調査情報部 調査情報第二課
2)品種と種類
3)主な産地
にらの収穫量は、6万1,600トン(平成16年産)です。主要産地では、春まき(秋から冬に収穫)と秋まき(翌年夏から収穫)の年2回播種を行い、周年出荷をしています。にらの生育適温は20℃前後であることから、秋まきはハウスなどを利用した栽培が中心です。平成16年度の収穫量は栃木県、高知県、茨城県が多く、3県で約3万トンと全体の48.7%を占めています。
□東京都中央卸売市場における「にら」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)
□大阪中央卸売市場における「にら」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)
○世界のにら
にらは、ヨーロッパではほとんど栽培されておらず、東洋に限られています。
中国では古くからにらの栽培や利用が盛んで、明の李時珍(1518~1593)によって書かれた医薬書である「本草網目」や、清末の1848年、呉其濬によって書かれた植物図鑑である「植物名実図考」には、にらの効用、薬効、培養などについて詳しく書かれています。
現在、中国の各地では、葉や花茎が市場に出荷され、軟化品を「韮黄」、葉の部分を土で覆って栽培したものを「韮白」、花がつぼみの段階の花茎を利用するものを「韮青」と呼んでいます。その用途は非常に広く、葉や花梗は鳥肉や獣肉の濃厚な調理、煮物や粥の具、韮黄は炒め物、おひたしなどに用いられ、韮青は塩漬けにされて利用されます。また、種子を乾燥したものを「韮子」といって、泌尿器系疾患向けの漢方薬として用いられています。
一般的に中国では、冬は白いにら(韮白)を、夏にはにらの花(韮青)を食べることが多いそうです。
4)栄養
にらは、各種ビタミン、ミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。β-カロテンは4400μgも含まれており、金時にんじんに近い含量で、100g食べることで成人男子1日の必要量の9割を賄います。風邪の予防に欠かせないビタミンCも豊富で、カルシウムがほうれんそう並に含まれ、鉄、カリウムなどのミネラル成分も多く含まれています。さらに、ねぎ類と同様にセレンというミネラルを含み、近年、体内で過酸化脂質を取り除いて活性酸素の発生を抑え、発ガンの抑制に関連していることが分かりました。
また、にらといえば独特のにおいをしていますが、その香り成分であるアリシン(ねぎ類に共通した成分)は、ビタミンBの吸収促進と効率を向上させる重要な役割を持っています。
5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり
5)選び方と保存方法
○選び方
1 全体的にシャキッとして葉の緑が濃く、葉肉が厚く、葉幅が広くて葉先がピンとしているものを選びましょう。
2 切り口が新しく、香りが強いものの方が新鮮です。
3 葉先の枯れたものが混じっていたり、途中で折れたり傷ついているものは避けましょう。
○保存方法
○まめ知識