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話題 野菜情報 2026年11月号

令和7年夏の記録的高温に係る影響と全国の産地において効果の   あった適応策等の状況について

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農林水産省農産局農業環境対策課 地球温暖化対策推進班

1 はじめに

 日本の年平均気温は、さまざまな変動を繰り返しながら100年当たり1.44度の割合で上昇し、1990年代以降、高温となる年が増えています。特に令和5年から記録的な高温が続いており、令和7年の夏は観測史上最も高く、多くの農作物に影響がありました。
 農林水産業は、気候変動の影響を受けやすい産業です。地球温暖化が農作物に与える影響としては、生育障害や品質低下、気温上昇に伴う栽培適地の変化、病害虫発生の増加や生息域の拡大などが想定されています。
 農林水産省では毎年、都道府県の協力を得て「地球温暖化影響調査レポート」を取りまとめており、地球温暖化による高温等の影響や、それに対する適応策等を公表しております。本稿では、令和8年8月に公表した「令和7年地球温暖化影響調査レポート」について、野菜の部分を抜粋してご紹介します。

2 地球温暖化の影響

 例年、地球温暖化の影響発生の報告が多い野菜は、トマトといちごです。
 トマトへの影響は、全国的に、生育期から収穫期の高温による着花・着果不良(4~5割)が見られました。また、裂果、日焼け果、生育不良などが見られました(表1)。

タイトル: p002
 
 いちごでは、全国的に育苗期から花芽分化期の高温による花芽分化の遅れ(5~6割)が見られ、特に西日本ではその影響が顕著となっています。また、虫害や病害の発生による影響が見られました(表2)。

タイトル: p003a
 
 そのほかの野菜については、ねぎ、キャベツ等の葉茎菜類では、生育不良や発芽不良、病害、虫害の発生による影響が多くの品目で見られました。また、なす、きゅうり等の果菜類では、着花・着果不良の発生による影響が見られました。

3 緩和策と適応策

 気候変動対策には、「緩和策」と「適応策」という2本の柱があります。
 このうち、「緩和策」とは、地球温暖化の原因となっている温室効果ガス(二酸化炭素やメタンなど)の排出削減と吸収対策を指します。例えば、施設園芸における省エネ設備(化石燃料に依存しない加温技術)の導入や省エネ農機の普及、水稲栽培における中干し期間の延長による水田からのメタン排出削減等の取組が、農業分野における緩和策に該当します。
 他方、「適応策」とは、既に生じている、またはこれから生じるであろう地球温暖化の影響に備え、被害を軽減・回避する対策です。例えば、換気、かん水の実施や施設栽培での細(さい)霧(む)冷房装置・遮熱性の高い被覆資材の利用、高温耐性品種の導入等の取組がこれに当たります。

4 都道府県における適応策の取組状況

(1)適応策の普及状況
 トマトの適応策としては、着花・着果不良、裂果・日焼け果の発生抑制等の対策として、遮光資材・遮熱剤の利用、優良品種の導入、かん水・ミストの活用等が行われています(表3)。なお、報告の中では、各種資材・設備の導入にはコストや労力がかかるほか、天候に応じた栽培管理の徹底が普及上の課題として挙げられています。

タイトル: p003b
 
 いちごの適応策としては、花芽分化の促進として、クラウン(株の根元にある生長点)の冷却、遮光資材・遮熱剤の利用、夜冷処理、育苗施設(育苗期)の遮熱等が行われています(表4)。なお、いちごにおいても各種資材・設備を必要とする対策では、導入コストや労力の増加が普及上の課題となっています。

タイトル: p004a
 
 そのほかの野菜についても、遮光資材・遮熱剤の利用、かん水、適正品種の選定、作期移動等の栽培管理が適応策として報告されています。

(2)新たな品目・品種への取組
 近年、温暖化の影響を新たな品目・品種の導入の機会と捉え、さまざまな地域で技術開発または栽培実証が行われています。
 新たな品目については、ねぎから露地ピーマンや露地なすへの栽培(千葉県)、ほうれんそうからきゅうりへの栽培(兵庫県)が試みられています(表5)。

タイトル: p004b
 
 また、新たな品種転換については、トマトでは桃太郎ワンダーから桃太郎みなみ(岡山県)、ミニトマトではサンチェリーピュアからキャロルポポ(島根県)、いちごでは紅ほっぺやきらぴ香から静岡16号(品種登録予定)(静岡県)等の技術開発・栽培実証が行われています(表6)。

タイトル: p005a

5 おわりに

 今回紹介したトマト、いちごを中心とした野菜に関する影響、適応策のほか、各品目(なす、きゅうり、ねぎ類、キャベツ、ブロッコリー、レタス、ほうれんそう、アスパラガス、にんじん等)の適応策や農業分野の温暖化の影響に関連する情報などもレポートに掲載していますので、農林水産省ホームページをご参照ください。
 
○令和7年地球温暖化影響調査レポート
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/attach/pdf/index-176.pdf

タイトル: p005b
 
 これらのほか、農林水産省ホームページにおいて、参考情報として、農業技術や国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)の気候変動に関する取組、気候変動や地球温暖化に関するホームページ、温暖化のリスクをどう回避していくのか、その際のリスクマネジメントをどう行うのか、中長期的な考え方をまとめた「農業生産における気候変動適応ガイド」なども紹介していますので、こちらもご活用ください。
 
○地球温暖化対策
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/ondanka/index.html

タイトル: p005c
 
 気象条件や生育ステージの類似している品目の適応策などを参考にしていただき、温暖化に伴う影響を回避・軽減する一助になれば幸いです。


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