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ふきの需給動向調査情報部

ふきはキク科フキ属の多年草で耐寒性が強く、北海道から沖縄まで野生種が分布しているほか、中国や韓国でも自生している。野生のふきでは雌雄別株の存在が確認されているが、栽培品種については愛知早生では雄株がみられず雌株で占められており、秋田ふきなどの品種では頻度は低いものの雄株もみられる。

普段、野菜として食されている部分は茎と葉をつなぐ葉茎で、茎は地下に隠れており、栽培する際は根株を移植して栽培する。ふきは湿地を好むことから、水田の裏作としてハウスまたは露地で栽培する作型と、畑でハウスまたは露地で栽培する作型がある。普通栽培では4~5月が収穫時期だが、10月ころから出荷される「秋ふき」の場合は、根株を冷蔵して夏場に植え付ける抑制栽培、2月ころから出荷される「春ふき」の場合はいったん寒さに当てた後に保温することで収穫時期を管理している場合もある。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成28年の作付面積は、571ヘクタール(前年比96.5%)と、前年よりやや減少した。

上位5県では、

●群馬県105ヘクタール(同 94.6%)

●愛知県73ヘクタール(同 98.6%)

●秋田県36ヘクタール(同 97.3%)

●長野県32ヘクタール(  -  )

●徳島県26ヘクタール(同 96.3%)

となっている。

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28年の出荷量は、9380トン(前年比97.3%)と、前年よりわずかに減少した。

上位5府県では、

●愛知県4220トン(同 96.6%)

●群馬県1040トン(同 94.5%)

●大阪府914トン(同 98.7%)

●福岡県479トン(同 97.8%)

●徳島県436トン(同 94.8%)

となっている。

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出荷量上位5府県について、10アール当たりの収量を見ると、大阪府の8.10トンが最も多く、次いで愛知県の6.15トン、福岡県の5.71トンと続いている。その他の県で多いのは、岐阜県の3.56トン、高知県の2.95トンであり、全国平均は1.96トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

野生種は雌雄別株で種子をつけるが、栽培されている「愛知早生」は栄養繁殖でしか増やすことができない。

「愛知早生」は、江戸時代末期に愛知県東海市で自家用に栽培されていたものであったが、早生性と高品質が好まれ全国に広まった。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、3月から5月に入荷が集中しており、特に4月は主産地の愛知産に加え群馬産が入荷しピークとなる。東北や近在県からの入荷もあるが、愛知県と群馬県の2県が大きなウェイトを占めている。6月以降9月までの夏場はほとんど入荷せず、10月以降の冬場は愛知産がメインとなる。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、東京と同様に3月から5月の入荷が最も多い。愛知産の割合が高いが、近在の徳島産、高知産、大阪産のほか鹿児島産などもみられる。

6月以降9月までは入荷はほとんどなく、10月以降の冬場は愛知産が大きなウェイトを占めるが、大阪産、徳島産もみられる。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場におけるふきの価格(平成28年)は、キログラム当たり474~255円(年平均331円)の幅で推移している。年間で最も高値がつくのは、シーズンが始まる2月である。その後、徐々に産地が増え、入荷量が増えるとともに値を下げる。

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消費の動向

ふきは、たけのことともに春を告げる食材として店頭に並ぶ野菜のひとつで、ふきの花茎(蕾)である「ふきのとう」は春の季語にもなっている。

旬を大切にする食材なだけに、季節を先取りしたメニュー提案を行う必要がある加工業者や外食産業ではシーズン前から動きだし、出始めは高値で取引される傾向にある。

数少ない日本原産の野菜であるふきは、和食の代表的な素材であり、佃煮、味噌煮、炒め煮などのほか、葉はそぼろ煮などの調理法がある。ふきの清々しい苦みは油との相性もよいので、肉料理や炒め物に積極的に取り入れたい。

最近では水煮などで通年、手に入る食材ではあるが、ふきの新鮮な香りとほろ苦さは、生鮮ならではであり春の訪れとともに味わいたい。


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