上昇傾向にある。
【誤】えだまめの小売価格(東京都区部)の動向をみると、平成27年以降は1キログラム当たり130円台から140円台前半で推移しており、上昇傾向にある。
○同ページ グラフ「小売価格(東京都区部)の動向」の縦軸の単位
【正】(円/100g)
【誤】(円/kg)
○同ページ グラフ「小売価格(東京都区部)の動向」の出典
【正】資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:総務省「小売物価統計調査」)
【誤】資料:農畜産業振興機構「ベジ探」(原資料:財務省「小売物価統計調査」)