東洋の野菜として知られるねぎの原産地は中国西部またはシベリアとされている。日本への渡来は8世紀ころで平安時代には食用として栽培されていたという記録が残っている。
ねぎの品種は、その形態的、生態的特徴から、土寄せをして葉鞘部を利用する「白ねぎ(根深ねぎ)」の千住群と加賀群、緑色の葉の部分を利用する「青ねぎ(葉ねぎ)」の九条群に分けられる。食用としての歴史の長さから、特色ある地方品種が残っており東北・北陸地方の「曲がりねぎ」、山形県や茨城県の「赤ねぎ」、愛知県の「越津ねぎ」、群馬県の「下仁田ねぎ」などが知られる。
平成28年の作付面積は、2万2600ヘクタール(前年比99.1%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5県では、
●埼玉県2440ヘクタール(同100.4%)
●千葉県2300ヘクタール(同 98.7%)
●茨城県1900ヘクタール(同100.0%)
●群馬県1060ヘクタール(同 98.1%)
●大分県888ヘクタール(同 99.4%)
となっている。
28年の出荷量は、37万5600トン(前年比98.0%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5道県では、
●千葉県5万7200トン(同 96.9%)
●埼玉県4万8600トン(同 99.0%)
●茨城県4万1700トン(同102.2%)
●北海道2万 300トン(同 91.0%)
●群馬県1万5100トン(同 96.2%)
となっている。
出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、北海道の3.01トンが最も多く、次いで千葉県の2.83トン、茨城県の2.56トンと続いている。その他の府県で多いのは、大阪府の2.51トン、青森県の2.42トンであり、全国平均は2.06トンとなっている。
白ねぎは関東、青ねぎは関西で多く利用されていたが、現在では両方とも全国的に利用されるようになり、白ねぎと青ねぎの中間品種やあさつき、わけぎ、リーキなどねぎの種類は500種以上ある。
核家族化やゴミを削減したいといったニーズから小型のものや、緑部分と軟白部分が両方とも利用できる食味のもの、鍋専用のものなど特色ある品種も出てきている。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、年間を通して茨城県から入荷があるほか、入荷が多い11月から4月にかけては千葉県、埼玉県、群馬県、栃木県など近在の産地が増え、8月以降は青森県、秋田県、北海道、山形県、新潟県など東北や北陸の産地へと移行する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成29年)を見ると、9月以降、年明けまで徐々に入荷が増え、春先から夏場にかけては入荷が減少する。鳥取県からは通年で入荷が見られるほか、ピークとなる12月を含む冬場から6月まで大分県、徳島県、香川県などの近在産地および埼玉県、静岡県、群馬県などの東日本からの入荷が増え、8月から10月は北海道産の割合が高まる。
東京都中央卸売市場における国内産ねぎの価格(平成29年)は、1キログラム当たり324~430円(年平均355円)の幅で推移している。国内産の価格は、入荷が減少する5月~7月にかけて高くなり、冬場はやや下がる傾向が見られる。
輸入量は、生鮮ねぎは5万~6万トン、冷凍ねぎは8千~1万トンの間で安定的に推移しており、輸入先国としては、ほぼ中国のみとなっている。
ねぎは、夏は薬味で冬は鍋物商材として、年間を通してさまざまな料理に欠かせない野菜です。独特のにおいのもとである硫化アリルは交感神経を刺激して体温を上昇させることから、風邪を予防するほか、ビタミンB1の吸収を高め、胃腸の働きを整えるなどの作用が知られている。
1人当たりの年間購入量は、年間1.6キログラム前後で安定して推移している。ねぎは比較的、栽培期間が長い作物であることから長雨、気温上昇、干ばつなど、最近の天候不順により生育不良や収穫作業の遅れなどの影響を受けやすく、不安定な入荷となる時期が多かったことから小売価格は上昇傾向である。