スマート農業技術の現場導入は、スマート農業技術の活用に関する計画である生産方式革新実施計画に係る認定制度に基づき促進されることとなる。生産方式革新実施計画に関して、主要な二つのポイントを紹介する。
一点目として、生産方式革新実施計画は、農業者による(1)スマート農業技術の活用(2)スマート農業技術に適した農産物の生産の方式の導入-を併せて行う計画を認定し、各種支援措置を講ずるものである(図2)。従来の生産方式のまま、単にスマート農業技術を農業現場に導入するだけでは、意図・期待通りに活用できずに稼働効率が低くなること、人手に頼らなければならない細かい作業が残るために人手不足の解消・省力化といったスマート農業技術の効果が十分に発揮されないことから、農業者にとってのメリットが最大化しないことが課題の一つとなっている。生産方式革新実施計画は、スマート農業技術に適した生産方式への転換に踏み切り、スマート農業技術の性能・効果を十分に発揮させようと取り組む農業者を制度面・資金面で後押しすることを目指している。
二点目として、生産方式革新実施計画は、農業者の取り組みを促進するために行うスマート農業技術活用サービス事業者の取り組みを含めて農林水産大臣の認定を受けることができる。スマート農機等については、導入コストが高い、稼働率が低く費用対効果が発揮されにくいといった課題があり、その解決策として、共同利用やサービス事業者の活用など、スマート農機等を所有することなく利用するニーズもある。生産方式革新実施計画では、(1)農業者が自らスマート農機等を導入する取り組み(2)複数の農業者がスマート農機等を共同利用する取り組み(3)農業者がスマート農業技術活用サービス事業者を活用してスマート農機等のレンタルや農作業の委託などを行う取り組み―のいずれにおいても、農業者やスマート農業技術活用サービス事業者に対して、税制・金融などの特例措置が講じられている。
この二点によりスマート農業技術を活用しやすくなる環境整備を図っていくことが、本法で目指すスマート農業技術の 現場導入の加速化に当たり、主要なポイントとなる(図3)。
