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こまつなの需給動向調査情報部

こまつなは、ほうれんそうと並んで人気のある、栄養豊富な緑黄色野菜である。原産地は日本であるが、中国から渡来してきたかぶが祖先といわれている。江戸時代初期、現在の東京都江戸川区の葛西付近に、味の良いつけとして知られていた葛西菜という葉菜があったが、その後、江戸川区小松川で改良され、関東を中心に普及していった。

昭和30年ごろまでは、秋冬期のみに栽培され、年末年始に「冬菜」「春のウグイス菜」などの名前で流通していた。雑煮などの伝統的な料理にも使われるなど、庶民に親しまれてきた重要な冬野菜であった。栽培期間が短く、いろいろな環境に適応できるため、現在では露地栽培とハウス栽培を組み合わせて年に4~8回作付けされ、一年を通して出回っている。

こまつなは、チンゲンサイと交雑して茎を太くするなどの品種改良が盛んに行われており、品種の数は40種類以上に上る。また、こまつなに近い葉茎菜類には新潟県のいけや大崎菜、福島県の信夫しのぶ、京都府のはたけなど、多くの地方品種がある。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成28年の作付面積は、6890ヘクタール(前年比100.4%)と、前年よりわずかに増加した。

上位5都県では、

埼玉県885ヘクタール96.0%)

茨城県674ヘクタール(同116.4%)

群馬県554ヘクタール(同102.2%)

福岡県522ヘクタール(同120.0%)

東京都460ヘクタール(98.9%)

となっている。

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28年の出荷量は、9万9100トン(前年比98.9%)と、前年よりわずかに減少した。

上位5都県では、

埼玉県1万3000トン(92.9%)

茨城県1万2800トン(同115.3%)

福岡県400トン(同105.2%)

東京都8170トン(同102.5%)

群馬県7350トン(99.7%)

となっている。

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出荷量上位都県について、10アール当たりの収量を見ると、茨城県の2.09トンが最も多く、次いで福岡県の2.07トン、東京都の1.87トンと続いている。その他の府県で多いのは、千葉県の2.02トン、大阪府の1.92トンであり、全国平均は1.65トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

こまつなの品種は、しゅ期や生育期の違いにより、極早生品種から晩生種まで使い分けられているが、多く使用されているのは早生種と中晩生種である。主産地で多く作付けされている品種は、早生種では「春のセンバツ」、中晩生種では「いなむら」などである。

こまつなは周年栽培が可能であるが、最も労力を必要とする収穫作業を分散するために、生育期間の異なる品種を組み合わせたり、播種をずらすなど、さまざまな工夫をしている。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、もともとは冬の野菜であったが、1年を通じて安定した入荷量となっている。首都圏の市場の中でも特に東京都中央卸売市場への入荷が多い茨城産が各月の入荷量の38~50%を占めるなど、東京産を含めた関東産の入荷量が圧倒的に多い。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、東京都中央卸売市場と比べて1月と2月の入荷量の少なさが目立つ。1年を通じて福岡産が各月の入荷量のトップを占め、特に3月と4月は全入荷量70%を超えている。関東の茨城産のほか、関西の近在産地である大阪産や和歌山産も周年で入荷している。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場におけるこまつなの価格(平成28年)は、1キログラム当たり188~584円(年平均331円)の幅で推移している。年によって違いはあるものの、価格は夏場に下がり、冬場に上がる傾向にある。正月商材としての引き合いが強く、12月25日ごろから1月の初荷直後まで高値が続くことが多い。

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輸入量の推移

こまつなの輸入は全て冷凍によるものである。平成22年から25年にかけて、輸入量は1000トンを超えていたが、26年以降は600トン台で推移している。

28年の国別輸入量を見ると、全量(609トン)を中国が占めている。

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消費の動向

こまつなの供給量(収穫量+輸入量)を見ると、平成26年以降は11万トンを上回っており、総じて増加傾向にある。

江戸時代から冬の青菜として親しまれてきたこまつなは、緑黄色野菜の中でも栄養価が高く、ビタミンKなどのビタミンやミネラルを豊富に含んでいる。ビタミンKは止血作用があるほか、カルシウムが骨に沈着するときに必要なたんぱく質を活性化させる働きがあり、骨の形成に役立つ。また、カロテンやビタミンCも豊富で、ともに強い抗酸化作用があるため、動脈硬化を抑制したり、がんを予防する効果が期待できる。

こまつなはアクが少ないため下ゆでの必要がなく、栄養面でも優れていることから、家庭での利用はもちろん、学校給食でも多く使われている。お浸しや炒めもの、和えもの、味噌汁など、用途が広く彩りの良いこまつなは、健康な食生活を維持するために食卓にたびたび載せたい野菜である。

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