調査情報部 調査情報第二課
1)プロフィール
だいこんの原産地は地中海沿岸地域から中央アジアとされています。4000年以上前に古代エジプトではすでに栽培されており、ピラミッド建設の人夫たちは、たまねぎやにんにくとともにだいこんも食料にしていました。
日本には8世紀ごろ中国南部から渡来しました。広く栽培されるようになったのは江戸時代からで、保存食として漬物や切干だいこんなどの加工も行われ、飢餓対策として作付けが奨励されました。
また、だいこんは古くから全国で作られてきたことから地方独特の品種がたくさんあります。例えば、練馬だいこん(東京都)、三浦だいこん(神奈川県)、宮重だいこん(愛知県)、聖護院だいこん(京都府)、守口だいこん(大阪府)、桜島だいこん(鹿児島県)など、各地でそれぞれの地名を名前としたものが栽培されてきました。
現在は、愛知県で作られた宮重だいこんで青首のものを品種改良した、早太りで、す入りが遅く、病気に強く、畑から引き抜きやすい青首のだいこんが全国的に作られています。
この青首だいこんは、形が整った中型で、持ち運びしやすいうえ、辛さが少なく甘くてみずみずしいことから、それまでの白首だいこんを作っていた関東を始め、全国に広まりました。現在は、たくあんなどの漬物用に用いる白首系以外はほとんどが青首系となっています。
2)品種と種類
3)主な産地
だいこんの収穫量は175万トン(平成15年産)と野菜で第一位です。かつて、だいこんはいろいろな品種が全国各地で栽培され、家庭でもたくあんなどの漬物を作っていましたが、現在では家庭で漬物をほとんど作らなくなり、生産量は40年前に比べると6割程度の水準に減少しています。
周年出荷されているだいこんは大きく春だいこん、夏だいこん及び秋冬だいこんに区分されています。春だいこん、秋冬だいこんは温暖な気候の神奈川県、千葉県、徳島県などを中心に、夏だいこんは冷涼な気候の北海道や青森県などを中心に生産されています。
□東京都中央卸売市場における「だいこん」の月別県別入荷割合及び県別割合(平成15年)
□大阪府中央卸売市場における「だいこん」の月別県別入荷割合及び県別割合(平成15年)
資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報
注:( )はその月の出荷割合
○世界のだいこん
だいこんは広くアジアでも栽培されています。また、日本は、だいこんを様々な形態で輸入しています。なかでも、漬物用やおでん種としてだいこんを加工した状態で輸入される形態が近年増加しています。
4)栄養
だいこんの根には、ビタミンCや消化酵素のアミラーゼが含まれています。アミラーゼは消化を促し、胸焼けや胃もたれを予防してくれます。
だいこんの葉っぱは捨ててしまいがちですが、葉には豊富なカロテン、カルシウム、食物繊維が含まれています。捨てずに料理に使ってみましょう。だいこんの辛み成分は「アリルイソチオサネート」というわさびなどの辛み成分と同じ「アリルからし油」です。胃液の分泌を促し、腸の働きを助けてくれます。
切干しだいこんは、100g中に含まれる栄養素を生のだいこん(皮むき)と比較すると、カリウムは約14倍、カルシウムは約23倍、食物繊維も約15倍となります。
5訂 日本食品標準成分表 可食部100g当たり
資料:「五訂日本食品標準成分表」科学技術庁資源調査会 編
注:Tr→微量。含まれているが成分の記載限度に達していないもの。(0)→測定はしていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
5)選び方と保存方法
○選び方
1.しっかりと太り、ずっしりと重いものが良品です。
2.葉付きのものは茎から葉までみずみずしいもの、カットものは切り口のきめが細かくスが入っていないものを選びます。
3.ヒゲ根の痕が少ないほど緻密な肉質を持った良品です。
○保存方法
葉付きだいこんの場合は、葉に養分を取られてしまうので、すぐに調理するか、調理しない場合は、葉を切り落とします。使い切れなかっただいこんは水分が蒸発しないようにラップをかけて、冷蔵庫の野菜室で保存します。
○だいこんの豆知識