すいかはウリ科の植物で、原産地はアフリカ中部の砂漠地帯や南部のカラハリ砂漠と考えられている。栽培の歴史は古く、約4000年前には栽培が行われていたことが壁画にも残されているが、古代エジプト人は主に種子を利用していたようである。中近東や中央アジアなどの砂漠地帯では、水がわりの飲料として珍重された。その後、インドからシルクロードを経て中国へと広がったすいかには「西域から伝わった瓜」という意味から「西瓜」という字が当てられた。日本へは17世紀に中国から渡来したといわれている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、長野県の5.21トンが最も多く、次いで鳥取県の4.78トン、熊本県の3.92トンと続いている。その他の県で多いのは、石川県の4.56トン、茨城県の3.90トンであり、全国平均は3.36トンとなっている。
すいかの品種は、形や大きさ、果肉の色、果皮の色、柄に加えて作型によっても異なり、バリエーションが豊富である。主に、種苗会社によって育成された品種が全国的に栽培されているが、ジャンボすいかとして出回る黒部すいかや真っ黒な皮が特徴のでんすけすいかなど地方の特産品として親しまれている品種もある。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、熊本産が3月から入荷し5月のピークを境に千葉産や茨城産といった近在県に移行する。入荷のピークとなる7月には近在県に加え、山形産、新潟産、長野産が入荷、8月には秋田産、青森産が入荷し、9月以降、入荷量は激減する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、4月から6月にかけて熊本産、長崎産、さらに6月から鳥取産、石川産、和歌山産が入荷する。ピークとなる7月から8月にはこのほか長野産、山形産、秋田産、青森産など東日本からの入荷がみられ、9月以降は急減する。
東京都中央卸売市場における国内産すいかの価格(令和元年)1キログラム当たり163~336円(年平均180円)の幅で推移している。天候などの影響を受けるものの、ハウス栽培ものの出荷が始まる4月から下降基調となり、令和元年は露地栽培ものの出荷がピークを迎える7月に最安値となった。低温条件下での生育は鈍くなるため、気温が低下する10月以降は品薄となることから、再び価格は高値基調となる。
すいか(生鮮)の輸入量は、平成23年に3055トンと大きく増加し、これは同年6月に大雨に見舞われたことなどにより茨城産や長野産、山形産の出荷が遅れ、国産品が高値で推移したことなどが原因と見られ、その後は減少傾向で推移している。輸入国の内訳では米国、韓国、メキシコのほか、令和元年は豪州からの輸入がみられる。
年によって輸出量にバラツキはあるが、令和元年は69万トンと、ここ数年で最も多くなっている。輸出先は香港がほとんどで、令和元年は68万トンとなっている。
近年、すいかの1人当たり年間購入量は1200~1400グラムで推移している。夏を代表する果実的野菜だが、核家族化や果実消費の多様化などから消費は減少傾向にある。近年、1玉単位での販売以外に、カットされた状態や、持ち帰りに便利、生ゴミを減らしたいというニーズから一口サイズにカットされた状態での販売も増え、消費者も求めやすくなっているが、長雨や低温が続くと消費は伸び悩む傾向にある。また、夏の限定商品として、すいか飲料やすいかゼリーなどの商品も提案されており、すいかの新しい楽しみ方が増えている。
成分としては、ウォーターメロンの名前の通り9割が水分だが、赤肉のすいかにはトマトと同じ色素で抗酸化作用のあるリコペンが豊富に含まれている。また、むくみ解消や利尿作用が期待できるカリウムを含んでおり、熱中症や夏バテ予防として取り入れたい野菜の一つである。貯蔵適温は8~10度と野菜室より若干、高めなので、冷やしすぎには注意したい。カット売りが主流になり中身を確認できるようになったと同時に、糖度を表示して出荷する産地も増えているので購入の際は参考にしたい。