にがうりはウリ科の野菜で、別名「ツルレイシ」とも呼ばれる。平成12年に放送された連続ドラマ小説「ちゅらさん」によって沖縄県の方言である「ゴーヤー」という名称が全国に知れ渡った。インド、バングラディシュなどの熱帯アジアで広く自生しており、東インドを中心とした熱帯アジア地域が原産地とみられる。沖縄県には15世紀に中国から導入され、栽培が始まったとされている。暑さに強く、栽培し易いことから家庭菜園でも人気の品目である。
平成30年の作付面積は、705ヘクタール(前年比86.9%)と、28年に比べてかなり大きく減少した。
上位5県では、
●沖縄県271ヘクタール(同 84.4%)
●鹿児島県118ヘクタール(同 85.5%)
●宮崎県83ヘクタール(同 73.5%)
●群馬県69ヘクタール(同132.7%)
●長崎県42ヘクタール(同 80.8%)
となっている。
平成30年の出荷量は、1万6428トン(前年比86.0%)と、28年に比べてかなり大きく減少した。
上位5県では、
●沖縄県6,247トン(同 86.5%)
●宮崎県2,242トン(同 71.1%)
●鹿児島県2,006トン(同 95.5%)
●群馬県1,512トン(同105.7%)
●熊本県1,222トン(同113.7%)
となっている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの単収を見ると、熊本県の4.40トンが最も多く、次いで宮崎県の2.74トン、沖縄県の2.71トンと続いている。その他の県で多いのは、高知県の5.17トンであり、全国平均は2.56トンとなっている。
形状と色で紡錘形(緑)、円筒形(緑)、三角形(緑)、卵形(白)に分けられる。かつては、地方野菜として沖縄県や九州地方で限定的に栽培されていたが、消費の高まりとともに、民間企業で品種開発が進み、暑い時期でもよく育ち、土壌適応性も高いことから栽培範囲は関東地方にも広がった。各県でも品種の育成普及に力を入れており、雌花率が高い群星、ハウス用品種の夏盛、冬季のハウス栽培向けの汐風はいずれも沖縄県の試験場で、また、か交5号は鹿児島県の試験場で育成された品種である。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、関東産の入荷が少ない10月~翌6月は沖縄産、長崎産、宮崎産、鹿児島産が多く、6月以降ピークとなる8月にかけては茨城産、群馬産、栃木産といった近在産地からの入荷が増える。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(令和元年)を見ると、12月~翌6月までは沖縄産が入荷し、入荷量が増える5月以降ピークとなる8月にかけては長崎産、鹿児島産、宮崎産を中心に九州からの入荷が多くなるほか、7~9月は和歌山産も入荷する。
東京都中央卸売市場における卸売価格は、1~6月まではキログラム当たり400~500円前後で推移し、入荷量が増える7~9月は下落する。入荷量が減ってくる10~12月が最も高い時期となる。
生鮮にがうりの輸入量は、年によって大きなバラツキがあり、近年はメキシコ、フィジーから輸入しているが、数量的にはわずかである。冷凍にがうりも年によってバラツキがあるが減少傾向であり、中国産が減少する一方でタイ産が増えている。
にがうりは沖縄県の伝統野菜で、収穫量も沖縄県が最も多い。代表的な料理であるゴーヤーチャンプルーの「チャンプルー」とは沖縄県の方言で「ごちゃまぜ」を意味し、にがうり、豆腐、豚肉などさまざまな食材を一緒に炒めた非常に栄養バランスのよい一品である。にがうりは100グラム中に76ミリグラムのビタミンCが含まれており、これはキャベツの約2倍である。ビタミンCは加熱に弱いが、にがうりは果皮が硬いため損失が少ないのも特徴である。にがうりの特徴でもある苦みは「モモルデシン」と呼ばれる成分で、食欲増進が期待できる。苦みが強すぎる場合は、薄くスライスして塩もみをすると苦みが和らぐ。全国的な人気の高まりから平成16年には特認野菜として当機構の特定野菜事業の対象にもなっており、収穫量は減少傾向だが、価格も安定しているので夏バテ解消に積極的に食卓に取り入れたい。