プロジェクトの立ち上げ以降、これまで農業界で活躍する44事例のアスリートやチーム(以下「「アス→ノウ」事例」という)(図3)、40以上の関係者に調査をしてきました。
その結果、農業界でのアスリートの活躍には、以下のような効果や課題があることが見えてきました。
【農業界でのアスリートの活躍における効果】
(農業界にとっての効果)
(1)地域農業における担い手の確保
(2)アスリートの発信力などを生かした農業・食・地域への興味・関心の喚起
(3)アスリートの関わりによる、地域のブランド力向上、農村関係人口の増加
(スポーツ界にとっての効果)
(1)アスリートのセカンドキャリアやデュアルキャリア(現役中から二つのキャリアを並行して進めること)の多様化
(2)農業を媒介とした、地域のファンやサポーター、スポンサーなどの増加
(3)アスリートやチームのブランド力の向上、収益力の強化
【農業界でのアスリートの活躍における課題】
(1)アスリートの「食」への意識の高さが必ずしも「職」としての農業につながらない。
(2)農業経営に関する情報(収益見込みやリスクなど)や、農業法人への就職を含む就農に関する情報にアクセスできないため、ビジョンが見えず、就農・農業参入のハードルが高い。
(3)就農したアスリート同士など、近い境遇同士で情報交換できる場がない。
(4)就農・農業参入時には、農業技術の面や支援策などの情報面でサポートする体制が必要となる。
(5)安定的に農業経営を発展させていくための手立てが明確でなく、経営の持続性・収益性の確保が難しい。
また、アスリートやチームによって、参入の目的やきっかけ、取り組みの力点や課題、地域との連携の仕方などはさまざまであることが分かりました。
以上のことから、まずは農業界でのアスリートの活躍について関係者の理解を得ることが重要と考え、スポーツ関係団体、農業関係団体、自治体などとの意見交換や周知活動などを行いました。アスリートの農業参入におけるハードルの解消を図るため、スポーツ関係団体に対してはキャリアとしての農業についての啓発を、また、農業関係団体や自治体に対しては農業参入を希望するアスリートやチームへの積極的な情報提供を促すことを目的としたものです。
併せて、「アス→ノウ」事例や農業界とスポーツ界との連携に関する社会的認知度拡大および理解醸成に向け、農林水産省ホームページ
(注4)、InstagramなどのSNS(インターネット交流サイト)
(注5)、農林水産省のメディアツールなどを活用し、「アス→ノウ」事例などの発信も開始しました(図4)。