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やまのいもの需給動向   調査情報部





やまのいもが属するヤマノイモ科ヤマノイモ属には600種以上の植物があり、アジア、アフリカ、中南米を中心に世界中に分布し、多くが食用として利用されている。植物学上、「ヤマノイモ」は自生している自然薯のことを指すが、野菜としては同じヤマノイモ属に属する「ナガイモ」も含めて「やまのいも」と称している。日本で食用にされているものは、中国原産の山芋、日本原産のねんじょ、東南アジア原産のだいじょの3種に分類される。

本記事においては下記のとおり表記する。

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作付面積・出荷量・単収の推移

令和元年の作付面積は、7130ヘクタール(前年比100.0%)と、前年並みとなった。

上位5県では、

●青森県2,280ヘクタール(同 100.0%)

●北海道2,070ヘクタール(同 108.4%)

●千葉県497ヘクタール(同 99.8%)

●群馬県484ヘクタール(同 93.8%)

●長野県285ヘクタール(同 94.7%)

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となっている。

令和元年の出荷量は、14万5500トン(前年比108.3%)と、前年に比べてかなりの程度増加した。

上位5道県では、

●北海道63,300トン(同 118.1%)

●青森県51,200トン(同 103.4%)

●群馬県5,050トン(同 100.6%)

●長野県5,010トン(同 94.7%)

●千葉県4,830トン同 99.8%)

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となっている。

出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、北海道の3.60トンが最も多く、次いで青森県の2.47トン、長野県の2.36トンと続いている。その他の県で多いのは、鳥取県の3.10トンであり、全国平均は2.42トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

かつてはいちょういもが主流だったが、ながいもの作付けが増えている。日本全国で栽培されているが、特に青森県と北海道が主力産地となっており、独自の品種開発されている。いちょういもは調理しやすい棒状のばち形が好まれており、関東では、大和やまといもと称し販売されることが多い。三重県の伊勢芋や兵庫県の丹波芋といった特産品もある。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、青森産に次いで北海道産の割合が高く、この2産地で約8割を占める。千葉産、茨城産、群馬産、埼玉産の入荷も通年で見られる。貯蔵できるため、大きな入荷のピークはないが4~9月にかけて入荷が増える。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、北海道産に次いで青森産の割合が高く、この2産地で約9割を占める。入荷量のピークとなる11~12月には、秋田産もみられる。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場における卸売価格は、平成28年産が台風、長雨などにより正品率が低かったため、29年は高騰した。30年以降は下落しており、特に野菜全般で安値傾向であった令和元年は低迷し

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輸入量の動向

ながいもの輸入量は、生鮮、冷凍ともに600700トン程度で推移している。生鮮は中国が減少している一方でベトナムが増加ている。冷凍に関しては、中国からの輸入が大半を占めている。

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輸出量の動向

ながいもはいちごと並び海外展開が進んでいる品目で、台湾、米国が大きな市場となっている。平成28年産が台風などにより作柄不良だったため29年の輸出量は減少したが、その後は元に戻っている。台湾では薬膳料理やジュースの材料として人気があり、大型サイズが好まれる傾向がある。米国では西海岸のアジア系マーケットが販売の中心となっており、米国東海岸やシンガポールなどにも市場を拡大している。

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やまのいもの消費動向

東京都区部の小売価格は平成28年産の作柄不良により29年急騰したが、その後、下降し1キログラム当たり800円強で推移している。

北海道産や青森産のながいもは粘りが少なめで水分が多く、シャキッとした歯触りを生かした千切り、たたきで酢の物にする他、山かけや揚げ物のつなぎに利用される。

平たい形の扁形種は関東で生産が多く、やまといもと称して販売される。ながいもよりも粘りが強く、あくが少ないのでとろろに向く。

丹波芋や伊勢芋に代表される、こぶしのようなごつごつした形状のいもは粘り気が最も強く、肉質も良いことから高級食材として需要があり、また、和菓子や練り物のつなぎとしても利用される。

自然薯の天然ものは栽培期間が年と長く、土中深く根が張って掘り出すのが困難なため市場に出回るのはほとんどが栽培ものである。粘り気が強く、風味がよいためとろろに最適である。

晩秋から初冬にかけては、やまのいもの子どもである「むかご」が出回る。小さいが味はやまのいもと変わらないので、炊き込みごや塩ゆで、バター炒め、素揚げ、煮物、汁の実など幅広く楽しみたい。

中国では古くから滋養強壮剤の漢方薬として利用されており、カリウム、マグネシウムなどのミネラルの他、ビタミンB群、C群をバランスよく含む。また、でん粉分解酵素であるアミラーゼ(ジアスターゼ)を豊富に含み、胃腸の働きを促すことから、日本でも昔から薬用食、強精食として重用されている

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