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今月の野菜 野菜情報 2021年4月号

にらの需給動向

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調査情報部
主要産地

栃木
茨城
 にらはユリ科ネギ属の多年草で原産地は中国西部である。東アジア各地に自生しており、欧米では栽培されていない東洋を代表する野菜である。にらは緑色の葉を利用する葉にら、とう立ちした若い花茎を利用する花にら、遮光して栽培する黄にらと大きく3種類に分類できる。刈り取った後、次々と新芽が伸びるため、多い場合は一つの株から5回程度収穫できる。現在はハウスでの栽培が主流で、西日本と東日本では加温のタイミングや品種選定で違いはあるものの、周年栽培され流通している。

作付面積・出荷量・単収の推移

 令和元年の作付面積は、2000ヘクタール(前年比99.0%)と、前年よりわずかに減少している。
上位5県では、
●栃木県364ヘクタール(同 101.1%)
●高知県248ヘクタール(同 101.2%)
●茨城県212ヘクタール(同 101.9%)
●山形県202ヘクタール(同 100.0%)
●群馬県161ヘクタール(同  89.0%)
となっている。

作付

 令和元年の出荷量は、5万2900トン(前年比100.0%)と、前年並みとなった。
上位5道県では、
●高知県1万4000トン(同  97.9%)
●栃木県9770トン(同 103.9%)
●茨城県6990トン(同  97.4%)
●宮崎県3280トン(同 106.1%)
●北海道2820トン(同 102.2%)
となっている。

出荷

 出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の5.85トンが最も多く、次いで北海道の4.48トン、宮崎県の3.73トンと続いている。その他の県で多いのは、福岡県4.96トン、大分県4.48トンであり、全国平均は2.92トンとなっている。

単収

 

作付けされている主な品種等

 多年草のにらは低温と短日により休眠し、一定以上の低温に遭遇することで休眠が打破されるが、休眠により萌芽の遅れや生育遅延が起きる。2~3年かけて同じ株から収穫を繰り返すため、冬場の休眠を考慮した休眠の浅い品種を導入するなど、品種選びが収量を左右する。にらは収穫および調製作業の効率も重要なことから、分げつ数は少ないが葉鞘がしっかりした「ミラクルグリーンベルト」や「タフボーイ」が広く導入されている。

品種
 

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、栃木産、茨城産が大きな割合を占める。千葉産も通年で入荷されるが、気温が高くなる6月~9月は山形産や北海道産も見られる。10月以降、翌6月までは高知産や宮崎産、長崎産といった西日本産地からも入荷している。

東京

 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、通年、高知産と大分産で大部分を占めており、その他に福岡産や宮崎産などが見られる。入荷量のピークは3月で夏場に向けて数量が減少する。数量が減る夏場には北海道産が入荷する。

大阪

東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場の価格(令和元年)は、1キログラム当たり334~979円(年平均611円)の幅で推移している。2月から6月ごろにかけて下げ基調で推移し、入荷量が比較的少ない冬に高値となる傾向にある。

国内

輸入量の動向

 にらの輸入量(生鮮および冷凍)は、2500トン程度で安定して推移しており輸入先は中国が主となっている。輸入量のうち生鮮は30トン程度で大部分が冷凍である。冷凍にらはカットされた状態で輸入され、主に業務用として食品加工会社などで総菜などに使われている。

輸入

消費の動向

 にらの供給量(収穫量+輸入量)を見ると、近年は6万~7万トンの間で安定して推移している。現在では、栄養価の高い緑黄色野菜として通年、店頭に並び安定した需要を保っているが、らっきょう、にんにくといった他のネギ属の野菜同様、古くは薬効を期待して利用されており消費が増えたのは戦後である。
 栄養成分の中でも特にビタミンA(カロテン)を豊富に含み、そのほか、強い抗酸化力を持ち老化を防ぐビタミンEが豊富で両者とも脂溶性なので肉類と一緒に食べれば無駄なく摂取できる。さらに、血液を凝固させたり丈夫な骨作りに重要な役割を果たすビタミンK、ビタミンB群の一種であり、胎児の正常な発育に重要で認知症予防効果のある葉酸などを含んでいる。
 にらの強いにおいのもとであるアリシンは根元に多く、葉先にはカロテンやビタミンEが豊富に含まれるので調理の際は根元から先に加熱したい。

供給量

表

ネギ