農業は、天気のこと、土のこと、そして農薬、作物の特性、経営、販路、人材育成など、多くのことを網羅しないと成り立ちません。「お百姓さん」という呼び方がありますが、まさに100の知識・技術がないと成り立たない、レベルの高い仕事だと感じ、また、そこに面白さも感じます。私自身も、目を肥やすことやインプットを怠らず、農業に限らず音楽、映像、建築、サブカルチャーには高いアンテナを張り、従業員にも共有するように心がけています。
「新規就農」というと、最初から独立し、すべて一から始めないといけないイメージがありますが、私に先代や先々代がいたように、すでにある農家や農業法人に「就職する」という道があることを若い人たちに知っていただきたいです。ゼロを1にするのは大変です。私にも最初に1があったからここまでやってこられたと、1を元に掛け算をしたから何倍にも規模拡大できたと感じています。弊社のような農業法人にまずは就職することで農業人口を増やし、みんなで日本の農地を守っていけたらと思っています。
最近では高齢化に加え、生産コストの上昇により収益が確保できずに離農していく方が大勢います。弊社では、離農された方の農地を活用して、これからも規模拡大していきたいと考えています。将来的には、長野と群馬の農場の経営を二つに分けることや、自社の農業を生かせるための事業展開も視野に入れています。
弊社の目標は、地域農業を支えながら、農産物を安定して生産、出荷することです。
生産だけでなく、加工・販売まで一貫して取り組むことで、農業の価値を高め、持続可能な事業モデルを作ることを目指しています(写真4)。
一方で課題としては、人手不足や資材価格の高騰、気候変動への対応など、農業を取り巻く環境が厳しさを増している点が挙げられます。そのため、効率化や品質向上、新たな対策に取り組んでいく必要がありますが、一法人ではなかなか難しいのが現実です。行政なども含め新たな対策を共に考える必要があると思います。
日本の農業は、地域の暮らしや食文化を支える重要な基盤です。私たちは農業の未来を次世代につなぐために、現場から価値ある挑戦を続けていきたいと考えています。
甘利 崇雄(あまり たかお)
有限会社アマリファーム 代表取締役
【略歴】
1975年 名古屋市生まれ。
2003年 デザイン関連会社に勤務後、小諸市にある妻の実家の甘利家に就農。
2004年 「有限会社アマリファーム」を設立。法人化する。
2005年 群馬県高崎市にて10ヘクタールの圃場運用を開始。
2019年 真空予冷機・予冷庫を導入。
2022年 JGAP認証取得、エコファーマー認定、SDGs推進起業登録。
2024年 育苗ハウス竣工。長野県川上村に予冷庫竣工。