(1)農業と音楽の相乗効果
農業と音楽活動を両立させることにより、老若男女問わず幅広い世代に田田を認知、宣伝できるのではないかと考えています。生産した野菜は主にスーパーで販売しており、野菜を頻繁に購入する40歳代以上の中高年層には農家としての田田をいち早く認知してもらえます。一方で、音楽活動は、ミュージックビデオの作成、ライブ、動画投稿など若年層に向けて行っています(写真3)。2023年11月に行われた深谷市の産業祭にて、野菜販売の出店と音楽のライブをさせていただいたことは、野菜を購入してくれた多くの中高年層の方々に、私たちが音楽ライブを行うことや、オリジナルのCDを販売していることなどを知っていただける機会となりました。また、ライブを観た方が野菜を買いに来てくださることもありました。このように、農業から音楽へ、音楽から農業へと、双方向に影響があり、相乗効果を生んでいることを実感しました。
また、バンドをやりながら農業をしているグループとしてテレビ番組に出演させていただき、放送後に、番組を見たよと言って野菜の無人販売所に足を運んでくれた方もいました。集荷場で顔を合わせる農家の方たちにも、私たちが音楽もやっていることを知っていただけました。二つの活動を通して、幅広い年齢層の方々に知ってもらえる機会が増えたと感じます。
(2)白野菜シリーズ
現在、田田が栽培している白野菜シリーズは二つあります。白とうもろこしの「絹」(写真4)、白なすの「繭」(写真5)です。
私たちの地元で活動拠点でもある群馬県伊勢崎市境島村は、養蚕が栄えていた地域で、世界遺産「田島弥平旧宅」があります。自分たちが栽培する野菜のブランド化を計画した時に、世界遺産がある境島村を盛り上げたいという気持ちから「養蚕と紐付けたい」と思いました。まず白く滑らかな絹が思い浮かび、同じような白く美しい野菜を栽培したいと考えていた時、北海道で食べた白とうもろこしのおいしさに感動したことを思い出し、私たちも栽培にチャレンジしてみることにしました。次に、群馬はなすの生産量が全国3位と多いため、養蚕のイメージとなすを組み合わせられないかと考え、白いなすがあることを知り、栽培を始めました。白なすが田島弥平旧宅PRキャラクター「くわまる」に似ているので、コラボできないかとも考えています。この他にも今後、養蚕に関連した白野菜シリーズは増やしていきたいと思っています。
(3)田田のオリジナルシール
田田の多岐にわたる活動を宣伝できないかと考えた時に、野菜のパッケージに何かシールを貼りたいという案が出ました。同じ頃「生産者の顔が見える化」というものがあり、生産者の想いを伝える効果、消費者に安心感や信頼感を与える効果があることを知り、われわれもその実現にシールを活用することを考えました。
シールには田田のロゴとYouTubeの二次元コードを印字しています(図2、写真6)。ロゴがあることで田田の野菜であることが一目でわかります。また、YouTubeには私たちが野菜を栽培している様子の動画があり、田田の「顔が見える化」につなげています。ほかにも、音楽活動や日常の様子などの動画も配信しているので、野菜をきっかけに、田田の活動をより知ってもらえたらと思っています。テレビ出演後から知名度も上がり、田田を認知してくださった方々から、ロゴがわかりやすいと言う声もいただいています。