 今月の野菜
今月の野菜調査情報部 調査情報第二課

1)プロフィール
        
         にんじんの原産地は、アフガニスタン周辺とされています。そこから、東西2つのルートに分かれて、日本に2系統のにんじんが渡来することになりました。
        
         1つは、13世紀に中国に広まり16世紀末から17世紀に日本に伝わった東ルートの東洋種です。色が、赤、白、黄、紫など多彩で細長いのが特徴でした。現在は、赤い色の金時にんじんが残っています。
        
         2つめは、12~13世紀にヨーロッパに伝わり、江戸時代末期に直接長崎へ渡ってきたものと、ヨーロッパからアメリカ経由で19世紀に渡ってきた、西ルートの西洋種です。
        
         江戸末期に長崎に渡った西洋種のにんじんは「洋角

2)品種と種類

3)主な産地
        
         にんじんの収穫量は、65万トン(平成15年産)と根菜類ではだいこんに次いで第二位です。にんじんの生育適温は18~21℃で比較的低温を好み、暑さに弱いことから夏場は北海道、青森県などの冷涼地を中心に生産されています。にんじんの生産量は、40年前の生産量の約2倍と大幅に増えました。 
         周年出荷されるにんじんは、大きく春夏にんじん、秋にんじんおよび冬にんじんに区分されます。春夏にんじんは、徳島県や千葉県を中心に、秋にんじんは北海道や青森県を中心に、冬にんじんは千葉県や愛知県を中心に生産されています。
□東京都中央卸売市場における「にんじん」の月別入荷割合及び県別割合(平成15年)
        
        
        □大阪府中央卸売市場における「にんじん」の月別入荷割合及び県別割合(平成15年)
        
        
        資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報
         注:( )はその月の県別出荷割合
○世界のにんじん
        
        【世界のにんじんの生産概況(2003年)※】
        
        ※FAO『FAOSTAT Agricultual Production』 
         2004.6.17現在のデータによる。
 世界の総生産量は23,321千tです。世界で一番生産量の多いのは中国で、全体の約35%を占めます。次いで、アメリカ、ロシアと続き、日本は第6位です。
        
         日本は、54,532t(2003年実績「にんじん及びかぶ」)の輸入を行っています。生鮮野菜で見てみると、「にんじん及びかぶ」は、たまねぎ、かぼちゃ、ブロッコリー、ごぼうに次いで多く輸入されています。
        
         1997年までは輸入第1位の国は台湾でしたが、1998年以降は中国が第1位の国となり、2003年では、全体の77%を占めています。
 
           
          4)栄養
        
         にんじんは、カロテンが豊富に含まれています。特に、β-カロテンは豊富で、にんじんがオレンジ色をしているのは、β-カロテンが黄橙色をしているためです。β-カロテンは皮の近くに多く含まれているので、調理をする時は皮を薄めに剥くといいでしょう。
         にんじんの中でも、金時にんじんは、濃い赤色をしていますが、これはβ-カロテンが多いのではなく、同じカロテノイド類でもリコペンと呼ばれるもののためです。リコペンはトマトに多く含まれている色素で、抗酸化作用があると近年注目を浴びています。
5訂 日本食品成分表 可食部100g当たり
        
5)選び方と保存方法
        
        ○選び方
        
        1.全体的に色が濃く鮮やかで、肌がなめらかでつやがあるものを選びましょう。
        2.軸の切り口の大きいものは芯が太くて硬いので避けましょう。
        3.収穫まで期間が短い春夏にんじんは、葉柄の切り口が緑色だと、適切な時期に収穫されている目安です。

 
          