ピーマンは、とうがらしの一種で辛みのない大型のとうがらしの仲間である。昔のピーマンは、現在のものより大きめで、肉も厚く青臭い独特な香りが強く、少し食べづらいものであったため、敬遠する人も少なくなかった。そのため、食べやすい品種開発がすすめられ、中型の薄肉で香りが少ないタイプが誕生し、現在の主流となった。
ピーマンの生育適温は22~30度で、高温を好む。そのため、かつては夏から秋を中心に出荷される野菜であったが、現在では施設栽培により周年供給されている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の11.00トンが最も多く、次いで宮崎県の9.05トン、鹿児島県の8.84トンと続いている。その他の道県で多いのは、北海道(6.36トン)、沖縄県(6.35トン)であり、全国平均は4.55トンとなっている。
ピーマンは、大きさや形、色などのほかに、栽培特性や耐病性などの違いによって多くの品種が存在する。各産地では、それぞれの栽培条件に適した品種を選定し、その特性を生かせるように日常の管理を行っている。比較的多くの産地で栽培されている京鈴、みおぎは、薄肉中型種である。
最近では、赤や黄色などのカラーピーマンのほかにも、特有の青臭い香りを抑えたピーマン、甘味を追求したピーマンなども注目されている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、施設栽培技術の普及によって通年の栽培が可能となり、茨城産は年間を通じて入荷している。3月から7月、9月から11月までの入荷は茨城産が中心となっているが、7月から10月にかけては岩手産、福島産、青森産などの東北産も目立つ。また、11月から翌5月にかけては、宮崎産、高知産、鹿児島産などの西南暖地産が入荷している。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、11月から翌6月にかけての入荷は、宮崎産、鹿児島産、高知産などの西南暖地産が中心となっている。7月から10月までは、大分産、青森産などの入荷が多い。また、東京都中央卸売市場と比べ、兵庫産(7~9月)、北海道産(8~9月)の入荷も多く見られる。
東京都中央卸売市場の価格(令和元年)は、1キログラム当たり318~714円(年平均456円)の幅で推移している。総入荷量が増える3月から6月にかけては、価格は下げ基調で推移する。入荷量が安定している7月から11月は価格も安定して推移し、総入荷量が減少する12月から翌2月の価格は上げ基調に転じる。
ピーマンの輸入の大部分は、厚肉大型種である生鮮ジャンボピーマン(パプリカ)が占めている。冷凍ピーマンは、ピザなどの冷凍食品向けに輸入されている。平成24年に3万2893トンであった生鮮ジャンボピーマンの輸入量は、その後、増加傾向で推移し、令和元年には約1.3倍の4万2591トンとなった。
元年の国別輸入量を見ると、生鮮ジャンボピーマンでは韓国が8割以上を占め、オランダ、ニュージーランドと続いている。冷凍ピーマンは、9割以上を中国が占めている。
輸出実績はほとんどなかったが、平成30年にシンガポール向けに1トン輸出があり、令和元年度の輸出量は6.2トンと大幅に増え、その輸出先は韓国が3.7トン、シンガポールが1.5トン、香港が0.9トンとなっている。