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みずなの需給動向   調査情報部





みずな(水菜)は、アブラナ科アブラナ属の野菜で日本固有種とされる。古来、都があった京都には各地からさまざまな野菜が運ばれ、その風土に合ったものが「京野菜」として定着してきた。京野菜の一種として知られるみずなだが、畑の畝間に水を引き入れて栽培したことから「水菜」という名前が付いたという説があるほか、京都を中心に栽培されていたことから、京菜、京みず菜という呼び名もある。細かい茎が多く分枝し、葉数が数百枚にもなることからせんすじ、千本菜という異名も持つ。本来は晩秋から冬場にかけて生産される漬菜の一種であったため、夏場は収量が減るが周年栽培が可能となっている。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成29年の作付面積は、2,460ヘクタール(28年比98.0%)と、28年よりやや減少した。

上位県では、

●茨城県894ヘクタール(同 99.4%)

●福岡県216ヘクタール(同 97.7%)

●埼玉県158ヘクタール(同 96.3%)

●京都県151ヘクタール(同 102.0%)

●兵庫県115ヘクタール(同 100.9%)

となっている。

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29年の出荷量は、38,000トン(28年比96.4%)と、28年よりやや減少した。

上位県では、

●茨城県18,200トン(同 98.9%)

●福岡県3,150トン(同 86.1%)

●京都県1,940トン(同 96.5%)

●兵庫県1,700トン(同102.4%)

●埼玉県1,650トン(同 95.9%)

となっている。

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出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、茨城県の2.18トンが最も多く、次いで兵庫県の1.71トン、福岡県の1.53トンと続いている。その他の道府県で多いのは、北海道の2.16トン、大阪府の2.02トンであり、全国平均は1.71トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

かつて、みずなは一株で3~4キログラムまで大きく成長させてから収穫したので葉は硬く、主に鍋物や漬物に使われる野菜であった。最近は、一株20~25グラム程度の小株どりが主流となっており、栽培品種も株張りがよく生育旺盛な早生種が増えている。露地栽培、ハウス栽培と作型と品種を変えながら、周年栽培されている。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、通年にわたって茨城県からの入荷が太宗を占め、その他、埼玉県や群馬県からの入荷がみられる。1月から5月までは600トン超で推移したが6月以降は減少し、9月に増え始めたが11月に再び減少した。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、入荷量は3月のピーク以降に減少し7月から8月に底となった。9月以降、徐々に増えたものの11月には減少し12月は増量した。通年にわたり茨城県、福岡県からの入荷が見られ、その他、大阪府、京都府からの入荷も見られる。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場におけるみずなの価格(平成29年)は、キログラム当たり220723円(年平均379円)の幅で推移した。29年は10月末に2度の台風の襲来があった後、急激に気温が下がったことから生育が進まず、11月以降に値を上げ年明けまで大幅な高値で推移した。

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みずなの消費動向

シャキシャキとした歯ざわりでサラダの素材として人気が高く、鍋物の具としても需要を伸ばしている。京都では郷土料理である「おばんざい」には欠かせない野菜として古くから親しまれていたが、関東地方では平成12年以降に消費が増えてきた。それに伴い16年には東京市場でのデータ収集がスタートし、20年には全国的な消費の増加を背景にalicが実施している野菜価格安定事業(特定野菜)の対象品目に追加されている。全体的に野菜の生産が減る中で、生産量を伸ばしているまれに見る野菜である。βカロテンが豊富な緑黄色野菜であるだけでなく、ビタミンC、Eも豊富なのでさまざまな料理に活用して取り入れたい。


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