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今月の野菜

栄養価が高く、加熱に強いピーマン



今が出盛りの東北産のピーマン
糖度が高くビタミンが豊富な
赤ピーマン


市場から

  ピーマンはとうがらしの一種でスイートペッパー(sweet pepper)の名前のとおり、大型トウガラシの辛みのない種類です。

 同属同種のとうがらしは中央アメリカや南米からコロンブスにより1493年に初めてスペインに持ち込まれ、香辛料として欧州内に広がりました。日本には16世紀にポルトガル人により伝わりました。
ピーマンの語源はフランス語のpimentと言われていますが、フランスでは辛みのあるものを指し、辛みのないトウガラシはpoivronと呼ばれています。

 日本では獅子唐辛子に代表される小型種が古くから栽培されてきました。現在、主に流通しているのは薄肉中型種です。圧肉大果種でベル系(パプリカ)は最近、サラダ需要の増加とともに消費が伸びています。

  最近の栽培動向ですが、西南暖地の生産量が減少傾向でそのかわり茨城産が伸びています。また、最近は燃料代の値上がりにより西南暖地の作型がやや前に来る傾向があり、昨年のように切り上がりが遅れた東北産と西南暖地のものが11月から12月にかけて競合すると、供給過多から価格の低迷を招きやすくなると思われます。一方で、いったん市場での出回りが減りますと、緑色の強いピーマンは業務筋からの引きが多いことから価格は高騰しがちです。

  今年の値動きは7月の日照不足、天候不順により東北産の出回りが遅れました。さらに8月の記録的な猛暑により花が落ちてしまったり、樹勢が衰えたりしたため9月後半は出荷数量が少なめで全体的に高値で推移します。

もっとおいしく! オススメの食べ

 中型種ピーマンや赤ピーマンの場合、パプリカのように水分が多くありませんので、加熱してもシャキシャキした歯触りが残るので炒め物には根強い人気があります。

 カレー味、味噌味などで調理したり、ごま油できんぴらにすると独特の匂いも薄まり食べやすくなります。最近は中華の合わせ調味料も充実していますので、ご活用下さい。
情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一

おいしいピーマンを選ぼう!


※クリックすると拡大します。
鮮度が美味しさに直結しています。色鮮やかで光沢があり、ヘタが新鮮なものを選びましょう。形は味には影響ありませんが同じ大きさなら重くて肉厚なものがオススメです。春先のものは熟すまで日数がかかっているので甘みがあります。
ピーマンの栄養と機能性
 栄養価は豊富で、特に美肌効果や抗酸化力のあるビタミンCやカロテンが豊富です。

 一般的にビタミンCは熱に弱く流出しやすいと言われますが、ピーマンの場合は果肉が厚いので加熱しても損失が少ないという特徴があります。

 Lサイズのピーマン(約50g)には約38mgのビタミンCが含まれているので、3個で1日分のビタミンCを摂ることができます。

 一般的に赤ピーマンは緑ピーマンが完熟したものですが最近は専用品種もあります。赤ピーマンにはカロテンが多く含まれており、含有量は緑のものの1.5倍にもなります。また、赤い色素である“リコペン”も増加します。

ピーマンの栄養と機能性

「五訂日本食品標準成分表」ピーマン(果実・生)より
30歳女性1日あたりの食事摂取基準を100とした場合における、ピーマン100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、ビタミンC、A及び葉酸は、推奨量の値を、その他は目安量の値を用いた。




ピーマンに豊富なPQQとは?



ピロロキノリンキノン(PQQ)
 ピロロキノリンキノン(PQQ)という物質がNature2003年4月号に発表され、実に半世紀ぶり、14番目の新種ビタミンの発見かと注目を集めました。

 PQQは様々な野菜や肉類に含まれていることが知られていますが、特に納豆、お茶、野菜ではピーマンに多く含まれています。

 必須アミノ酸リジンの分解には不可欠で、ラットを使った実験では、不足すると生殖能力の低下や皮膚がもろくなるなどの症状が認められ、ほ乳類には欠かせない物質らしいと判明し、現在さらに研究が進められています。

監修:実践女子大学教授
田島 眞




ピーマンのいろいろ 種類・品種の特徴

※画像をクリックすると拡大します。


作付されている主な品種

監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和
写真提供:サカタのタネ、農畜産業振興機構「野菜ブック」

ピーマンの主要産地と収穫時期


 ピーマンは戦後、最も消費の伸びた野菜の一つで、平成18年産の収量は14万6,900トンで近年は生産量が安定しています。

 ナス科のピーマンは高温要求植物で生育適温が25℃と高く、15℃以下では生育が鈍るので、冬場は加温を必要とします。

 また、土壌の乾燥、過湿に弱いので温度とともに注意が必要です。光量は果菜類のなかではそれほど敏感ではありませんが、光量が減ると収量も減ります。

ピーマンの主要産地と収穫時期

資料:農林水産省「平成17年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。
調理のヒントと保存方法
【調理のヒント】油で調理してカロテンの吸収をアップ
 加熱すると独特のかおりが和らぎますので、生のままサラダに使う時は、さっと湯通しすることをお試し下さい。

 また、カロテンは脂溶性なので油と一緒に食べることで吸収力が高まります。

 炒め物や肉詰めなど脂っこいものでも、ピーマンの葉緑素で浄化されますのでたっぷりと召し上がって下さい。

張りがあるうちに食べきります【保存方法】
ピーマンは好温性なので常温で保存しましょう

 貯蔵最適温度は10℃で低温には弱く、冷やしすぎると種子部分の褐変などが起きます。夏場以外は常温でも保存可能です。

 長く保たせたい場合は。穴の空いたポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室へ入れましょう。

 ヘタの切り口が乾燥するとフカフカと軽くなり、内部から腐敗が始まるので乾燥には気をつけて下さい。








薄肉中型種 くさび型ピーマン トマトピーマン ししとう 厚肉大果種 伏見甘 ハラペーニョ


産地紹介
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