卸売市場は、農林水産大臣の認定を受けた中央卸売市場と都道府県知事の認定を受けた地方卸売市場とに大別される。中央卸売市場については地方公共団体が開設者となっており
(注2)、表で示すように、中央卸売市場は全国40都市に合計65市場が配置され、国内の主要都市にはおおむね設置されている
(注3)。このうち青果物を取り扱うものは50市場、取扱額の合計は1兆8590億円(2023年)である。また、中央卸売市場は、同一市場で青果物と水産物の両方を扱う総合市場として設置される場合が多く、50市場のうち37市場がこれに該当している。一方、青果物を取り扱う地方卸売市場は407市場あり、取扱額は1兆2171億円(22年)となっている
(注4)。青果市場の平均規模は、中央卸売市場が1市場当たり371億8000万円であるのに対し、地方卸売市場は29億9000万円に過ぎず、その差は大きい。
次に、卸売市場における青果物取扱額と市場経由率の経年動向について確認したい。中央と地方を合わせた卸売市場の青果物取扱額は、2008年に3兆3599億円であったが、年度により多少の増減は見られるが微減傾向で推移し、22年には3兆761億円となっている。このうち中央卸売市場についても同様の傾向にあり、08年の1兆9960億円から、22年には1兆8590億円まで減少している(図1)。
このため、青果物の市場経由率も減少傾向にあり、13年は60.0%であったが、21年には53.9%となっている
(注5)。しかし、この値は輸入青果物を含んだものであり、これを国産品のみで見ると、13年は85.8%であり、その後数値を落としてはいるが、21年でも76.4%を占めている。以上から、国産青果物に限れば市場経由率は高く維持されており、卸売市場が青果物流通において重要な役割を果たしていることは明らかである。
中央卸売市場における国産青果物の一般的な流通経路を示したのが図2である
(注6)。多数の国内生産者が生産した青果物は、産地に立地するJA・全農などの出荷団体に集められ、規格ごとに選別した上で消費地に近い卸売市場へと出荷されている。そして、卸売市場では、場内の卸売業者が青果物を集荷するが、この時は原則として買い取りではなく委託により行われている
(注7)。その後、青果物は仲卸業者や売買参加者(専門小売店など)へと再販売され、最終的に消費者の元へ供給されることになる。
以上が中央卸売市場を例に見た青果物流通の概要であるが、地方卸売市場についても、仲卸制度がない市場が存在していることを除けば、基本的に同様の仕組みである。