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今月の野菜


にんにく
 炒め物の香味付け以外にもガーリックオイルやキムチなどその風味が好まれ、昔から世界中で食べられているにんにくは、滋養強壮、抗菌作用と機能性にも優れた野菜です。

調査情報部 調査情報第二課



学名:Allium sativum L.
英名:garlic
仏名:lail
日本での呼び名:大蒜
植物学上の分類:ユリ科
にんにくの花

1)品種と種類








2)主な産地
 我が国のにんにくの収穫量は、年間1万8,300トン(平成17年産)です。収穫量の割合は、青森県が全国の75%を占め、2位の香川県との間には大きな差があります。また、市場に出回っているものをみると、中国からの輸入品が大きな割合を占めているのも特徴的です。

□「にんにく」の月別入荷量および県別割合(平成17年)
<東京都中央卸売市場>

 
<大阪中央卸売市場>

資料:平成17年 東京都中央卸売市場及び大阪中央卸売市場「青果物流通年報」
注:( )はその月の県別出荷割合


3)プロフィール
 古代エジプトでは、ピラミッド建造に携わった労働者へ配られていたというほど、歴史的にも古くから人間とのかかわりをもつにんにくは、中央アジアが原産地といわれています。日本への渡来もかなり古いと考えられ、日本最古の歴史書「古事記」にもその記述があるほどです。ただし、昔の使われ方は料理ではなく滋養強壮などの薬効に着目されたもので、例えば、平安時代の小説「源氏物語」では風邪をひいた娘がにんにくを服用したという話が出てきます。しかし、にんにくは、仏教、特に禅宗では精力がつき過ぎて人間の心を乱すものとして、酒と共に避けられたこともあり、明治になり肉を食べるようになるまであまり普及しなかったというのは興味深い話です。今のようになじみの野菜となったのは、高度経済成長期、食の洋食化の進んだ頃のことです。

 日本では、円高の進んだ平成2年以降、急激に中国からの輸入量が増え、平成17年では生鮮にんにくの輸入量は30,000トンに達し、その量は国内の生産量の1.5倍以上です。


生鮮にんにくの輸入量の推移


4)栄養
 にんにくには、カリウムやビタミンB1・Cが含まれていますが、量としてはあまり多いものではなく、その主成分は炭水化物です。しかし、それ以外にねぎなどにも含まれビタミンB1を活性化させる働きのあるアリシンが豊富に含まれていることが特徴です。アリシンは、刻まれたり潰されたりすることにより、元々含まれるアリインと酵素アリイナーゼにより作られます。にんにくは滋養強壮に効果があるといわれますが、それは、エネルギー代謝に必要なビタミンB1をアリシンが活性化させることにより、更にその代謝率を上げるからなのです。にんにく自身に含まれているビタミンB1を活性化させ、炭水化物をエネルギーに変える作用があるのはもちろんですが、あまり多く食べられるものではないので、ビタミンB1を多く含む食品、例えば豚肉などと組み合わせて食べることをお勧めします。

 また、アリシンには、抗菌作用があることも知られています。しかし、にんにくの食べ過ぎは胃粘膜障害を起こし、アリシンはにんにく臭のもとでもあるので、食べすぎには注意しましょう。

5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり


5)選び方と保存方法
○選び方
1 硬くて重みのある、しっかりしたもの。
2 芽が出ていたり、皮が茶色っぽく変色しているものは避けましょう。

○保存方法
 風通しの良い冷暗所で、ネットなどにいれてつるして保管しましょう。通気性が良すぎても、にんにく自身の水分まで失われてしまいますし、逆に通気性が悪いとカビが生えてきてしまいます。適度な湿度が重要となります。

○豆知識
~にんにくの“におい”~
 にんにくの“におい”は有効成分アリシンが原因です。刻んだり、潰したりすることにより、おいしい匂いのアリシンは作られますが、このアリシンが体内で分解されると食後の口臭の素に姿を変えてしまうのです。
 臭いを少なくする方法としては次のようなものがあります。(1)アリシンは熱に弱いため調理の際に熱を加える方法。細胞を壊すとアリシンが作られるのですから、丸ごとホイル焼きや素揚げした料理がお勧めです。(2)アリシンはたんぱく質と結合しやすいため、食べた後牛乳などたんぱく質の多いものを飲み、臭いを包み込ませる方法。最近は、栄養素や風味はそのままの低臭にんにくというものも見られるようになりました。



産地紹介
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