一般社団法人日本冷凍食品協会(以下「冷食協」という)は、国内生産量に冷凍野菜輸入量(財務省貿易統計)、さらに調理冷凍野菜輸入量(協会員のみ33社分)を合算して、「冷凍食品国内消費量」としている(表1、参考)。国内生産量は、2017年に160万トンを超過したものの、これ以降は、一度もそれを上回ることなく推移している。これに対し、同年に100万トンを超えた輸入冷凍野菜は、コロナ禍を背景に業務用需要が落ち込んだ時期もあったが、全体としては伸長して22年には110万トンを上回った。
23年の実績で、国内生産154万5000トン、輸入冷凍野菜111万9000トン、輸入調理冷凍食品21万5000トン、合計の消費量は288万トンである。これを人口で割った国民1人当たり年間消費量は23.2キログラムとなる。
ちなみに、2022年の統計による国民1人当たりの年間消費量は、1位米国43.5キログラム、2位ドイツ39.8キログラム、3位英国38.5キログラム、4位豪州35.2キログラム(冷食協「令和4年冷凍食品に関する諸統計」より、資料はユーロモニターインターナショナル)で、日本は23.9キログラムで世界第5位だ。
冷凍食品の品目別ランキングは、冷食協の統計では国内生産のみを一覧にしていて、うどん、コロッケ、ギョーザ、チャーハン、ラーメンなどの順になっている。では、これを消費量で見た場合の順位はどうかというと表2の通りである。
ダントツは41万5627トンのポテトだ。主に北米産だが、近年輸入先国が広がりつつある。ベルギー、オランダ、中国、さらに新興のインドも話題である。ハンバーガーチェーンをはじめとするファストフード、居酒屋おつまみとしてもよく食べているポテト(写真1)。一時期、コンテナ不足や港湾ストの影響もあって、供給不安になった際には、消費者も不安に巻き込むほどの大事件的な扱いだったことは、記憶に新しいことと思う。家庭用でも、冷凍食品のショーケースに必ず定番として品揃えされているフライドポテト。今や必要不可欠の食品と言っても過言ではない。実に、冷凍野菜輸入量の37%を占めている。
消費量上位品目を見ると、1位ポテト、7位ブロッコリー、8位えだまめとベスト10内に冷凍野菜3品目が入る。表には6万トン以上の品目を挙げているが、そのすぐ下に、5万トン超のカツ、ほうれん草(輸入)が続いている。冷凍食品の消費の中で、冷凍野菜はかなり存在感のあるジャンルである。もちろん主力は業務用である。加工品製造工場の原材料としても不可欠の存在だ。
輸入冷凍野菜の順位では、ポテトは常に1位だが、2位はかつて長らくえだまめだった。ところが21年、ブロッコリー輸入量がえだまめを抜いて2位に浮上、という交代劇があった。ブロッコリーの輸入先は今も中国が1位だが、エクアドル産が急伸している。南米エクアドルの高原で、太陽光が降り注ぐ良い環境で育つブロッコリー。標高が高いため虫が少なく、農薬は控えめに、
夾雑物(混ざりもの)も少なく、品質の良いブロッコリーが生産され、高い評価を得て伸びている。
直近のトピックスは、「ささみブロッコリー」「えだまめコーン」(写真2)など、新タイプのミックスものの商品が注目を集めていることである。自然解凍OKのミックス商品などが期待されるジャンルで、まだまだ新発想の新アイテムが生まれてきそうだ。