(1)青果物の仕入れ・販売~流通を支える現場力~
 当社の事業の中核を成すのは、国産青果物の仕入れ・販売です。全国のJAから日々出荷される野菜や果物を、各販売先のニーズに応じて適切に供給しています。
 この業務の要は、現場における細やかなコミュニケーションと、長年蓄積された青果物に関する専門知識です(写真3)。生育状況や気象の影響、全国の生産面積の変遷、その時の品質動向など流通に関わる膨大な情報を常に把握し、柔軟かつ迅速に商品提案に反映することで、産地・消費地の双方にとって最適な取引を実現しています。
 また、近年では、契約栽培や新たに産地と販売先を結びつける取り組みを強化し、年間を通じた安定供給と付加価値の創出による販売単価の向上にも注力しています。例えば、品種による売り場の差別化、産地から販売先へ直送することによる物流効率化と鮮度訴求、ウェブを用いたヴァーチャル収穫体験、販売先と一体となった果樹の植樹プロジェクトなどです。これらの取り組みなどが、生産者の経営の安定化、消費者の新しい購買体験につながっています。
 
 (2)産地と販売先の間で機能する~小分け包装とセットセンター運営~
 
(2)産地と販売先の間で機能する~小分け包装とセットセンター運営~
 消費地における販売現場では、消費動向の多様化に伴い、青果物のパッケージ形態や量目のニーズが細分化しています。そこで当社では、小分け包装事業を展開し、商品価値の向上に努めています。
 センター内に整備された小分け包装ラインでは、産地から届いた青果物を、販売先の要望に基づいて多種多様な形態にパック詰めしています(写真4)。商品の確認から包装、納品までを一連のシステムで管理し、年間約2億点に上る小分け包装を実施しています。これまで、小分け包装作業の多くは量販店の従業員が店内で行っていましたが、近年は人手不足により対応が困難な店舗が増えており、それを当社で請け負うことによって販売先の省力化にもつながっています。
 また、生協の基幹事業である共同購入事業・個人宅配事業について、当社は農産品の事前加工(原産地表示、品傷み防止に向けた保護包装など)およびピック作業(注文内容に応じ配送容器に商品を仕分ける)を請け負っており、当社の重要機能の一つとなっています。現在、全国の生協からの依頼により、全国5カ所のセットセンターで業務受託しています(写真5)。
 
 (3)消費者ニーズを掘り起こす取り組み~新たな価値の創造~
 
(3)消費者ニーズを掘り起こす取り組み~新たな価値の創造~
 青果物の価値を最大化するには、「モノを届ける」だけでなく、「売り場で選ばれる工夫」も必要です。当社では、販売促進にも注力し、消費者のニーズを踏まえた提案型営業を実施しています。
 その一例が、「農家の無骨メシ」と「SMART」という当社独自の販促コンテンツです。「農家の無骨メシ」は青果物が生産される過程に着目し、隠れた付加価値を掘り起こして分かりやすく消費者に伝えるコンテンツです(写真6)。現地取材も当社の社員が行い、作り手である農家や産地に根付く食文化やおいしい旬の味わい方などに焦点を当て、その青果物が「特別な商品」であることを動画で分かりやすく発信し、売り場でも流して販促を行っています。「SMART」は消費者の課題をかしこくおしゃれに解決するレシピ提案ツールです(写真7)。レシピは売り場に置いた時に消費者の目を引くよう、あえてこれまでにない配色の表紙にしました。
 産地を知る私たちだからこそ、その想いを売り場にも反映させたいと考え、「農家の無骨メシ」も「SMART」も、売り場作りを含めて販売先に提案しています。
 また、当社は、加工食品の開発にも取り組んでいます。夫婦共働き世帯・単身世帯・高齢者世帯の増加など、世帯構成の変化が進み、食のニーズは多様化しています。「みんなのやさい」は、そんなニーズの変化に対応した一次調理済み加工食品であり(写真8)、これにより加工業務の領域における国産青果物マーケットの拡大にも取り組んでいます。
 毎日の食卓に気軽に国産の野菜を取り入れられるよう、今後もラインナップを充実していきます。
 このように、産地・消費地双方の期待に応えるべく、新たな付加価値提案を今後も推進していきます。