らっきょうはユリ科ネギ属の多年草で、強健で吸肥力も強いため開墾地や砂丘地などのやせた土地でもよくできる。初夏に葉の下にある葉鞘と呼ばれる部分が肥大し、厚みを増して長卵型の鱗茎になる。鱗茎がある程度、成長すると休眠に入るが、休眠に入る前に収穫する。食用としているのは、この鱗茎で葉の部分である。原産地は中国で、日本へは平安時代に渡来した。当時は薬として用いられていたという記録が残っており、野菜として普及したのは江戸時代とされている。
平成28年の作付面積は、756ヘクタール(26年比91.3%)と、26年に比べてやや減少した。
上位5県では、
●鳥取県184ヘクタール(同 90.6%)
●鹿児島県175ヘクタール(同 79.2%)
●宮崎県162ヘクタール(同 143.4%)
●福井県 81ヘクタール(同 89.0%)
●沖縄県 48ヘクタール(同 56.5%)
となっている。
平成28年の出荷量は、8836トン(26年比88.1%)と、26年に比べてかなり大きく減少した。
上位5県では、
●鳥取県2836トン(同 102.2%)
●鹿児島県2083トン(同 75.8%)
●宮崎県1947トン(同 92.9%)
●徳島県462トン(同 100.0%)
●福井県412トン(同 77.8%)
となっている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、鳥取県の2.20トンがもっとも多く、次いで徳島県の1.44トン、鹿児島県の1.38トンと続いている。
その他の県で多いのは、新潟県の1.90トン、茨城県の1.66トンであり、全国平均は1.40トンとなっている。
古くから栽培されているものの品種の分化は少なく、大別して大球種と小球種に分けることができる。大球種は日本各地で栽培されている在来種が多く、代表品種に「らくだ」がある。小球種には「玉らっきょう」がある。台湾から導入された品種で分球が極めて多く、小粒なのが特徴である。
軟白茎葉を生食用にする沖縄県の島らっきょうは、土寄せや深植えすることにより茎葉を長く仕立てている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、5月は鹿児島産が主流で鳥取産、徳島産、高知産、宮崎産が入荷し、ピークとなる6月には鳥取産が一気に増え、茨城産の入荷も始まる。7月以降は入荷量が激減する。11月以降の冬場は沖縄産がわずかに入荷する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、5月は鳥取産を中心に、徳島産、鹿児島産、高知産が入荷した。ピークとなる6月は鳥取産が大部分を占める。
東京都中央卸売市場における平成30年のらっきょうの価格は、295~3217円(年平均1337円)の間で推移した。入荷量がピークになるのは5~6月だが、価格の底は7月となる。10月以降の冬場は沖縄産の島らっきょうの出荷時期となるが、露地生産で台風など天候の影響を受けやすいこと、また、野菜全般の価格が高かったことから29年および30年に関しては価格が急騰している。
塩蔵らっきょうの輸入量は平成23年以降は減少したが、26年以降は年間1000トン前後で推移している。輸入先国は中国がほとんどで、季節変動なく毎月、一定量が輸入されている。30年は12月にベトナムからの輸入がみられた。
健胃、整腸、食欲増進などの作用があるといわれるらっきょうは、古くから薬用として利用されている。また、水溶性の食物繊維を多く含み、コレステロールの上昇を抑えるほか腸内環境を良好に保つ働きがあるといわれている。カレーライスの名脇役であるらっきょう漬けは、シャキシャキした歯ざわりと独特の香りで食欲を増進するだけでなく、栄養的にもバランスのよい組み合わせと言える。
なお、漬物用の生鮮らっきょうが出回る時期は5~6月と非常に短く、また、泥付きのらっきょうは芽が出やすいので、できる限り早く使うように心がけたい。