[本文へジャンプ]

文字サイズ
  • 標準
  • 大きく
お問い合わせ

今月の野菜


やまのいも
 里で作られる‘さといも’に対し、山で自生していたことからこの名のついた‘やまのいも’。とろろや千切りサラダ、お好み焼きのつなぎとその調理法はさまざまです。

調査情報部 調査情報第二課



学名:Dioscorea opposite(ナガイモ)
   Dioscorea japonica(ヤマノイモ)
英名:yam
仏名:igname
日本での呼び名:薯預(やまのいも)
植物学上の分類:ヤマノイモ科
やまのいもの花

1)品種と種類







2)主な産地
 我が国のやまのいもの収穫量は、年間20万4,100トン(平成17年産)です。都道府県別にみた収穫量の割合は、青森県が全国の37%、次いで北海道が35%を占め、この2県で全体の約7割を占めています。

□「やまのいも」の月別入荷量および県別割合(平成17年)
<東京都中央卸売市場>



<大阪中央卸売市場>

資料:平成17年
東京都中央卸売市場「青果物流通年報」(「ながいも」及び「やまといも」の合計)
大阪中央卸売市場 「青果物流通年報」(「ながいも」及び「やまのいも」の合計)
注:( )はその月の県別出荷割合

3)プロフィール
 やまのいもの野生種の多くは、熱帯地方に起源を持ちますが、ながいもと自然薯は南シナから極東地域が原産地です。そのため、中国では紀元前から薬用として使用されていました。また、日本では稲が渡来する以前は、自然薯が主食であったという説もあるくらい古くから食べられていた野菜で、現在私たちが通常食べているようなやまのいもは、平安時代に中国から伝わってきたそうです。芥川龍之介の短編「芋粥」は、平安時代の話ですが、この頃の「芋粥」は自然薯を利用したものでした。

 現在、やまのいもの中でも特にながいもは、台湾、アメリカなどへ輸出されており、生鮮野菜の中では、年間輸出量NO.1です。台湾では昔から滋養強壮の薬として食べられていましたが、最近では日本のながいもの方が品質が良く色が白いということで人気があります。また、大きいものほど値段が高くつくそうです。その他、薬膳料理の材料としても日本のながいもは人気があるそうです。



自然薯の雄花と雌花
雄花は上を向き、雌花は垂れ下がる

葉の付け根に付いたむかご

4)栄養
 やまのいもは、体内の塩分濃度を調整するカリウム、整腸作用をもつ食物繊維が豊富ですが、ばれいしょやかんしょに多いビタミンCはあまり含まれていません。しかし、消化酵素であるアミラーゼが多く含まれていることから、中国では滋養強壮の薬として昔から利用されてきました。

 やまのいもは生で食べられることが他のいもと大きく異なる点ですが、それが可能なのは、消化酵素アミラーゼが豊富に含まれるからです。ただし、アミラーゼは熱に弱いため、消化作用を考えた場合はとろろなど生のまま食べる方法が良いでしょう。

5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり


5)選び方と保存方法
○選び方
1 表面に張りがあり、傷の少ないものを選びましょう。
2 手に持った時にずっしり重いものが良品といわれています。
3 切り分けて売られているものは、切り口が変色していない白いものを選びましょう。

○保存方法
 切っていないものは、新聞紙に包み風通しの良い冷暗所で保存します。また、切ったものについては、切り口から変色してしまうため、切り口をラップで包み冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。最近スーパーなどで売られている真空パックのものも冷蔵庫の保存が良いでしょう。
 また、すりおろしたものについては、ラップやビニール袋に包み、冷凍保存が可能です。解凍する時は、流水に浸すか自然解凍をすれば、アミラーゼの機能が失われることはありません。

○豆知識
~「やまのいも」か「やまいも」か~
 この2つの語は通称と植物学上での用いられ方が異なり、いささか複雑です。まず、通称では同じ意味に使われることが多いようで、広辞苑では「同じ」とされています。農林水産省の法令や統計では「やまのいも」という呼称に統一されています。
 一方、植物学では、次のように分類されます。
  ○ナガイモ  (ながいも群 いちょういも群 つくねいも群)
  ○ヤマノイモ (自然薯)
 すなわち、ナガイモとヤマノイモは分類学上違う植物であり、包合関係にはありません。なお、自然薯=やまいもという呼び方もあります。
 あまり難しく考えずに、美味しく、麦とろなどにしていただきましょう。



産地紹介
元のページへ戻る


このページのトップへ