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煮て、焼いて、揚げて、蒸して
どんな料理にも相性がいい“なす”は
今が最盛期です


市場から

  インドから世界中に伝播し、その土地で進化してきた「なす」は地方色が豊かな野菜です。1980年に農林水産省野菜試験場育種部がまとめた「野菜の地方品種」には在来品種が67種記載されており、この品種の多さがなすの魅力でもあります。

  特に北陸一円はなすの消費量が多く、なかでも、新潟県は「なす食い県」として有名です。新潟県では地場消費が多いせいか、生産量が多い割に県外への出荷が多くありません。

  なすは最も早くF1化された野菜ですが、他の野菜に比べて品種の寿命が長く入れ替わりが少ないため、同一品種が長く生産されるのが特徴です。

  現在、出荷の最盛期を迎えていますが、今年は梅雨入りからの低温や日照不足の影響で平年に比べてやや高値で推移しています。特に関東産は低温の影響で開花してから結実まで日数がかかり出荷が遅れています。また、九州産は台風の影響で品質が安定しませんが、今後の天候回復により入荷は回復してくるでしょう。

  ヘタが張ってトゲのあるものが新鮮といわれていますが、トゲは収穫にたずさわる人からきらわれていることからヘタにトゲのないものも最近は育成されています。

  主に九州地方で生産される長なすですが、最近は関東地方の市場でも見られるようになってきました。皮がしっかりしている米なすや丸なすは焼きなすに、煮くずれしにくい長なすは煮物に、皮の柔らかい小なすは漬け物にと調理方法を楽しんでみて下さい。長卵形や卵形のなすは、どんな料理にも合うのが特徴です。


もっとおいしく! オススメの食べ

  油と相性がいいと言われるのは、油を吸収すると肉質がなめらかになり、アクが抜けて旨みが増すからです。

  くせがないので、和洋中どの料理にもあいます。若い方向けにはチーズと合わせてグラタンなどもいかがでしょうか。特にカレーとの相性は抜群なので、煮込んだり、素揚げしてトッピングするなどして楽しんでください。

  蒸してしょうが醤油やわさび醤油などで食べる“ふかしなす”は夏のさっぱりメニューとしておすすめです、ぜひ、お試し下さい。
情報提供:東京青果株式会社
課長補佐 加藤宏一

おいしいなすを選ぼう!

 へたが黒く、筋がはっきりしていて濃い紫色でツヤがあるものが新鮮な証拠です。ほとんど水分なので、張りと弾力があり、ずっしり重く首まで太ったものを選びましょう。

皮が変色したり、皺がよっているものは避けましょう。

なすの栄養と機能性

 なすはビタミンやミネラルなどの栄養素では目立つものがありませんが、カリウムが含まれています。カリウムには、ナトリウム(塩分)が腎臓で再吸収されるのを抑制し、尿への排出を促す働きがあります。

  特に高血圧予防にはカリウムを十分に摂取し、ナトリウムの排出を促すことが大切です。

  カリウムが不足すると脱力感、食欲不振、疲れ、内蔵機能低下などの症状を引き起こす場合がありますので、特に夏場の疲労回復のメニューに取り入れたい野菜ですが、「煮る」ことで流出しやすいので、味噌汁やカレーなど煮汁ごと食べられるメニューがおすすめです。

  また、なすには体を冷やす作用もあるので夏場の食事に積極的に取り入れましょう。



「五訂日本食品標準成分表」 なす(生)より
  30歳女性1日あたりの食事摂取基準を100とした場合における、なす100g中に含まれる主な栄養素の割合。(ただし、ビタミンC、A及び葉酸は、推奨量の値を、その他は目安量の値を用いた。)




なすの紫色はアントシアニン



ナスニン~フィトケミカルについて~

  なすの美しい紫色はナスニンというアントシアニン系の色素です。
  ナスニンは鉄分と結びつくと安定して鮮明になります。ぬか床にクギを入れるのはこのためです。
  また、なすを切って放置すると変色してきますが、これはアクの影響です。
  ナスニンもアクも植物に含まれる化学物質でフィトケミカルと呼ばれています。最近、話題のポリフェノールもフィトケミカルの一種です。

  植物が紫外線から身を守るために作られる、これらのフィトケミカル(色素、香り、アク)には抗酸化作用が認められており、生活習慣病予防や老化防止に効果があるとされ、ビタミンやミネラル、食物繊維に次ぐ“機能性成分”として注目されています。

  ナスニンも水に溶け出しやすいので、煮汁ごと召し上がると効果的です。

監修:実践女子大学教授
田島 眞



 

なすのいろいろ 種類・品種の特徴



監修:元農林水産省野菜試験場育種部 芦澤 正和

なすの主要産地と収穫時期


 全国の収穫量は372,400トン(平成18年)です。夏の果菜類のなかでも特に高温を好む作物です。

  生育適温は22~30℃で、17℃以下では生育が鈍るので冬場の南西暖地ではハウス栽培になります。発育温度は昼夜によって異なり、昼間は25~28℃、夜間は16~20℃が最適です。

  また、結実には光量の影響が大きく、日照時間が短いと開花から結実まで時間を要し、出荷が遅れることがあります。


※クリックすると拡大します。

資料:農林水産省「平成17年産 野菜生産出荷統計」
注:図中の番号は収穫量の多い順番です。

【調理のヒント】強火で短時間加熱で色よく仕上げましょう
 切ったまま放置すると酵素の影響で変色してしまうので、切ったら水につけて変色を防ぎましょう。また、さっと油に通すと色が鮮やかになり旨みも増します。炒めるときは強火で短時間に仕上げると色よく仕上がります。

【保存方法】
なすは好温性なので常温で保存しましょう

 保存適温は7~10℃。冷蔵庫に入れると種子・果肉・皮が硬くなり風味が落ちますので常温で保存して2~3日で食べきりましょう。5℃以下だと低温障害の心配があります。










産地紹介
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