調査情報部 調査情報第二課
1)プロフィール
かぶの原産地は、アフガニスタンあたりか、これに地中海沿岸の南ヨーロッパを加えた地域とされています。ヨーロッパでは紀元前から栽培され、16世紀以降には食用と飼料用が広く栽培され、飼料用のかぶが重要な地位を占めていたようです。
日本には、弥生時代に大陸から伝わったと言われています。記録的には「日本書紀」に持統天皇の7年(西暦693年)に「五穀を補う作物として栽培を奨励するおふれを出した」と記されているのが最初です。日本では、古くから土着して地方品種が成立し、世界的にみても品種発達の重要な中心地となっています。
日本で栽培されているかぶは、赤かぶ、白かぶ、大中小と多種多彩で全国各地に、約80の品種があり、その中には地域独特の在来品種も数多くあります。
中尾佐助氏は、このような品種分布から、日本の東西でかぶの明らかな違いを見つけ、その境界線を“かぶらライン”(愛知-岐阜-福井を結んだ線)と呼びました。関ヶ原を境に東と西では系統の違うものが栽培され、原産地がアフガニスタンからヨーロッパを経て伝わった西洋型の系統は、耐寒性があることから東日本の寒冷地で、中国を経由して伝わった日本型の系統は西日本で主に栽培されています。東日本に赤かぶの系統が多いのも特徴的です。
2)品種と種類
3)主な産地
かぶの収穫量は、168千トン(平成16年産)です。主要産地では夏と冬の品種を組み合わせて栽培し、月によっての変動はありますが周年出荷をしています。かぶの生育適温は15~20℃であり、冬の時期はトンネルなどを利用した栽培が行われています。平成16年度の収穫量は千葉県、埼玉県、青森県が多く、3県で約76千トンと全体の45.4%を占めています。
□東京都中央卸売市場における「かぶ」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)
□大阪中央卸売市場における「かぶ」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)
○世界のかぶ
18世紀にイギリスのノーフォーク地方で、穀物に根菜類や牧草をまじえた耕地を四区に分けた栽培が実施され、コーク氏によってノーフォーク農法として各地に広められました。
この農法は、中世以来の三圃制に代わる新しい農法で、休耕地に飼料用かぶとクローバーを植えて家畜の飼料として、土地の無駄をなくすというものです。現在もヨーロッパでは飼料用としてかぶが多く栽培されているそうです。
また、かぶはやせ地でも育つことから救荒作物として世界各地で作られていますが、特にロシア、トルコ近郊、インドで盛んに栽培されているそうです。
4)栄養
かぶは、根と葉の部分で栄養素が異なります。根は、淡色野菜でビタミンC、カルシウム、食物繊維を多く含むとともにデンプン分解酵素のアミラーゼを含んでいます。アミラーゼは生で食べると消化・吸収を助け、胸焼けや食べ過ぎの不快感を解消してくれます。
また、葉の部分は緑黄色野菜で、β-カロテン、ビタミンB1・B2、・C、カルシウム、カリウムなどを豊富に含みます。栄養学的にみると、根より葉の方がいろいろな栄養素を多く含んでいるので、捨てずに活用してください。
5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり
5)選び方と保存方法
○選び方
1 葉はみずみずしく、色が鮮やかなものを選びましょう。
2 根は肌がきめ細かく、ツヤがあり触ったときに固いものが新鮮です。
3 表皮に傷や割れ目があるものや、触って柔らかいものは避けましょう。