調査情報部 調査情報第二課
1)プロフィール
アスパラガスは、たまねぎやにんにく、ねぎ、にらと同じユリ科の多年生植物です。原産地は南ヨーロッパからウクライナ地方だといわれています。古代ギリシャ時代から栽培が始まり、その後ヨーロッパに広まりました。日本へは、江戸時代にオランダ人によって観賞用として伝えられました。食用として栽培されたのは、明治時代の北海道開拓使がアメリカから種子を導入したのが始まりです。その後、大正時代になってから栽培が本格化します。第二次世界大戦で栽培が一時的に減少しますが、冷涼な気候を好むアスパラガスは寒冷地において有利な野菜として栽培面積が再び増加しました。特に北海道では、缶詰のホワイトアスパラガスの輸出が好調となり急速に栽培が発展しました。しかし、その後、中国や台湾などで安価な缶詰生産が始まり、現在では輸出はほとんどされていません。
―アスパラガスができるまで―
アスパラガスは、定植してもすぐには収穫できません。まず、2~3年かけて株を育てます。その後、収穫が始まります。アスパラガスは多年生植物なので、同じ株からおよそ10~15年収穫できます。
2)品種と種類
アスパラガスはグリーンアスパラガスとホワイトアスパラガスがあります。グリーンとホワイトの差は、品種の違いではなく栽培方法の違いです。
3)主な産地
アスパラガスの作付面積は、6,390ha、収穫量は28,000tです。収穫量で見てみると、長野県が全体の23%を占めて第1位、ついで北海道(16%)、長崎県(10%)、佐賀県(9%)、福島県(7%)、秋田県(6%)と続きます。
冷涼は気候を好むアスパラガスは、春先は九州の長崎県、佐賀県から主に出荷され、夏場は長野県、福島県、北海道などから出荷されます。また、国内生産量が減少する10月から3月までは海外から輸入され、主な輸入先国は、オーストラリア、フィリピン、メキシコ、アメリカなどです。
□東京都中央卸売市場における「アスパラガス」の月別入荷割合及び県別割合(平成15年)
□大阪府中央卸売市場における「アスパラガス」の月別入荷割合及び県別割合(平成15年)
注:( )はその月の県別出荷割合
○世界のアスパラガスの生産と輸入状況 アスパラガスの世界の生産量は6,571千トンです。生産量の一番多い国は、中国で、全体のおよそ88%、5,806千トンです。ついでペルー、アメリカと続き、日本は第10位で27千トンです。 日本は、アスパラガスを輸入しています。2000年の24,767tをピークとして減少傾向ですが、2003年17,850t、2004年17,150tの輸入をしています。主な輸入先国は、オーストラリア、フィリピン、メキシコ、タイ、アメリカ、ニュージーランドです。主な輸入時期は、国内産が少ない10月~3月の冬場です。
【世界のアスパラガスの生産概況(2004年)※】
中国では、ホワイトアスパラガスの缶詰を世界各国へ輸出しています。
2005.3.8現在のデータによる。
4)栄養
アスパラガスは、緑黄色野菜でカロテンが100g当たり380μg含まれています。カロテンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を丈夫にしてくれます。ビタミンAには免疫機能を高める作用がありますので、風邪を予防します。カロテンは抗酸化作用もあり、最近、ガンの予防や老化抑制の効果が期待されています。また、アスパラガスにはアスパラギン酸というアミノ酸の一種が含まれています。アスパラギン酸は疲労回復に効果があるといわれています。
5)選び方と保存方法
○選び方
1.緑色が濃く、鮮やかで均一なもののほうが甘味があります。
2.先端の穂先が開いていなく、ピンとしているものが新鮮です。
3.茎は太すぎると繊維質が硬いので、あまり太すぎないものを選びましょう。