オクラはアフリカ原産でハイビスカスやハマボウと同じアオイ科に属し、美しい花は観賞用としても知られる。
中央アジア、インドなどにも広まり、17~18世紀にアメリカ大陸に伝わったといわれている。エジプトでは2000年以上前に栽培されていたという記録も残っており、世界各国で栽培されている野菜である。日本へは中国を経て幕末~明治初期に伝わったが、一般的に栽培されるようになったのは近年に入ってからである。
平成28年の作付面積は、876ヘクタール(26年比107.5%)となり、26年に比べてかなり増加した。
上位5県では、
●鹿児島県389ヘクタール(同 113.7%)
●沖縄県124ヘクタール(同 109.7%)
●高知県78ヘクタール(同 96.3%)
●熊本県43ヘクタール(同 100.0%)
●宮崎県42ヘクタール(同 113.5%)
となっている。
平成28年の出荷量は、1万1752トン(26年比105.7%)となり、26年に比べてやや増加した。
上位5県では、
●鹿児島県4823トン(同 104.9%)
●高知県1683トン(同 97.1%)
●沖縄県1444トン(同 128.9%)
●熊本県725トン(同 96.2%)
●福岡県536トン(同 91.0%)
となっている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の2.16トンが最も多く、次いで熊本県の1.91トン、福岡県の1.81トンと続いている。その他の県で多いのは、香川県の1.88トン、大阪府の1.76トンであり、全国平均は1.48トンとなっている。
オクラは草丈、形状(丸莢種、五角種、多角種)、莢の色や長さによって分類できる。品種によって草丈の差が大きく、熱帯地域ではかなり大きな樹になるものもあり、莢の長さも20センチメートル近くになるものもある。国内の主な栽培品種を見ると、緑色の五角種が多くを占めるが、直売所などでは丸莢や赤い莢の在来品種も見られる。栽培適温が25~30度と高く、熱帯地域では多年草だが、日本では一年草である。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、4月まではフィリピン産とタイ産が大部分を占め、5月以降に鹿児島産、高知産、沖縄産などの国産が増える。ピークとなる7月には群馬産や熊本産も入荷し10月までは国産品が多く、11月以降に再び輸入品に切り替わる。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、4月まではフィリピン産とタイ産が多く、5月から徐々に鹿児島産、高知産、徳島産、福岡産、香川産といった国産が増え、ピークは7月となる。9月以降は一気に入荷量が減少し、11月以降は再び輸入品が主流となる。
東京都中央卸売市場における国産オクラの価格は、入荷が増える5~10月までは安くなり、11月以降に上昇する傾向がある。平成30年は1キログラム当たり974~2717円(年平均1119円)の間で推移した。輸入オクラの価格は国産に比べて全体的に低めに推移する傾向にあるが、30年については全般的な野菜の高値の影響を受けて7~10月にかけても値が下がらず、同469~813円(年平均599円)となった。
生鮮オクラの輸入量(検査数量)は、6000トン前後で安定して推移しており、国別ではフィリピンとタイが大部分を占めている。冷凍オクラについては、減少傾向で推移している。
オクラの粘り成分は水溶性食物繊維で、便秘の予防や悪玉コレステロールの吸収を妨げるといった働きが期待される。また、ビタミンEやカルシウム、β-カロテンも豊富な緑黄色野菜である。鮮度がよいオクラを生のまま刻んで、冷奴などに添えれば栄養バランスも取れるのでおすすめである。加熱する際は、短時間で仕上げれば歯ごたえよく、彩り鮮やかに仕上がる。スープやカレーなどの煮込み料理にすれば、溶け出した成分も無駄なく取れる。夏場は国産品の出荷最盛期となり、鮮度もよく、価格も手ごろとなるのでさまざまな料理に活用したい。