調査情報部 調査情報第二課
1)プロフィール
○原産地と日本への渡来
さといもの原産地はインド東部からインドシナ半島などの熱帯地方で、タロイモと同じ仲間です。原始マレー族の移動とともに、太平洋一帯に広まったとされています。日本への渡来は古く、中国や南方から縄文時代に伝わったとされています。さといもは、縄文時代には主食であったとの説もあり、稲作より歴史のある作物です。
さといもの名前は、山で取れる山いも(自然薯)に対して、村(里)で栽培されることに由来しています。
さといもは、種ではなくいもで増やしていきます。株の中心に大きな「親いも」があり、そこから「子いも」が分球して増えていきます。「孫いも」は「子いも」からさらに分球したいもを言います。
さといもには子いもや孫いもを利用する「子いも用品種」、親いもと子いもをともに利用する「親・子いも兼用品種」、親いもを利用する「親いも用品種」があります。その他、葉柄「ずいき」を食べるための品種もあります。
2)おもな産地
さといもの収穫量は21万トン(平成15年度)です。さといもの生育適温は25-30℃で、生育には多日照と高温多湿が必要です。さといもは北海道を除く全国で生産されています。初夏にはトンネル栽培で作られた南九州の早掘りさといもが出荷され、その後秋から初冬にかけて、東日本では千葉県、埼玉県、西日本では宮崎県、愛媛県などが主産地となります。
□東京都中央卸売市場におけるさといもの月別県別入荷量及び県別割合(平成15年)
□大阪府中央卸売市場におけるさといもの月別県別入荷量及び県別割合(平成15年)
資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報、大阪市中央卸売市場年報
注:( )の数値は月別の入荷割合
○世界のさといも
FAOの2003年のデータで、世界のさといも属(Colocasia esculenta属のもの全て含む)の生産量を見てみると、ナイジェリアが1位です。次いで、ガーナ、中国と続きます。
さといも属は、タロと呼ばれ、亜熱帯から熱帯地方にかけて世界で広く食用として栽培されています。各民族により品種は様々で栽培方法も水田であったり、畑であったりと異なります。
3)栄養
さといもは、100g中に炭水化物13.1g、たんぱく質1.5g、を含んでおり、野菜の中ではカロリーの高い野菜です。ただし、同じいも類のばれいしょやかんしょと比べるとカロリーは少なく、ミネラルも全体的に豊富に含まれています。特にナトリウムの排出効果をもつカリウムは豊富に含まれています。また、いも類に多い食物繊維も豊富に含まれているので、便通を良くしてくれます。
○食品成分表(可食部100g当たり)
資料:「五訂日本食品標準成分表」科学技術庁資源調査会 編
注:Tr→微量。含まれているが成分の記載限度に達していないもの。
(0)→測定はしていないが、文献等により含まれていないと推定されるもの。
4)選び方と保存方法
○選び方
1.泥付きの方が日持ちします。
2.皮の縞がはっきりとして、硬く、柔らかくなっていないものがいいものです。
3.粘りのあるタイプ(土垂・石川早生など)と、ほくほくしたタイプ(セレベス・八つ頭など)があるので、品種を選んで使いましょう。
○保存方法
熱帯・亜熱帯原産なので高温多湿を好み、乾燥や寒さに非常に弱い作物です。
泥付きなら新聞にくるみ湿度を保ち、常温で保管します。皮をむいてあるものは早めに食べきりましょう。
【調理の豆知識】