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今月の野菜


ピーマン

ピーマンは春先から初夏にかけて出荷量が増えて旬をむかえます

調査情報部 調査情報第二課



学名:Capsicum annuum
英名:bell pepper
仏名:poivron
日本での呼び名:ピーマン
植物学的特性:ナス科に属する一年生草本。
甘、辛トウガラシと同じ種に属する。

1)プロフィール

○原産地と日本への渡来

ピーマンはもともと中央アメリカから南アメリカの熱帯地方が原産といわれるとうがらしの一種です。フランス語で大型で甘味のあるものをpiment(ピマン)といい、それがなまり日本ではピーマンと呼ばれるようになりました。ピーマンはとうがらしの仲間で辛みのないものの総称です。

生育適温は他の果菜類と比較してやや高く22~30℃で、寒さに敏感な野菜です。

冬から春にかけては、九州の宮崎県、鹿児島県、四国の高知県産のものが多く出回り、夏から秋にかけては、多くの産地がありますが、関東の茨城県、東北の岩手県産のピーマンが多く出回ります。

数個ずつ袋に詰めて売られているピーマンは形や大きさがまちまちですが、ひとつひとつ重さを計り、同じ重さに組み合せて袋に詰める「自動包装機」が各産地で大活躍しています。

ピーマンの消費が急速に伸びたのは昭和30年代後半です。そのころのピーマンは大型で肉厚の品種でした。独特の香りが強いため敬遠する人も少なくなく、食べやすい品種の改良がすすめられ、くせが少なく、肉の薄い現在のピーマンが誕生しました。緑色のピーマンは未熟なうちに収穫したもので、完熟させると赤色になります。


最近店頭で見られる、大型のピーマンも最初は緑色ですが、完熟することできれいな赤色、黄色、オレンジ色になります。その他にも紫、白、茶、黒色のピーマンがあり、食卓の彩りとして近年親しまれています。

とうがらしもピーマンと同様にナス科トウガラシ属に含まれます。とうがらしは1492年にコロンブスがアメリカ大陸に到着したときに、珍しい作物としてスペインに持ちかえりました。とうがらしは香辛料としてヨーロッパに歓迎され、その後ヨーロッパ中に広がり、ポルトガル人によりアジア各地に持ちこまれました。日本へも16世紀末には伝わっていたといわれます。

○ 主な種類と特徴 ピーマンととうがらしは同じナス科のとうがらし属です。


2)おもな産地

○ ピーマンの平成15年産の作付面積は全国で3,760ha、収穫量151,300t、出荷量128,600tです。前年対比で作付面積は97%とやや減少しました。平成14年産の県別作付面積を見てみると、茨城県553ha、宮崎県402ha、岩手県246ha、高知県217haとなっています。作付面積の減少は生産者の労働力不足や価格の低下等によるものです。

□東京都中央卸売市場におけるピーマンの月別県別入荷量及び県別割合(平成15年)


□大阪府中央卸売市場におけるピーマンの月別県別入荷量及び県別割合(平成15年)

資料:東京都中央卸売市場年報、大阪府中央卸売市場年報
注:( )の数値は月別の入荷割合

○世界のピーマンの生産状況

FAOの2003年のデータで、世界のピーマン(とうがらし属、パプリカ、チリ、オールスパイス、ジャマイカペッパーで粉砕せずにそのまま食用とするもの)の生産量を見てみると、インドが1位です。次いで、中国、パキスタンと続きます。日本のような中型の緑ピーマンを栽培している国は少なく、ピーマンと同じ属に含まれるとうがらし等が多く栽培されています。




世界の総生産量
 :2,339千t




3)栄養


○カロテン、ビタミンCを豊富に含んでいます。

カロテンは抗がん作用、老化防止作用、ビタミンCは免疫力の向上に効果があるといわれています。ピーマンのビタミンCは加熱しても壊れないのが特徴です。赤ピーマンは特に栄養価が豊富で、カロテンは緑ピーマンのおよそ2.6倍、ビタミンCは2.2倍もあります。緑ピーマンと比べて苦味も少なく、彩りもきれいですので、料理に使いやすい食材の一つです。



○ 食品成分表

資料:「五訂日本食品標準成分表」科学技術庁資源調査会 編
注:Tr→微量。含まれているが成分の記載限度に達していないもの。

4)選び方と保存方法

○選び方

1.ピーマンは鮮度がおいしさの決め手です。皮に張りがあるうちに食べましょう。

2.色が鮮やかで皮に張りがあるもの。

3.へたに鮮度が現われます。へたの切り口が美しいものが新鮮です。


○保存方法

空気穴の開いたポリ袋等の袋に入れて、冷蔵庫で保存します。

5~6日はもちます。保存の適温は10℃前後です。冷やしすぎると品質が低下してしまいますので、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。

○利用部位と食べ方

果実を生食もしくは加熱により食します。

ピーマンは緑黄色野菜で、栄養が突出して豊富というわけではありませんが、よく食卓にあがる野菜としてその栄養価は高く評価できる食材です。

苦味がある等の理由で「嫌いな野菜」として名があがりますが、最近、よく出回っているパプリカや赤ピーマンは緑ピーマンのような独特の苦味はなく、甘くてサラダとしてそのままでもおいしく食べられます。

また、パプリカは色がとてもきれいですので、食卓の彩りとしても引き立ちます。日本では、パプリカをそのままスライスして食べることが多いのですが、外国では、まず丸焼きにして外側の固い皮を剥き、中にお米や鶏肉、野菜を詰めてブイヨン等で煮て食べます。




産地紹介
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