調査情報部 調査情報第二課
1)プロフィール
○原産地と日本への渡来
ばれいしょの原産地は南米のアンデス高原で、インカの重要な食用作物でした。16世紀にスペイン人によりヨーロッパに持ち込まれ、当初は観賞用でしたが、次第に食用にもなり18世紀には主要作物として盛んに生産されるようになりました。
日本への渡来は、1600年前後で、ジャカルタを東洋貿易の拠点としていたオランダ人が船に積んで長崎に持ち込んだことに始まり、「ジャガタライモ」とよばれました。じゃがいもの名の由来は、これから来ているようです。そのばれいしょは、温暖地に広まったかんしょ(さつまいも)に対し、寒冷地に広まり、飢餓から多くの人々の命を救いました。
「馬鈴薯(ばれいしょ)」という呼び方は、土の中での実のつけ方が馬の首に付ける鈴の形に似ているからといわれています。
○主な種類と特徴
ばれいしょの生食用の品種は、長い間、ホクホクとした粉質の「男爵」と煮崩れしない粘質の「メークイン」が大部分を占めてきましたが、消費の多様化でばれいしょもいろいろな品種がでてきています。例えば「キタアカリ」は「男爵」と同じくホクホクした粉質で肉質は黄色で人気がでています。現在では、「男爵」と「メークイン」以外のばれいしょが市場入荷の約半分程度に拡大してきています。加工用の品種は、北海道では主に「トヨシロ」や「ホッカイコガネ」等があり、ポテトチップスやマッシュポテトの原料となっています。
○主な種類と特徴
2)主な産地
ばれいしょの収穫量は、307万トンですが、これにはでんぷん原料用も含まれますので、生食用としては約5割の140万トン程度とみられます。
ばれいしょは大きく北海道産と長崎県などの府県産に区分できます。北海道では、4から5月に植え付け、7月から11月に収穫されます。収穫したばれいしょは、貯蔵施設に保管され翌年5月まで出荷されます。東京市場では9月から翌年3月までは北海道産がほとんどを占めています。
一方、府県産は春植えと秋植えがあります。春植えは春に植え付けて夏に収穫する栽培法で、秋植えは8月から9月に植え付けて11月から12月を中心に収穫する栽培法です。中国地方や九州地方では年i2i作のばれいしょ生産が行われています。
□東京都中央卸売市場におけるばれいしょの月別県別入荷量及び県別割合(平成15年)
□大阪府中央卸売市場におけるばれいしょの月別県別入荷量及び県別割合(平成15年)
注:( )の数値は月別の入荷割合 資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報
○世界のばれいしょの生産状況
FAOのデータでみると、世界での生産量で第1位は中国、次いでロシア、インド、アメリカとなっています。日本は第19位です。
ばれいしょは日本では副菜ですが、他国では主食として食べられていることが多いです。かつて、ドイツで壊血病が少なかったのは、ばれいしょを沢山食べるので、ビタミンCを豊富に摂取したからであるとも言われています。
※FAO『FAOSTAT Agricultual Production』2004.6.17現在のデータによる。
3)栄養
ばれいしょはでんぷん質が多く含まれていることからエネルギーが高い野菜です。更に、ビタミンB1、ビタミンC、カリウム、食物繊維も豊富に含まれています。
特に、ビタミンCは、主成分である炭水化物に包まれていることから、熱を加えても損失が少ないという特徴を持っています。ビタミンB1も1日に必要な量をばれいしょ半個で摂取することができます。
4)選び方と保存方法
○選び方
1.でこぼこしておらず、硬くて重いものを選びましょう。
2.皮が薄く、色が均一なものが新鮮です。
3.大きすぎるものはスが入っている場合もあるので避けましょう。
4.ばれいしょは品種により特性が違いますが、肉じゃが等には荷崩れしにくい「メークイン」、コロッケ、マッシュポテトにはほくほくした「男爵」というように用途に合わせて選びましょう。
5.発芽していないものを選びましょう。(ばれいしょの芽にはソラニンという毒素が含まれているので、芽は取ってから調理しましょう。)
○保存方法