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アスパラガスの需給動向   調査情報部





 アスパラガスはユリ科アスパラガス属の多年草で雌雄別株の植物である。また、アスパラガスは「茎葉が非常に細かく分岐している」という意味のギリシャ語を語源としている。原産地はヨーロッパ南部からロシアとされ、江戸時代にオランダ人によって長崎に伝えられたという説があるが当初は観賞用であった。食用としての栽培は、1871年に北海道開拓団によって導入されたのが始まりとされているが、当時は缶詰用のホワイトアスパラガスが主流であった。アスパラガスは戦後の食生活の洋風化や健康志向の高まりとともに、現在ではグリーンアスパラガスが主体で流通量の割以上を占めそれ以外に生鮮のホワイトアスパラガス、紫アスパラガス、ミニアスパラガスなどバリエーションが増えている。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成29年の作付面積は、5,330ヘクタール(28年比98.3%)と、28年に比べてやや減少した。

上位5県では、

●北海道1,310ヘクタール(同 94.2%)

●長野県 949ヘクタール(同 101.0%)

●秋田 410ヘクタール(同 100.0%)

●福島県379ヘクタール(同 97.4%)

●山形県 359ヘクタール(同 101.4%)

となっている。

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平成29年の出荷量は、23,000トン(28年比85.8%)と、28年に比べてかなり大きく減少した。28年秋の台風や天候不順による圃場の冠水、株の損傷などから生育が悪く、春先の出荷に大きく影響した。

上位5県では、

●北海道3,110トン(同 81.4%)

●長野県2,390トン(同 78.1%)

●佐賀県2,220トン(同 86.0%)

●熊本県1,890トン(同 95.9%)

●長崎県1,740トン(同 84.1%)

となっている。

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 出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、佐賀県の1.92トンが最も多く、次いで熊本県の1.90トン、長崎県の1.44トンと続いている。その他の県で多いのは、福岡県の2.07トン、栃木県の1.51トンであり、全国平均は0.49トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

 植え付けの年後から収穫され、10年以上収穫することも可能だが一般的には10年程度で植替えをする。作型には、主に九州などの暖地で栽培される春採りと東北や甲信越、北海道の産地で栽培される夏採りがある。春採りはゆっくり育つので味が濃く、夏採りは成長が早く1晩で10センチほど成長するため柔らかい。雄株と雌株で生育に差がある他、雌株に着果する種子が落ちて雑草化することから、生育株の多くが雄株になる系統もある。ラスノーブルは北海道の美瑛のみで生産されている品種である。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

 東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、1~月はメキシコ産が多く、月には国産の長崎産、佐賀産、栃木産が入荷し、月はさらに福島産、秋田産、長野産といった北日本の産地からの入荷が増えてピークとなった。9月以降は入荷量が減り、10~11月は豪州産が増え、12月は再びメキシコ産が多くなった。

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 大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、1~2月はメキシコ産、タイ産、ペルー産といった輸入品が多いが、3月以降は佐賀産、福岡産、長崎産が増えはじめ7月のピークに向けて岡山産や長野産の入荷がみられた。月までは九州の産地からの入荷が中心となるが10~11月は豪州産が主流となり、その他、メキシコ産、タイ産といった輸入ものが中心となった。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

 東京都中央卸売市場における国内産アスパラガスの価格は、入荷量の増加に伴って1月から徐々に下降し、11月以降に上昇する傾向が見られる。年によって大きな変動はなく、平成30年は997~2272円(年平均1315円)の間で推移している。

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 外国産アスパラガスの価格も大きな変動はなく、7~9月は高めに推移し10月に急落した後、年末から年明けにかけて高くなるという傾向がある。30年は610~1250円(年平均777円)の間で推移した。

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輸入量の動向

 生鮮アスパラガスの輸入量は平成24年をピークに減少傾向で近年は1万トン前後で推移している。メキシコ産の割合が高く、次いで豪州産、ペルー産が続く。調製アスパラガスは中国産に次いでペルー産が多くなっている。

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アスパラガスの消費動向

 国産アスパラガスの春採りは月から、夏採りは月ころから出荷が始まる。キログラム当たりの小売価格は155円24年から190円27年まで上昇した後、その後は190円前後で安定して推移している。

 野菜として利用するのは若芽の部分だが、収穫後も成長を続けるこsとから、出荷時には真空予冷で芯まで冷却して出荷される。鮮度を保つため、購入後も穂先を上に立てて野菜室で保存しましょう。栄養価は非常に高く、特に葉酸、アスパラギン酸、ビタミンEの含有量が多いのが特徴です。根元の硬い部分もピーラーで表面をむけば柔らかく食べやすいので無駄なく使ってみましょう。月は、新生活がスタートしストレスもたまりやすい季節です。疲労回復を早め、目にも鮮やかなアスパラガスをぜひお召し上がりください。

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