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今月の野菜
ね ぎ
ねぎは原産地の中国で「体を温め、疲労を回復する薬用の植物」とされており、カゼの予防に効果のある野菜です。
調査情報部 調査情報第二課
学名:Allium fistulosum L.
英名:Welsh onion
仏名:ciboule
日本での呼び名:葱
植物学上の分類:ユリ科
ねぎの花
1)プロフィール
ねぎの原産地は、中国西部、中央アジア北部、バイカル地方とされています。中国では2000年以上前から栽培されており、ヨーロッパには16世紀に、アメリカには19世紀に伝わりました。下仁田ねぎに似た西洋ねぎ「リーキ」は、地中海沿岸が原産地で、日本には明治時代に入ってきました。
日本へは朝鮮半島を経由して8世紀ころ渡来しました。奈良時代の木簡や日本書紀にも、「ねぎ」の表記がされているほど古くから食用にされていた野菜です。もともとは冬場の野菜で、寒さにあたると風味、甘味が増します。
ねぎは昔から、関東では主に白い部分(葉鞘:ようしょう)を食べる白ねぎ(根深ねぎ)が栽培され、関西では緑の葉の先端部まで食べられる柔らかい青ねぎ(葉ねぎ)が栽培されていました。このことから東と西でねぎの食文化に違いがありましたが、現在では全国で2種類のねぎが食べられるようになってきました。品種も昔の白ねぎ、青ねぎ用だけでなく、栽培の仕方によっては両方に使える中間の品種も出てきました。
一般的には、「千住ねぎ」、「加賀ねぎ」、「九条ねぎ」の3つに大別されます。千住と加賀は根深ねぎです。千住ねぎは関東を中心に栽培されおり、加賀ねぎは金沢出身で耐寒性があり、冬になると地上部の葉を枯らして冬眠するという特徴をもっており、徳川幕府に献上した「下仁田ねぎ」もその仲間です。また、九条ねぎは京都発祥で、主に西日本で栽培される耐暑性のある青ねぎです。博多産の「博多万能ねぎ」は九条細系のねぎを若取りした青ねぎです。
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白ねぎ
図1.
深い溝に苗を植え、根付くまで生育させる。
図2.
葉鞘部分を軟白させるために根もとに大量の土を寄せる。このことで、太陽光を遮断して葉緑素ができないように成長させる。ねぎの成長にともなって土寄せを繰り返す深植え栽培です。
青ねぎ
図3.
葉ねぎとも呼ばれ、葉肉がやわらかく、白ねぎのように土寄せをしません。
2)品種と種類
3)主な産地
ねぎの収穫量は、51万トン(平成15年産)と葉茎菜類ではキャベツ、たまねぎ、はくさい、レタスに次いで第5位です。ねぎの生育適温は15~20℃で比較的冷涼な気候を好みます。周年出荷されるねぎは、白ねぎでは春ねぎ、夏ねぎおよび秋冬ねぎに区分されます。春ねぎは、千葉県や茨城県を中心に、夏ねぎは茨城県、北海道、青森県を中心に、秋冬ねぎは千葉県、埼玉県を中心に生産されています。
青ねぎは、大阪府、香川県などを中心に周年で生産されています。
□東京都中央卸売市場における「ねぎ」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)
□大阪中央卸売市場における「ねぎ」の月別入荷割合及び県別割合(平成16年)
資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報
注:( )はその月の県別出荷割合
○世界のねぎ
日本は、70,154トン(2004年実績)の輸入を行っています。生鮮野菜で「ねぎ」はたまねぎ、かぼちゃ、キャベツ等あぶらな属、ブロッコリーに次いで多く輸入され、2004年は過去最高の輸入量となりました。業務用を中心に需要が高く、年々輸入量が増加しており、そのほとんどが中国からのもので2004年では、輸入量の99.7%を占めています。
中国のねぎの生産は、5~10月は山東省、11~3月は上海市および浙江省、2~5月は福建省と周年で供給できる体制が整っています。
ねぎの定植作業
土寄せ作業
土寄せ後のほ場
収穫作業
4)栄養
ねぎは、たまねぎと同様に独特のにおいのもとである硫化アリルを含んでおり、このにおいは交感神経を刺激して体温を上昇させます。体温の上昇は、風邪のウイルスを退治するマクロファージが活発になることから風邪の予防になり、脂肪の燃焼も促進させます。また、殺菌作用があることも分かっています。
ねぎには、人にとっての必須元素であるセレンというミネラルが含まれており、近年発ガンの抑制に関連していることが分かりました。
なお、「白ねぎ」と「青ねぎ」を比べてみると、「青ねぎ」の方が、カルシウムがおよそ1.7倍、ビタミンCが2.8倍、カロテンはなんと136倍も含まれています。
選び方と保存方法
○選び方
1 重さがあり、表面がなめらかでみずみずしく、よくしまっているものを選びましょう。
2 白ねぎの場合は、緑と白の境がくっきりとして、葉先にハリがあるものを選びましょう。
3 青ねぎの場合は、新鮮で葉の先まで鮮やかな緑色で、根が乾燥してないものを選びましょう。
ねぎは、上へ伸びようとする性質があり、横にしておくと曲がってしまいますので、立てて保存しましょう。冬場に出回る泥付きねぎは、土の中に埋めると春先まで長期間保存することができます。土がなければ空気を取り入れられるように葉先を出して新聞紙にくるみ、立てた状態で保存しましょう。
調理で残ったものはポリ袋に入れて、冷蔵庫で立てて保存しましょう。
また、青ねぎは早く食べるようにしましょう。
ねぎに含まれる硫化アリルは、血行をよくして体を温める作用があり、さらに肉や魚の生臭さを消す働きもあります。
肉や魚との相性は、栄養面でも味の面でも抜群です。
ねぎは、主に薬味や鍋物の具材として使われますが、長時間の加熱と水にさらし過ぎるとせっかくの効能が少なくなってしまうので、注意しましょう。
産地紹介
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