昨今の世界情勢などをみても諸経費などの高騰は止まらず、また安定した原料の確保も難しくなっています。従来と同水準の商品を供給するために、これまでより多くのコストが必要となることは当面払拭されないと考えられます。今の時世ほどではありませんが、原料などの高騰に備える必要はこれまでも常にあったため、また、品質を落とさずより良い商品を安定的に提供するために、当社は早くから自社農場での原料野菜の生産を始めました。
当初は鴻巣市と群馬県内に、合わせて約2ヘクタールの小さい農場から始まりました。低価格で商品を提供するためには、自社農場でも低コストで原料野菜を生産する必要があります。それにはまず
圃場の規模を拡大し、そこでの作業効率を高めるために、農業機械の導入は必須でした。最初はトラクターから始め、徐々に収穫機や
播種機などを導入して規模拡大や労働時間と人員の削減につなげてきました。現在の価格で商品を販売できているのは、自社農場と機械化のおかげであると感じています。今後はにんじんなどの栽培品目の拡大も考えており、それに必要な農業機械を県の補助金などを使って導入する予定です。
また、規模拡大における圃場の確保は、近隣の耕作放棄地を借りたり買い取ったりして進めてきました。県や市から農地を紹介される場合もあれば、離農した個人の生産者から、圃場の管理を直接依頼される場合もあります。いずれも日頃から地域とのコミュニケーションを図ってきたことが背景にあり、今後も地元とのつながりを大事にしたいと考えています。
現在の自社農場は約12ヘクタールで、はくさい、だいこん、キャベツ、きゅうり、ブロッコリー、みずななどを栽培しています。播種から収穫まで当社従業員が一括管理し、原料野菜の生産段階から品質管理に責任を持って取り組んでいます(写真3)。
また、当社では土壌分析を行い、有機施肥の使用や最低限の消毒回数を心掛け、環境に配慮した循環型農業に取り組んでいます。平成17年にはエコファーマー資格(埼玉県H1710018号)を取得し、土作り、減化学肥料、減農薬の3つの技術に取り組む計画を立て、より安全・安心な野菜生産に励んでいます。
野菜の作付けは、本社が商品製造とのバランスを見ながら必要数量を決めています。野菜の生育は天候に大きく左右されるため、不作に備えて多めに作付けしますが、同一品目でも、複数の品種を栽培しています。病気に強い品種、収穫時期に応じた品種などを組み合わせて、作期の分散や安定的な収量の確保に努めています。当社の主力野菜であるはくさいは、生育期間が短いミニはくさいのような小さいサイズの品種も作付けて、収穫時期の調整をしています。
逆に豊作の時などは、地元スーパーの産直コーナーに原体のまま並べたり、品質の高い野菜を仕入れたいという外食チェーンなどに卸したりしています。当社の品質の高い野菜はこのようなニーズにも応えることができ、また大規模農場ならではの低コストを実現しているからこそ、柔軟にそして安定的に対応できています。