トウモロコシはイネ科の植物で、原産地はメキシコから南米にかけてだと言われている。栽培の歴史は古く、マヤ、アステカ文明までさかのぼる。1492年にアメリカ大陸に到達したコロンブスがヨーロッパに持ち帰り、世界中に広まることとなった。日本では明治時代の北海道開拓が本格的な栽培のきっかけとなった。
トウモロコシは、米、麦と並ぶ世界三大穀物のひとつで、主に穀物として利用される硬粒種(フリント種)、家畜飼料用の馬歯種(デント種)、ポップコーン用の爆粒種(ポップ種)、スイートコーン(未成熟とうもろこし)として生食用や加工用に使われる甘味種(スイート種)などの種類がある。茎葉は堆肥や家畜の飼料としても利用される。
平成29年の作付面積は、2万2700ヘクタール(前年比94.6%)と、前年に比べてやや減少した。
上位5県では、
●北海道7,990ヘクタール(同 87.8%)
●千葉県1,770ヘクタール(同 100.0%)
●長野県1,270ヘクタール(同 100.0%)
●茨城県1,250ヘクタール(同 104.2%)
●群馬県1,200ヘクタール(同 100.0%)
となっている。
平成29年の出荷量は、18万6300トン(前年比123.6%)と、前年に比べて大幅に増加した。
上位5県では、
●北海道90,800トン(同 152.6%)
●千葉県14,100トン(同 93.4%)
●茨城県10,100トン(同 102.0%)
●群馬県8,620トン(同 101.7%)
●山梨県7,530トン(同 97.3%)
となっている。
出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、茨城県の1.22トンが最も多く、次いで山梨県の1.20トン、北海道の1.18トンと続いている。その他の県で多いのは、香川県の1.33トン、埼玉県の1.26トンであり、全国平均は1.02トンとなっている。
日本への導入当初から多数の交雑品種が開発されており、青果用としては、甘味が強く、日持ちの良い品種が好まれている。品種の数が多く、産地も力を入れていることもあってゴールドラッシュや味来など、品種名がブランドとして知られるのも特徴である。実が黄色いものが主流だが、グラビス、ミルフィーユは黄色と白の粒が混じるバイカラー種である。通常、収穫は上から順に熟した実をから収穫するが、2番目以降の穂を若採りしてベビーコーンやヤングコーンとしても出荷されている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、5月から宮崎産、長崎産といった九州からの入荷が始まり、6月以降は茨城産、山梨産、千葉産、埼玉産といった近在産地からの入荷が加わり、ピークは7月となる。8月以降は北海道産や岩手産など北からの入荷が増えるが10月以降は入荷が激減する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、4月に埼玉産が見られ、5月には長崎産を中心に宮崎産や徳島産の入荷があった。6月には愛知産、茨城産も加わり入荷量は急増し、ピークとなる7月には長野産も入荷する。8月以降は北海道産が主流となり、10月には入荷が激減する。
東京都中央卸売市場における平成30年の国内産スイートコーンの価格は、175~527円(年平均264円)の間で推移した。入荷量が増える7月から10月にかけては200円前後で推移し、11月以降は大きく値上がりする傾向が見られる。
スイートコーンの輸入量は、生鮮品は平成24年に一時的に豪州産が急増したが、その後、大きな動きはなく30年は10トンにも達していない。一方で、冷凍品は米国を中心にタイ、ニュージーランドからの輸入がみられ、近年は5万トン前後で推移している。乾燥品は中国が中心で、近年はベトナム産が増えている。その他調製品については、5万~6万トンで安定して推移しており、輸入国はタイ、米国となっている。
冷凍スイートコーンの輸出は25年に米国向けが急増したが、近年は10トン前後で推移している。その他調製品については、27年以降、安定的な推移が見られ、台湾を中心にシンガポール、香港向けが多い。
スイートコーンの旬はなんといっても夏である。茹でたスイートコーンはおやつやサラダ、天ぷらなど、幅広く利用できるほか、バーベキューなどで炭火焼きにするのも楽しみである。鮮度が非常に落ちやすく、時間と共に風味が落ちるので購入後はすぐに調理し、調理後はラップなどで包んで冷蔵庫で保管したい。ひげ一本一本に実がつながっているので、ひげが茶褐色で多いものは実が充実しているサイン。皮は乾燥を防ぐので、調理する直前までつけておくほうが好ましい。
栄養成分としては、糖質が多くエネルギー源となるほか、ビタミンB群、ビタミンE、カリウム、マグネシウムなどをバランスよく含み、また、食物繊維が豊富なので便秘予防も期待できる。とうもろこし茶など飲用にも使われるほか、ひげ(絹糸)は生薬としても知られている。