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なすの需給動向調査情報部

なすの原産地はインド東部といわれ、日本には中国を経て8世紀ごろに伝わったとされている。東大寺正倉院に、なすを献上したという記録があり、奈良時代にはすでに栽培されていたようである。一方、インド東部から西方のアラビア方面には5世紀に伝わったとされ、13世紀にはヨーロッパ、16世紀にはアメリカへと広まっていった。

古くから栽培され、庶民の野菜として親しまれてきたなすには、各地の風土に即した数多くの品種がある。山形のみんでんなす(小なす)や京都の賀茂なす(丸なす)、九州の大長なすなど、果実の形や大きさもさまざまで、いろいろな用途に使われている。

なすの生育適温は20~30度と高く、かつては夏の代表的な野菜であったが、現在では施設栽培の普及などにより周年供給体制が構築されている。出荷時期により、冬春なす(12~6月)と夏秋なす(7~11月)とに区分され、冬春なすは高知県や熊本県などの温暖な地域で施設栽培によって生産されている。また、夏秋なすは群馬県や茨城県、栃木県などで主に露地栽培により生産されている。

作付面積・出荷量・単収の推移

平成28年の作付面積は、9280ヘクタール(前年比98.6%)と、前年よりわずかに減少した。

上位6県では、

●新潟県620ヘクタール(98.6%)

●群馬県558ヘクタール(同103.5%)

●山形県454ヘクタール(96.8%)

●茨城県449ヘクタール(同100.9%)

●秋田県406ヘクタール(97.8%)

●熊本県406ヘクタール(99.5%)

となっている。

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28年の出荷量は、23万6100トン(前年比99.5%)と、前年よりわずかに減少した。

上位5県では、

●高知県3万7200トン(同101.9%)

●熊本県2万8400トン(96.3%)

●群馬県200トン(同108.6%)

●福岡県1万6500トン(95.9%)

●茨城県1万4000トン(同101.4%)

となっている。

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出荷量上位5県について、10アール当たりの収量を見ると、高知県の11.40トンが最も多く、次いで熊本県の7.56トン、福岡県の7.19トンと続いている。その他の県で多いのは、徳島県の8.28トン、大阪府の6.98トンであり、全国平均は3.30トンとなっている。

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作付けされている主な品種等

比較的多くの産地で作付けされている千両二号は長卵形なすであり、筑陽は長なすである。

近年、農研機構が育成した「あのみのり2号」などの単為結果性品種が注目されている。単為結果性品種とは、受精しなくても果実が着果・肥大する性質を持つため、昆虫による授精や植物ホルモンによる着果促進処理が不要な品種であり、なす栽培の省力化が可能となる。

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東京都・大阪中央卸売市場における月別県別入荷実績

東京都中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、入荷量は2月から徐々に増える傾向にあり、8月にピークとなる。冬春なすは高知産が入荷量のトップで多くの割合を占め、夏秋なすは群馬産や栃木産、茨城産など東京近郊からの入荷が多い。

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大阪中央卸売市場の月別入荷実績(平成28年)を見ると、東京都中央卸売市場と同様に、入荷量は2月から増え始め8月にピークとなる。冬春なすは高知産がトップであるものの、その占める割合は東京よりも少ない。夏秋なすは山梨産や徳島産、大阪産、京都産など、各地から入荷している。

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東京都中央卸売市場における価格の推移

東京都中央卸売市場における平成28年の価格の推移を見ると、なすは1キログラム当たり234~568円(年平均405円)、ながなすは同170~521円(年平均377円)となっている。入荷量の多い夏場に価格が下がる傾向にあるが、年間の変動幅は狭い。

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輸入量の推移

なすの輸入は塩蔵等が多く、なす(塩蔵等)とこなす(塩蔵等)とで総輸入量の95%以上を占めている。平成28年の輸入量を見ると、なす(塩蔵等)は1918トン(前年比82.9%)、こなす(塩蔵等)は878トン(同65.4%)、なす(生鮮)は41トン(同120.6%)、なす(冷凍)は9トン(同90.0%)となっている。

28年の国別輸入量を見ると、なす(塩蔵等)では中国が100%を占め、こなす(塩蔵等)でも90.7%を占めている。なす(生鮮)は韓国が100%を占め、なす(冷凍)では中国(56.1%)のほかタイとイタリアが多い。

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消費の動向

なすの1人当たり年間購入量は、総じて減少傾向にあるものの、平成28年は前年比103%と増加に転じ、1400グラム台へと回復した。

小売価格(東京都区部)の動向を見ると、21年の1キログラム当たり574円から28年の同739円へと上昇傾向にある。

なすは水分が多い淡色野菜であるが、ビタミンKやカリウム、葉酸をバランスよく含んでおり、食物繊維も豊富である。また、紫色の皮に含まれる色素成分であるナスニン(アントシアン)は、ポリフェノールの一種で抗酸化作用を持ち、がんや老化の予防などに効果があるといわれている。どんな料理にも合うなすであるが、油との相性が良く、油でなすを炒めたり揚げたりすると、なすの味がまろやかになり、大変おいしくなる。夏バテなどしないように、旬のなすを上手に料理してスタミナをつけましょう。

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