カリフラワーはアブラナ科でケールから分化した野菜である。原産地は地中海沿岸の温暖地とされており、冷涼な気候を好む一方で、耐寒性、耐暑性はあまりない。フランス語のchou-fleurは「キャベツの花」という意味で、その名の通り蕾が発達せずに肥大した部分を食用としている。インドやミャンマーなどには19世紀中ごろに伝わり、食卓に欠かせない野菜となっている。日本へも同時期にあたる明治初年に導入されたが、洋菜として一般に出回るようになったのは、戦後、生野菜を使ったサラダが普及し始めた昭和30年後半以降である。しかし、50年代以降、緑黄色野菜であるブロッコリーの人気が高まり、入荷量が減少している。
平成30年の作付面積は、1200ヘクタール(前年比97.6%)と、前年に比べてやや減少した。
上位5県では、
●茨城県113ヘクタール(同 98.3%)
●熊本県96ヘクタール(同 109.1%)
●埼玉県95ヘクタール(同 96.0%)
●愛知県95ヘクタール(同 95.0%)
●新潟県83ヘクタール(同 98.8%)
となっている。
平成30年の出荷量は、1万6600トン(前年比97.6%)と、前年に比べてやや減少した。
上位5県では、
●茨城県2,170トン(同 101.4%)
●熊本県1,860トン(同 102.2%)
●徳島県1,710トン(同 92.4%)
●愛知県1,530トン(同 102.0%)
●長野県1,500トン(同 93.2%)
となっている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、熊本県の2.25トンが最も多く、次いで徳島県の2.24トン、茨城県の2.04トンと続いている。その他の県で多いのは、大阪の2.24トンであり、全国平均は1.64トンとなっている。
冷涼な気候を好み、品種によって花芽分化、花蕾形成の適温と必要期間とが異なる。また、早生、中生、晩生で定植時期の苗令や生育期間が違ってくるので産地と作型によって栽培品種が決まってくる。花蕾が白色のものが主流だが、このほかに黄色、オレンジ色、紫色がある。さらに、花蕾が黄緑色で幾何学的形状をしたロマネスコと呼ばれるタイプも冬場を中心に出回っている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、1~3月までは埼玉産のほか愛知産、徳島産、福岡産、熊本産など幅広い産地からの入荷が見られる。4~6月は茨城産、山梨産、夏場の7~8月は長野産、9~11月は新潟産と産地が移行している。年末にかけて埼玉産、神奈川産、茨城産など近在の産地と熊本産、福岡産、愛知産などが入荷し12月にピークとなる。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、気温が高くなる6~9月は長野産が主流となっており、10月以降は徳島産のほか、岡山産、福岡産、兵庫産などからの入荷が増える。年間通して徳島産が多く、特に3月と5月はピークとなるが4月は作型と品種の切り替わり時期となり減る傾向がある。
東京都中央卸売市場における国内産カリフラワーの価格は、入荷量の減少する7~8月に上昇し9月以降に下落しキログラム当たり200~400円の範囲で変動している。平成29年末に関しては、秋口の台風の影響で年末に価格が上昇した。
生鮮カリフラワーの輸入量は、平成24年をピークに減少しており、近年はごくわずかである。冷凍カリフラワーは平成23~27年までは減少傾向だったが、27年以降はメキシコ産が安定的に入荷しているほか、29年にはベルギーからの入荷量が一時的に増えている。これは、カリフラワーを細かくカットし白米の代用とする利用方法が広まったことが要因と考えられる。
カリフラワーは、ブロッコリーとともに「ハナヤサイ」に分類される。栄養価についてみるとブロッコリー同様、ビタミンCが豊富なのが特徴だが、特にカリフラワーのビタミンCは加熱しても流出しにくいことが魅力である。品質的には、純白で締まりがよいことが求められるが、触れた部分から変色してしまい、非常に繊細で衝撃に弱い。かつては、ブロッコリーよりもカリフラワーのほうが生産量が多かったが、現在は逆転している。
ハナヤサイは収穫後も発育し呼吸を続け、気温が20度以上になると花蕾が開いてしまうので、硬めに湯がいてピクルスにして保存するのもおすすめである。
また、細かくカットしたカリフラワーを米飯に見立てた「カリフラワーライス」は摂取カロリーを抑えたいというニーズに応える商品として、昨今、注目が高まっている。