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さやえんどうの需給動向   調査情報部





えんどうはマメ科の一年草で中央アジアから中東が原産である。古代エジプトのツタンカーメン王陵の遺跡からも種子が発見されており、最古の野菜ともいわれる。日本へは10世紀ころに穀物として伝来し、さやえんどうとしては江戸時代にヨーロッパから伝わった。比較的、低温を好み気温が25度を越えると樹勢が低下するため、夏場の出荷は産地が限られる。若さやを食用とする“さやえんどう”は完熟しない実をさやごと食べる絹さやと大さや、肥大した実をさやごと食べるものがスナップと大きく2種に分けられる。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成30年の作付面積は、2910ヘクタール(前年比95.4%)と、前年に比べてやや減少した。

上位5県では、

鹿児島県390ヘクタール(同 92.9%)

福島県249ヘクタール(同 98.0%)

愛知県134ヘクタール(同 98.5%)

千葉県126ヘクタール(同 95.5%)

岩手県101ヘクタール(同 94.4%)

となっている。

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平成30年の出荷量は、1万2500トン(前年比90.6%)と、前年に比べてかなり減少した。

上位5県では、

鹿児島県3,690トン(同 87.0%)

愛知県1,060トン(同 95.5%)

福島県871トン(同 99.1%)

和歌山県655トン(同 80.6%)

静岡県445トン (同 95.7%)

となっている。

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なお、25年から作付面積および出荷量が減少しているのは、さやえんどうに含まれていたグリーンピースが25年から分離されたことによる。

出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、鹿児島県の1.13トンが最も多く、次いで和歌山県の0.98トン、愛知県の0.97トンと続いている。その他の県で多いのは、大分県の0.88トンであり、全国平均は0.67トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

美しい花が特徴のえんどうだが、さや用種の花には白色(美笹、電光30日など)と赤紫色(姫みどり、ゆうさやなど)の2種あるのが特徴である。さつま白花は、その名の通り鹿児島県で開発された品種である。また、さやえんどうには、長さが10センチ以上になる大莢と短い絹さやがあるが大莢は少なくなっており、収穫作業の負担が少ないこともあってスナック753などのスナップ種が増えている。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、11~2月までは温暖な鹿児島産、長崎産を中心に愛知産、タイ産や中国産といった輸入ものも見られる。ピークの3月および4月には、愛知産のほか九州の産地、静岡産が入荷し、5月以降10月にかけては福島産、茨城産、青森産、岩手産、北海道産などに産地が移行し、数量は減少しながら推移する。8~10月にかけてはペルー産やタイ産など海外産の入荷がある。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、11~2月までは温暖な鹿児島産、和歌山産を中心にわずかにタイ産など海外産も入荷する。ピークの3月および4月には、九州の産地のほか和歌山産、徳島産が入荷し、5月以降、9月にかけては福島産、青森産、岩手産などに産地が移行し、数量は減少する。夏場の7~9月にかけては北海道産、10月には広島産もみられる。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場における平成30年の国内産の卸売価格は、入荷量が少ない8~9月ごろに高くなり、11月以降は1キログラム当たり1000~1500円の間で推移している。一方、外国産については、通年、1キログラム当たり500~1000円の間で推移する。

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輸入量の動向

えんどうの輸入量は、生鮮では平成24年をピークにタイ産や中国産が減少しており、近年はペルーやグアテマラといった中南米産が増えている。冷凍については、1万2000トン前後で安定して推移しており、中国、米国、ニュージーランドの3ヵ国で大部分を占める。

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さやえんどうの消費動向

さやえんどうは、菜の花と並び春の行事には欠かせない野菜である。1人当たり年間購入数量は減少傾向で推移しており、平成30年には598グラムとなったが、近年はボリューム感のあるスナップも人気である。β-カロテンが多い緑黄色野菜に分類され、葉酸、ビタミンKも含まれる。また、100グラム当たりのビタミンC含有量はいちごに匹敵する。さやえんどうの鮮やかな緑色は、料理の彩りとして欠かせない存在であり、さらにβ-カロテンは油分と一緒に採ると吸収されやすくなるので味噌汁やサラダのトッピング、さらに肉料理の添え物として幅広く活用できる。

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