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ばれいしょの需給動向調査情報部

ばれいしょは、小麦、水稲、大麦、とうもろこしとともに、世界五大食用作物の一つとされている。原産地は南米のペルー、ボリビア付近といわれており、紀元500年ごろからアンデスの高原で栽培され、インカの重要な食料であった。日本には、江戸時代にインドネシアのジャカルタを拠点に活動していたオランダ人によってもたらされた。きん対策用として主に寒冷地に広まり、明治時代になって北海道開拓が盛んになるとともに、本格的な栽培が始まった。

生育適温が15~21度であるばれいしょは、比較的冷涼な気候を好む。栽培時期は、北海道などの春植えと長崎県や鹿児島県などの秋植えに大別される。春植えは4月から6月に植え付けて7月から11月に収穫し、秋植えは8月から9月に植え付けて11月から翌1月にかけて収穫する。中国地方や九州地方では、春と秋の2期作も行われている。

ばれいしょは用途によって、家庭やレストランなどで消費される生食用、ポテトチップスなどに利用される加工用、かたくり粉や麺類に利用されるでん粉原料用に大別される。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成27年の作付面積は、7万7400ヘクタール(前年比98.9%)と、前年よりわずかに減少した。

上位5道県では、

●北海道万1000ヘクタール(99.0%)

●鹿児島県4260ヘクタール(98.8%)

●長崎県3810ヘクタール(97.7%)

●茨城県1520ヘクタール(同100.7%)

●千葉県1240ヘクタール(98.4%)

となっている。

なお、農林水産省「平成28年産春植えばれいしょの作付面積、収穫量及び出荷量」(以下「同資料」という)によると、28年の北海道の作付面積は万1200ヘクタールで、前年並みであった。

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27年の出荷量は、200万6000トン(前年比97.6%)と、前年よりわずかに減少した。

上位5道県では、

●北海道169万8000トン(99.0%)

●長崎県万 800トン(88.3%)

●鹿児島県6万8300トン(80.5%)

●茨城県3万7500トン(同107.4%)

●千葉県2万2500トン(92.2%)

となっている。

なお、同資料によると、天候不順で不作となった28年の北海道の出荷量は152万6000トン(同89.9%)であった。

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出荷量上位5道県について、10アール当たりの収量を見ると、北海道の3.74トンが最も多く、次いで茨城県の2.97トン、長崎県の2.44トンと続いている。その他の県で多いのは、宮崎県の2.35トン、青森県の2.29トンであり、全国平均は3.11トンとなっている。

なお、同資料によると、28年の北海道の10アール当たり収量は3.35トン、全国平均は2.89トンとなっている。北海道については、6月の日照不足の影響によりいもの肥大が進まなかったことに加えて、8月の台風に伴う大雨などにより浸水・冠水などの被害が発生したため、前年産に比べ10.4%下回った。

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作付けされている主な品種等

生食用の二大品種は、粉質系でホクホクした食感の男爵薯と、粘質系で煮崩れしにくいメークインである。そのほか、消費の多様化により、ニシユタカやキタアカリなど、さまざまな品種が作付けされている。

とうやは、北海道、関東地方を中心に作付けされ、ニシユタカは長崎県、鹿児島県を中心に栽培されている。最近は、キタアカリなどジャガイモシストセンチュウに抵抗性のある品種が増加している。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、1月から4月まで、および8月から12月までは北海道産が多くの割合を占めている。北海道産の多くは8月から入荷が始まり、その後は貯蔵物の入荷が翌年の5月ごろまで続く。長崎産や鹿児島産など九州産の早春物(新じゃが)は12月以降に入荷し、6月ごろまで続く。九州産と北海道産の端境期には、静岡産、茨城産、千葉産などが入荷している。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、東京都中央卸売市場と同様に、北海道産が多くの割合を占めている。3月から6月にかけては、鹿児島産および長崎産の入荷が多い。また6月から8月にかけては静岡産、熊本産、千葉産、茨城産、青森産などが入荷している。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場における平成28年の価格の推移を見ると、男爵薯は1キログラム当たり117~222円(年平均171円)、メークインは同126~246円(年平均195円)となっている。年別の推移を見ると、各産地の生産量の影響を受け、大きく変動している。全般的には、北海道産の入荷が始まる8月ごろから下降基調となり、その後は貯蔵物の調整出荷となることから安定的な値動きとなる。1月以降は、九州産の新じゃがの生産量によって変動の幅が変化する傾向にある。

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輸入量の推移

ばれいしょの輸入量の約9割は冷凍ばれいしょが占めており、主に外食産業向けのフライドポテトや量販店の総菜などに使われている。冷凍ばれいしょの平成28年の輸入量は、前年比102.4%の35万220トンとなっている。生鮮ばれいしょは、ほとんどがポテトチップスへの加工に仕向けられている。生鮮ばれいしょの28年の輸入量は、前年比118.2%の2万8595トンであり、国内産ばれいしょの加工用仕向け量の減少に伴い、近年は増加傾向にある。

28年の国別輸入量を見ると、冷凍ばれいしょは、74.3%を占める米国のほか、ベルギー、オランダ、カナダなどからも輸入されている。生鮮ばれいしょは、米国が99.1%を占めている。米国産の生鮮ばれいしょは、ジャガイモシロシストセンチュウの発生していない州から、原則的に北海道産の端境期である2~7月に輸入が許可されている。

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消費の動向

ばれいしょの1人当たり年間購入量は平成22年以降3500グラム台で推移していたが、27年以降は価格が堅調に推移したこともあって、2年連続で前年を下回った。

小売価格(東京都区部)の動向を見ると、25年の1キログラム当たり300円以降は上昇傾向にある。

ばれいしょの主成分であるでん粉はエネルギー源となるほか、ビタミンCをはじめとするビタミン類を豊富に含んでいる。ばれいしょのビタミンCは加熱しても壊れにくく、煮たりゆでたりしても高い栄養価を保つ。また、高血圧予防に効果的なカリウムや、腸内環境を改善する食物繊維なども豊富である。季節によって各産地からさまざまな品種が届くばれいしょは、その個性を楽しみながら、いろいろな料理に使いたい野菜である。

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