[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

セルリー(セロリ)の需給動向   調査情報部





セルリー(セロリ)(以下「セルリー」という)はセリ科で原産地は地中海地方の湿地や海岸とされており、アジア地域でも在来種が広く分布している。

豊臣秀吉の朝鮮出兵の際に日本に伝来したという説があるが、食用としての栽培は明治以降である。セルリーはフランス語の発音に由来しているが、店頭ではセロリとも表記される。和名はオランダミツバである。野菜として利用するのは若い葉と茎の部分である。生育適温は15~20度で、それ以下の低温になると花芽をつけて抽台してしまう。また、非常に多くの堆肥を必要とし、環境のよい土壌でなければよい株ができない。播種から収穫までの生育期間は約半年と栽培期間が長く、栽培にノウハウが必要な野菜である。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成29年の作付面積は、580ヘクタール(前年比99.1%)と、前年に比べてわずかに減少した。

027a

上位5県では、

●長野県249ヘクタール(同 100.0%)

●静岡県100ヘクタール(同 98.0%)

●福岡県48ヘクタール(同 96.0%)

●愛知県41ヘクタール(同 100.0%)

●北海道23ヘクタール(同 104.5%)

となっている。

平成29年の出荷量は、3万600トン(前年比96.8%)と、前年に比べてやや減少した。

027b

上位5県では、

●長野県14,100トン(同 94.6%)

●静岡県6,040トン(同 97.3%)

●福岡県2,910トン(同 100.7%)

●愛知県2,530トン(同 98.1%)

●北海道789トン(同 119.2%)

となっている。

出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、愛知県の6.47トンが最も多く、次いで福岡県の6.34トン、静岡県の6.32トンと続いている。その他の県で多いのは、香川県の6.93トンであり、全国平均は5.55トンとなっている。

027c

作付けされている主な品種等

茎葉の色によって、黄色種、緑色種、中間種、赤色種、白色種と分類されるほか、肥大した地下部を食用とするセルリアック(根セルリー)もある。日本では香りの優しい黄色種のコーネル系が多いが、欧米では加熱調理することから濃い色香りが好まれ緑色種が主流である。ハウス栽培が急速に普及した昭和30年代以降、作型の分化にともなって産地の環境に適応した品種開発が篤農家により行われ、JA山形市の「若竹」やJA信州諏訪の「諏訪3号」など産地で長年にわたり採種され門外不出となっている品種もある。

028a

東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、1~4月は静岡産、愛知産を中心に福岡産、香川産、茨城産となっている。5月以降は長野産が主流となり7月にピークとなった後、11月まで続いた。11月以降、静岡産、愛知産、福岡産などに産地が移行する。また、米国産入荷もみられる

028b

大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、1~4月は静岡産を中心に福岡産、熊本産、長崎産などが中心となる。5月以降、長野産が主流となり、11月以降は再び静岡産、福岡産、熊本産が増えてくる。米国産は通年、全体の1割程度の入荷がみられる。

029a

東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場における平成30年のセルリーの価格は野菜全体の価格上昇の影響を受け、夏場に上昇したものの、野菜全体の価格低迷により年末にかけてはここ3年でもっとも低い水準となった。

029b

輸入量の動向

セルリーの輸入量は、平成26年に1万トンを超えたが、その後は8000トン弱で推移している。米国からの輸入は27年に不作により減少した後、米国に代わってメキシコからの輸入がみられるようになっている。

030a

冷凍については、中国やベルギーから入っているが数量はわずかである。

030b

セルリーの消費動向

セルリーの独特の香りは精油成分に由来し、古代ギリシャ、ローマ時代には薬用植物として薬や香料として利用されており、生のままスムージーやスティック状サラダとして利用すれば、爽やかな香りをそのまま楽しむことができる。スープやシチューなど煮込み料理に加えると風味とコクが増し、深みのある仕上がりになるほか、肉や魚を焼いたり、蒸す際に加えることで臭み取り除き、爽やかな風味を残せるなど、幅広く利用できる野菜である。

芯に近くなるほど瑞々しく、旨味があるため、産地では取り除いた外葉を野菜ジュースや調味料、スープの素などの加工用として業者へ販売し、無駄なく出荷している。

栄養価としては、食物繊維の多さが魅力であり、カリウムやビタミンKを含む。ほかの野菜と比較するとビタミンB6が多いのが特徴である。

031a


産地紹介
元のページへ戻る


このページのトップへ