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今月の野菜 野菜情報 2021年6月号

ピーマンの需給動向

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調査情報部
主要産地

しゃ1

しゃ2
 

 ピーマンは、とうがらしの一種で辛みのない大型のとうがらしの仲間である。昔のピーマンは、現在のものより大きめで、肉も厚く青臭い独特な香りが強く、少し食べづらいものであったため、敬遠する人も少なくなかった。そのため、食べやすい品種開発がすすめられ、中型の薄肉で香りが少ないタイプが誕生し、現在の主流となった。

 ピーマンの生育適温は22~30度で、高温を好む。そのため、かつては夏から秋を中心に出荷される野菜であったが、現在では施設栽培により周年供給されている。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和元年の作付面積は、3200ヘクタール(前年比99.4%)と、前年よりわずかに減少している。
上位5県では、
・茨城県  543ヘクタール(同103.2%)
・宮崎県  305ヘクタール(同100.0%)
・岩手県  189ヘクタール(同102.7%)
・鹿児島県  146ヘクタール(同 98.6%)
・高知県  125ヘクタール(同 96.9%)
となっている。

図4

 令和元年の出荷量は、12万9500トン(前年比104.0%)と、前年よりやや増加した。
上位5県では、
・茨城県  3万1800トン(同101.6%)
・宮崎県  2万6200トン(同104.4%)
・高知県  1万3200トン(同102.3%)
・鹿児島県  1万2000トン(同102.6%)
・岩手県  6820トン(同105.2%)
となっている。

図5
 

 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の11.00トンが最も多く、次いで宮崎県の9.05トン、鹿児島県の8.84トンと続いている。その他の道県で多いのは、北海道(6.36トン)、沖縄県(6.35トン)であり、全国平均は4.55トンとなっている。

単収

作付けされている主な品種等

 ピーマンは、大きさや形、色などのほかに、栽培特性や耐病性などの違いによって多くの品種が存在する。各産地では、それぞれの栽培条件に適した品種を選定し、その特性を生かせるように日常の管理を行っている。比較的多くの産地で栽培されている京鈴(きょうすず)、みおぎは、薄肉中型種である。

 最近では、赤や黄色などのカラーピーマンのほかにも、特有の青臭い香りを抑えたピーマン、甘味を追求したピーマンなども注目されている。

品種

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、施設栽培技術の普及によって通年の栽培が可能となり、茨城産は年間を通じて入荷している。3月から7月、9月から11月までの入荷は茨城産が中心となっているが、7月から10月にかけては岩手産、福島産、青森産などの東北産も目立つ。また、11月から翌5月にかけては、宮崎産、高知産、鹿児島産などの西南暖地産が入荷している。

東京
 

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、11月から翌6月にかけての入荷は、宮崎産、鹿児島産、高知産などの西南暖地産が中心となっている。7月から10月までは、大分産、青森産などの入荷が多い。また、東京都中央卸売市場と比べ、兵庫産(7~9月)、北海道産(8~9月)の入荷も多く見られる。

大阪

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場の価格(令和元年)は、1キログラム当たり318~714円(年平均456円)の幅で推移している。総入荷量が増える3月から6月にかけては、価格は下げ基調で推移する。入荷量が安定している7月から11月は価格も安定して推移し、総入荷量が減少する12月から翌2月の価格は上げ基調に転じる。

卸売

輸入量の推移

 ピーマンの輸入の大部分は、厚肉大型種である生鮮ジャンボピーマン(パプリカ)が占めている。冷凍ピーマンは、ピザなどの冷凍食品向けに輸入されている。平成24年に3万2893トンであった生鮮ジャンボピーマンの輸入量は、その後、増加傾向で推移し、令和元年には約1.3倍の4万2591トンとなった。

 元年の国別輸入量を見ると、生鮮ジャンボピーマンでは韓国が8割以上を占め、オランダ、ニュージーランドと続いている。冷凍ピーマンは、9割以上を中国が占めている。

輸入量1

生鮮

冷凍

輸出量の推移

 輸出実績はほとんどなかったが、平成30年にシンガポール向けに1トン輸出があり、令和元年度の輸出量は6.2トンと大幅に増え、その輸出先は韓国が3.7トン、シンガポールが1.5トン、香港が0.9トンとなっている。

輸出量

消費の動向

 近年、ピーマンの1人当たりの年間購入量は、870~1000グラムで推移している。
 緑色のピーマンは未熟なうちに収穫したものであり、完熟させると赤やオレンジ、黄色になるものもある。近年は大型のカラフルな完熟品が出回るようになり、くせがなくて柔らかく、甘みが強いため、サラダや料理のいろどりにと使用用途も広がっている。
 ピーマンは、栄養豊富な野菜である。緑のピーマンは特にビタミンCを多く含み、みかんの約2倍、トマトの約5倍もある。ビタミンCは皮膚や粘膜の健康維持を助けるとともに、抗酸化作用を有することが知られている。ベル系の大型かつ肉厚のピーマンはパプリカとも呼ばれ、完熟果は赤色や黄色を呈する。緑ピーマンより栄養が豊富で、赤ピーマン、黄ピーマンともに、緑ピーマンより約2倍多くビタミンCを含み、生でも食べやすいためビタミンCを効果的に摂取できる。また、赤ピーマンは緑ピーマンより約2.5倍のβ-カロテンを有している。
 ピーマンは水気に弱いため、通気性を良くした穴あきのポリ袋などに入れての保存がよい。また、冷やしすぎは品質が落ちるため、10度前後の冷蔵庫の野菜室に入れれば1週間は保存が可能である。一つが傷むとほかのものの傷みが早くなるため、まとめて保存する場合はヘタの色をこまめに確認し、傷んだものを取り除くのが良い。

1当たり

小売価格