すいかはウリ科の植物で原産地は、アフリカ中部の砂漠地帯や南部のカラハリ砂漠と考えられている。栽培の歴史は古く、約4000年前には栽培が行われていたことが壁画にも残されているが、古代エジプト人は主に種子を利用していたようである。日本には、中国から17世紀に伝わったとされている。奈良県では19世紀頃から盛んに選抜による育成が始まり、大和すいかとして大正時代から昭和初期にかけて全国的に栽培が広がった。すいか品種発祥の地となった奈良県の大和種はさまざまな品種のルーツとなっている。
すいかは、夏を代表する果実的野菜で、暑い夏には、甘みやシャリシャリ感を楽しみたいものです。
平成28年の作付面積は、1万400ヘクタール(前年比98.1%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5県では、
●熊本県1420ヘクタール(同 95.3%)
●千葉県1060ヘクタール(同 99.1%)
●山形県850ヘクタール(同100.6%)
●新潟県557ヘクタール(同 94.7%)
●秋田県456ヘクタール(同 98.7%)
となっている。
28年の出荷量は、29万6400トン(前年比101.4%)と、前年よりわずかに増加した。
上位5県では、
●熊本県4万6000トン(同 93.1%)
●千葉県3万8200トン(同103.8%)
●山形県2万9400トン(同100.7%)
●長野県1万9900トン(同128.4%)
●鳥取県1万8900トン(同103.8%)
となっている。
出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、長野県の6.10トンが最も多く、次いで鳥取県の5.34トン、山形県の3.96トンと続いている。その他の県で多いのは、石川県の4.18トン、茨城県の4.16トンであり、全国平均は3.32トンとなっている。
すいかの品種は、形や大きさ、果肉の色、果皮の色、柄に加えて作型によっても異なり、バリエーションが豊富である。主に、種苗会社によって育成された品種が全国的に栽培されているが、ジャンボすいかとして出回る黒部すいかや真っ黒な皮が特徴のでんすけすいかなど地方の特産品として親しまれている品種もある。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、熊本産が3月から入荷し5月のピークを境に千葉産や茨城産といった近在県に移行する。入荷のピークとなる7月には近在県に加え、新潟産、山形産、長野産が入荷、8月には秋田産、青森産が入荷し、9月以降、入荷量は激減する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、4月から5月にかけて熊本産、長崎産、さらに6月には鳥取産、石川産、和歌山産が入荷する。ピークとなる7月から8月には長野産、山形産、秋田産、青森産など東日本からの入荷がみられ、9月以降は急減する。
東京都中央卸売市場における国内産すいかの価格(平成29年)は、1キログラム当たり144~327円(年平均210円)の幅で推移している。ハウス栽培ものが入荷する5月頃から値が下がりはじめ、トンネル栽培、露地栽培と産地リレーで出荷が続き9月まで徐々に値を下げる。入荷が減少する10月以降は上昇する。
すいか(生鮮)の輸入量は、平成23年に急増したが、この年は6月に大雨に見舞われたことなどにより茨城産や長野産、山形産の出荷が遅れ、高値で推移したことなどが原因と思われる。輸入国の内訳では米国、韓国に加え23年からメキシコからの輸入がみられる。
すいかの1人当たり年間購入量は、1200~1500グラムで推移している。夏を代表する果実的野菜だが、核家族化や果実の多様化などから消費は減少している。持ち帰りに便利、生ゴミを減らしたいというニーズから一口サイズにカットされたものも増えているが、長雨や低温が続くと消費は伸び悩む傾向にある。品種改良により、高知県や熊本県ではハウス栽培が可能になり、周年購入が可能な品目になっている。
成分としては、ウォーターメロンの名前の通り9割が水分だが、赤肉にはトマトと同じ色素で抗酸化作用のあるリコペンが豊富に含まれている。また、むくみ解消や利尿作用が期待できるカリウムを含んでおり、熱中症や夏バテ予防として取り入れたい野菜の一つである。貯蔵適温は、8~10度と野菜室より若干、高めなので冷やしすぎには注意しよう。カット売りが主流になり中身を確認できるようになったと同時に、糖度を表示して出荷する産地も増えているので購入の際は参考にしたい。