かぼちゃはウリ科の植物で、雌雄別々の花を着けるため受粉にはミツバチが使われることが多い。原産地である北米から南米では広い範囲で遺跡の中から発見されており、古くから種子、果実、花が食用にされてきたことが分かっている。日本では、16世紀ころから長崎県で栽培されていたという記録があるが、広まったのは18世紀以降である。かぼちゃのほか、「南京」とも呼ばれるが、「かぼちゃ」はカンボジアに、「南京」は中国南部の都市名に由来するといわれている。夜温が高いと、日中に葉でつくられた養分が果実へうまく運搬されず、品質が劣化することから比較的、冷涼な気候を好む。
平成29年の作付面積は、1万5800ヘクタール(前年比98.8%)と、前年に比べてやや減少した。
上位5県では、
●北海道7,340ヘクタール(同 99.2%)
●鹿児島県779ヘクタール(同 93.0%)
●長野県514ヘクタール(同101.6%)
●長崎県509ヘクタール(同 96.8%)
●茨城県478ヘクタール(同 97.0%)
となっている。
平成29年の出荷量は、16万1000トン(前年比110.6%)と、前年に比べて大幅に増加した。
上位5県では、
●北海道91,600トン(同 119.0%)
●鹿児島県7,620トン(同 96.3%)
●茨城県6,400トン(同 98.8%)
●宮崎県4,720トン(同 100.4%)
●長野県4,120トン(同 95.8%)
となっている。
出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、宮崎県の2.42トンが最も多く、次いで茨城県の1.65トン、北海道の1.33トンと続いている。その他の県で多いのは、千葉県の1.89トン、岡山県の1.72トンであり、全国平均は1.27トンとなっている。
かぼちゃは、大きさ、形状、色などの特性が品種ごとに強く現れる。日本に最も早く伝来したのは、表面の凹凸が大きく、ねっとりした肉質で皮の色が濃い日本かぼちゃだが、現在では、消費者の嗜好の変化により、つるりとした表皮でほくほくした肉質の西洋かぼちゃが栽培の主流となっている。品種の分化は非常に多く、ペポかぼちゃに分類されるズッキーニやそうめんかぼちゃなどのほか、伝統野菜や地方品種も親しまれている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、1月以降はメキシコ産や鹿児島産が増え、2~4月は沖縄産の入荷も見られるが、ニュージーランド(NZ)産の割合が高くなる。7月以降は近在の茨城産、神奈川産、栃木産が増えている。8月以降は東北の青森産、山形産、韓国産も入荷するが北海道産の割合が増え、9~11月には北海道産が大部分を占める。12月は再び、メキシコ産が増える。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成30年)を見ると、12~翌1月はメキシコ産、2~5月はNZ産が大部分を占め、入荷量のピークは5月となった。7月以降は、長崎産、鹿児島産、石川産が入荷する。8~10月までは韓国産やNZ産も見られるものの北海道産が大部分を占めている。11月はトンガ産、ニューカレドニア産が入荷し一気に輸入品の割合が増える。
東京都中央卸売市場における平成30年の国産かぼちゃの価格は、1キログラム当たり240~430円(年平均281円)の間で推移した。5~6月は輸入品から国産への切り替わりの時期だが、ここを境に国産が出回る11月まで、価格は下げ基調で推移し、輸入品に切り替わる12~4月は上昇する傾向がある。一方、輸入かぼちゃの価格は、93~230円(平均139円)となっており、8~12月はほぼ国産並みの価格で推移し、1~6月は国産のほぼ半値となった。
生鮮かぼちゃの輸入は、ニュージーランドとメキシコを中心に近年は10万トン前後で推移している。冷凍かぼちゃは平成23年をピークに激減している。
生鮮かぼちゃは香港を中心にシンガポール、マレーシアへの輸出が見られる。
かぼちゃの1人当たり年間購入量は、近年は減少傾向で平成30年には1.2キログラムとなっており、これは約1個分の重量である。一方で、小売価格は24年以降、上昇傾向で推移している。
かぼちゃは、ビタミンA(βカロテン)、ビタミンC、ビタミンEを多く含み、肌の潤いを保ち、抵抗力アップに欠かせない成分がそろっている緑黄色野菜である。ビタミン類を多く含むことから、冬至に食べる風習ができたのではないかとも言われている。また、炭水化物を多く含みエネルギー源にもなる。
かぼちゃは開花後40~50日で収穫されるが、収穫直後はでんぷんが多く甘味が回っていないので、産地では10日ほど追熟させて出荷をしている。まるごと購入した場合は、風通しの良い暗い場所なら数ヵ月ほど貯蔵できるが、カットした物は種子の部分から腐敗しやすいので、ワタごと種子を取り除いて冷蔵庫で保存する。
近年、かぼちゃの仲間として伸びが著しいズッキーニは、かぼちゃよりもカロリーが低く、ビタミンKやカロテン、ビタミンC、カリウムを含んでいる。また、サラダカボチャと称される皮ごと食べることができる品種も開発されている。さらに、ハロウィーンの定着とともに、「おもちゃかぼちゃ」と呼ばれるカラフルでサイズや形のバラエティ豊かな観賞用カボチャも豊富に店頭に並ぶようになっている。
強い日差しに負けない体作りを目指して、食べてよし、見てよしのかぼちゃを味わいつくしてみてはどうだろう。