調査情報部 調査情報第二課
1)品種と種類
2)プロフィール
そらまめの原産地は、はっきりとはわかっていませんが、野生種と思われるものが、カスピ海の南方や北アフリカで見つかっています。歴史上には、古代エジプトやギリシャで栽培されていた記録が残されていることから、人間とは4000年にもなる古い付き合いということになりますし、それゆえ世界中で食べられています。日本への伝来の時期は、奈良時代の聖武天皇の時に、シルクロードを経由して中国から来たという説がありますが、その真偽は定かではありません。実際の記録としては、江戸時代の『多識篇』に蚕豆(ソラマメ)の名前で登場するのが最初です。
さて、“そらまめ”は、漢字で『空豆』とか『蚕豆』と書きます。『空豆』の由来は、莢が天を向いて実ることから来ています。また、『蚕豆』とは、莢が繭の形に似ているから、また、蚕が繭を作る時期においしくなることから、との二つの説があります。
また、『於多福豆』『一寸豆』、これもそらまめの別名です。そらまめは、よく見るとお多福さんの顔に似ていることから、あるいは、豆の大きさが一寸(約3センチメートル)ほどであることからこのように呼ばれています。その他、『四月豆』『五月豆』『大和豆』『唐豆』『夏豆』『がん豆』等々そらまめの別名は地方によりいろいろあるそうです。
3)主な産地
我が国のそらまめの収穫量は、年間23,200トン(平成16年産)です。都道府県別にみた収穫量の割合は、鹿児島県が全国の30%を占め、次いで千葉県13%、愛媛県8%となっており、この3県で全国の約半分を占めています。
<大阪中央卸売市場>
資料:東京都中央卸売市場年報、大阪中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報
注:()はその月の県別出荷割合
○世界のそらまめ
[世界のそらまめの生産概況(2005年)※]
世界のそらまめの生産量は、1,144千トン(2005年)です。最も多いのは、アルジェリアで、次いで中国、モロッコ、スペインと続きます。
世界最古の農産物といわれているだけあり、北アフリカから地中海沿岸、アジアに至るまで広い地域で生産され、食べられています。食べ方は場所それぞれで、日本では塩茹でをしてそのまま食べるのが主流ですが、エジプトではすりつぶしてペースト状にしたものを揚げた「ターメーヤ」という料理があります。
また、麻婆豆腐などに使われる豆板醤。この原料がそらまめということもあまり知られていないのではないでしょうか。
4)栄養
そらまめの主成分は、動物にとり重要なエネルギー源である炭水化物と、体の構成要素でもあるたんぱく質です。この2つが充実していることにより、そらまめは、昔から体力を養うための重要な野菜として食べられていました。しかし、それ以外にもビタミンB1、B2などのビタミン類、カルシウムや鉄分などの無機質も充実しています。
このうちビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンで、そらまめに含まれている炭水化物(=糖質)をエネルギーに変える働きをします。健康の維持に重要なビタミンであるビタミンB2は、同じ未成熟豆であるえだまめよりも多く含んでいます。B1と同様に、糖質の代謝にも一役を担っています。このようにB1とB2を兼ね備えたそらまめを食べることは、生活習慣病などの予防にもつながります。
また、皮の部分には食物繊維が多く含まれています。スープなど煮込む調理法では、皮もやわらかくなりますので、皮付きのまま利用すると良いでしょう。
5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり
5)選び方と保存方法
○選び方
1 鮮度が命のそらまめは、なるべく莢つきのものを選びましょう。
2 莢の緑色が鮮やかで、艶のあるものを選びましょう。
3 剥き実のものは、緑色が濃くふっくらとして、粒そろいの良いものを選びましょう。
○保存方法
まめの熟れ方がちょうど良いのは3日間といわれるほど、そらまめは、おいしい時期が短いといわれています。おいしさは鮮度が大事であるため、手に入れたら、すぐに食べることが第一です。どうしても、保存しなくてはならない場合は、野菜庫など冷暗所で莢つきのまま保存しましょう。また、茹でた後、食べ残ってしまったものは冷凍庫で保存しましょう。
〇豆知識