未成熟のえんどうの実を食べる実えんどう。関東ではグリーンピースとして親しまれ、関西では品種が異なり、粒が大きめのうすいえんどうが多く出回る。えんどうはマメ科えんどう属の一年草で原産は中央アジアから中東とされており、エジプトの遺跡、ツタンカーメン王の陵墓付近からも出土していることから古くから栽培されていたものと考えられている。日本へ伝わった時期ははっきりしないものの、本格的に栽培が始まったのは欧米から優良な品種が導入された明治時代以降でその後、一般に普及した。
食材としてのえんどうは、若い葉と茎を利用する「豆苗」、若いさやごと食べる「さやえんどう」、未成熟の実を食べる「実えんどう」、完熟した実を利用する「えんどう豆」というように利用する時期や形態によって4つに分類できる。
平成28年の作付面積は、805ヘクタール(前年比97.3%)と、前年よりわずかに減少した。
上位5道府県では、
●和歌山県255ヘクタール(同 99.6%)
●鹿児島県130ヘクタール(同 97.7%)
●北海道41ヘクタール(同113.9%)
●大阪府36ヘクタール(同100.0%)
●福島県34ヘクタール(同 94.4%)
となっている。
28年の出荷量は、4300トン(前年比93.7%)と、前年よりかなりの程度減少した。
上位5道県では、
●和歌山県2100トン(同101.9%)
●鹿児島県558トン(同 56.6%)
●北海道238トン(同135.2%)
●熊本県199トン(同108.2%)
●福島県117トン(同 93.6%)
となっている。
出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、和歌山県と熊本県の0.93トンが最も多く、次いで北海道の0.59トン、鹿児島県の0.52トンと続いている。その他の県で多いのは、新潟県の1.00トン、愛媛県の0.93トンであり、全国平均は0.69トンとなっている。
うすいは、明治時代に米国から大阪府羽曳野市碓井地区に導入されたことから命名された。まめこぞうは、鹿児島県で平成25年に育成された品種である。
東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、11月から鹿児島県の入荷が始まり、4月がピークとなる。5月から8月にかけては福島県、北海道からも入荷する。
大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、主産地である和歌山県からの入荷が11月から増え始め6月まで続く。ピークとなる4月には300トン強を和歌山県産が占めそのほか徳島県、長崎県からの入荷もみられる。6月から10月にかけては、数量は少ないが福島県や北海道からの入荷がみられる。
東京都中央卸売市場における国内産実えんどうの価格(平成29年)は、1キログラム当たり662~2259円(年平均1246円)の幅で推移している。8月以降は数量が激減し、卸売価格は高くなる傾向にある。
グリーンピース(実えんどう)は、糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンB1の多い野菜である。また、βカロテンのほか良質なタンパク質や糖質も含んでいる。
グリンピースは、その彩やかな緑とともに春を告げる野菜として親しまれている。関西で多く出回るうすいえんどうといえば「なにわの伝統野菜」としても知られ、関西地区では春先に欠かすことのできない食材である。豆ご飯として食べる事が多いが、炒め物やスープ、煮物などの彩りとして、鮮やかな緑色を楽しんでいただきたい。