この取り組みによる農産物の買い取り個数は14万3748点にも上り、食品ロスの削減量は約43.1トンと試算
(注1)する(令和5年4月末現在)。また、一般客車による輸送のため、CO2排出量削減にもつながっている。
生産者からは、「丹精込めて作った野菜が捨てられずに食べてもらえて何よりも嬉しい」「売り上げが増えただけでなく、売れ残り品を回収に行く時間や費用が削減されて助かっている」「この素晴らしい取り組みに自分も関われて嬉しい」といった声が上がり、この取り組みに賛同し参加する生産者は当初5~6人だったが、現在では180人を超えている。
また、購入者からも、「食品ロスの削減に関心があるため買いに来た」「スーパーでは買えない新鮮な野菜がお手頃価格で買える」「朝採れ野菜で新鮮でおいしいので毎回足を運んでいる」と好評で、TABETEレスキュー直売所がオープンする10分前になると少しずつお客様が増え始め、順番待ちの行列ができるなど大盛況である。
参加する学生スタッフは、TABETEレスキュー直売所の企画、運営オペレーションの改善提案にとどまらず、売り上げ・利益などの管理や、売り上げ向上のための全体方針の策定などを担っており、学生による運営組織も立ち上がるなど、各自がキャリアデザインを考える貴重な機会にもなっている。農産物直売所で売れ残る農産物は日々変わるため、学生らは輸送する農産物や目玉商品などの最新情報をSNSで情報発信するとともに、のらぼう菜やとうがんなどの珍しい農産物については、調理方法や保存方法などを事前に調べてお客様に提供している。また、お客様に感謝の気持ちを伝えるために、本格運用開始から1周年を記念した「TABETEレスキュー直売所1周年記念イベント」の企画・実施のほか、運営改善のための購入者へのアンケート調査や生産者との交流会を開催するなど、「販売を通じて生産者の想いや苦労、食品ロス削減の重要性を伝えていきたい」と意欲的である。
OOC子ども食堂では、TABETEレスキュー直売所で売れ残った農産物を、すべてお弁当の食材として活用し、平日は毎日50~80人前後のひとり親家庭の子どもたちへお弁当を無料で提供している。保護者からは、「新鮮な野菜で嬉しい」「体に良い感じがする」「食品ロス対策にもなる」との声があり、子どもたちからも「とてもおいしい」「もっと食べたい」と喜ばれている。
このように、TABETEレスキュー直売所は関係者すべてにメリットがあり、食品ロス削減はもとより、生産者所得の向上、CO2排出量削減、ひとり親家庭への支援など、効果が多岐にわたる他には例を見ない取り組みとなっている。
なお、持続可能な開発目標(SDGs)達成に向けた企業・団体等の優れた取り組みを表彰する「第6回ジャパンSDGsアワード
(注2)」において、「SDGs推進副本部長(内閣官房長官)賞」を受賞している(写真8)。
注1:第1回実証実験から5年4月末までの累計農産物買い取り重量(買い取り1点あたり300グラムで概算)。
注2:SDGs達成に資する優れた取り組みを行っている企業・団体などを、SDGs推進本部として表彰するもので、NGO・NPO、有識者、民間セクター、国際機関などの広範な関係者が集まるSDGs推進円卓会議構成員から成る選考委員会の意見を踏まえて決定される。
写真8 総理大臣官邸において行われた「第6回ジャパンSDGsアワード」表彰式の様子
出典:首相官邸ホームページ
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202303/17sdgs_award.html(2023/5/15アクセス)